ギャングスタリパブリカ(体験版)の感想・レビュー

『猫撫でディストーション』が面白かったのでプレイ。
ギャングスタリパブリカは篤志部(ボランティア部)の活動をするはなし。
ダラダラとした面白みのないイベントがのっぺりと続くかと思いきや・・・
素直クールな超然としたヒロインが糞真面目に「救世主」とか言い出すからあなどれん。
体験版では、篤志部を設立する所までプレイができる。

雑感

世の中にはピーターパンシンドロームというものがありまして、大人になりたくないという現象を指します。本作ではいい年齢でありながら子どものような好奇心を忘れない少年が主人公として設定されています。ここではそれが「心のガラクタが捨てられない」と表現されており、プレイヤァは幼少期の感覚を懐古することとなるでしょう。主人公は幼少期に「悪」という言葉を刷り込まれたらしく、ことあるごとにこの用語を使用していきます。しかし主人公は、悪とは「人がそうしたいと思うのとは違うやり方で、人がそうなりたいと思うことを実現すること」と定義しており、実質的には良い事をしているのでした。その主人公に対し、本気で救世主になろうとしている素直クール系ヒロインのみそぎちんが意気投合するわけです。みそぎちんは主人公の悪の定義を聞き、自分の理想を実現する手段の手かがりにするのです。みそぎちんの理想は救世主になること。「幸福を望む衆生を庇護するよう努める」とかのたまうわけですよ。ライターさんにはぜひ哲学系の世界構築ネタとかを期待したいです。

もう一人のヒロインBとしてでてくるのがこおりさん。こおりさんは至極まっとうな幼なじみキャラで典型的な主人公の世話を焼くテンプレともいえる存在です。この存在はみそぎちんのアンチテーゼとして演出されており、既成の価値観を提示する役割を担っているともいえます。主人公くんが「悪」を標榜する理由には、幼少期におけるこおりさんとの関わりがあったことが示唆されておりプレイヤァを引きつける素材ともなっています。その他、気になるヒロインとしては体験版ではほとんど活躍の場が提示されなかった無気力系ダラダラ少女シャールカ先輩が挙げられます。小難しい理屈をこねくり回して、既成の価値観をぶっ壊していく様は魅力的であり、ただ女の子とイチャイチャするだけのようなキャラゲーとは一線を画してくれるといいなぁと思っています。そして宮本。おそらくは攻略ヒロインではないものの、主人公くんと同じように子どもの心を忘れておらず、一緒にバカをやれる役割。石投げで水切りしたり、葉っぱで舟を作って競争しようとしたりと良い味を出しています。