グリムガーデンの少女(千歳・白雪・春奈)の感想・レビュー

グリムという異能を持つが故に社会から排斥された少女たちを救済するはなし。
積みゲー消化。黒髪と腐女子は攻略していたものの長らく放置しておりました。
グランドエンドは結構面白いがそこに行き着くまでが大変でした。
実家のしがらみ系俺TUEEE要素と挫折系少女の再チャレンジがテーマ。
「立ち向かう意志さえ失わなければ、人はどんな場所からでも、幸福になれる」


  • 千歳ルート
    • 陸上部少女の友情のはなし。将来に見通しが持てずフラフラしている少女。異能の制御にも不熱心で日々をテキトーに過ごしていた。故に廃棄処分の対象となり研究施設の実験モルモットにされかける。この時、主人公くんが自分の身体を犠牲にして異能の制御を促し成功する。これを契機に主人公くんに惚れるようになるが、それは主人公くんに依存することで、根本的なトラウマから目を背けることでもあった。陸上少女は両親から良い結果を残すことだけ求められたため、次第に精神崩壊して異能を目覚めさせ、ライバルたちに怪我を負わせてしまった過去を持っていた。その時のライバルが隔離施設を訪問し、もう一度決着をつけることを要求してくるのである。当初は再戦をしぶっていたが、ライバルの事故の怪我を異能で救ったことをきっかけに現実に立ち向かう力を得る。最終的に再戦を受け入れ落とし前をつけることによって、自分の過去を克服することができたのであった。



  • 白雪ルート
    • 魔女を隔離する公社の暗部のはなし。白雪は過去を忘却したまま施設で雑役女中として働く女の子。当初は感情の起伏も少なく外部への関心も薄かったが主人公くんと関わることで考えを変えていく。施設内で安穏と過ごせば辛いこともなく傷つくことも少なかろう。しかし、過去に目をつむり閉じこもっていることは生きているといえるだろうか?自由とは何かについて問う白雪に対し、主人公くんは以下のように答える。「自由に生きることが、単純に幸せとは言えないかもしれないな。自由に生きることは保護者から離れて独り立ちをすること。元の居場所を離れ、自分だけの居場所を見つけることだ。それは――裏返せば、傷ついたり、倒れたりする自由もあるってこと。だからな、誰も束縛しない代わりに誰も守ってくれない。ただ俺は――安全な家の中で閉じこもっているより、たとえ危険があっても、外で自由に生きたいと思う」。この言葉に励まされた白雪は過去と向き合うことに決める。
    • 白雪の過去は人体実験のモルモットであった。薬物投与や精神的ストレスの付与により人工的に異能を開発する被験者だったのだ。ある時、モルモットの1人が異能を暴走させてしまい。その際、白雪の仲間達は処分として皆殺しにあう。たまたま白雪はその異能が「消失」であったため、処分から逃れることができた。この処分にあたったのが施設の現代表である桐原さんであり、彼女はこの事件の残酷さを垣間見て己の罪を意識し、「異能者と一般人の融和」を唱える転向者となったのである。桐原さんは施設の罪を暴こうと画策し、もう一歩の所まで来ていたのだが、主人公くんと白雪が過去の惨劇を暴き出してしまう。ここで桐原さんがとった手段は「全体のために個に犠牲になってもらうこと」。白雪の記憶を忘却させようと試みるが、白雪は頑なに抵抗しNOを突きつける。自分の意志を貫こうとする白雪の姿を見せつけられた桐原さんは最後まで戦うことを決意する。
    • 最終的に主人公くんは社会から排斥されている異能者集団に対し説得と交渉を行い味方につけることに成功する。追い詰められた桐原さんと白雪は主人公くんにより救出されるのであった。以後、主人公くん一派は公社の罪を告白しつつ、異能者と一般人の共存共栄を目指して活動していくことになる。白雪や主人公くんの前には苦難が待ち構えているけれども、悩んだり迷ったり苦労したりすることこそ生きているということなんだ!と明るく前向きに暮らしていくのでした。


  • グランドエンド(春奈ルート)
    • 主人公くんの過去
      • 白雪エンド後にルート解放されるんは主人公くんのイモウトのはなし。そもそも何故主人公くんが異能者に関わろうとしていたかが語られる。主人公くんは地方豪族の子弟だったのだが、母親は豪族の愛人の1人であり幼少期に他界してしまった。主人公くんに残されたのはイモウトだけであり、それが生存理由ともなっていったのである。主人公くんは父の庇護を得るため、後継者争いにおいて優秀な成績をおさめていく。主人公くんが父の仕事を手伝うようになりイモウトとの時間をなかなかとれなくなってきた時に事件が発生する。なんとイモウトは暴漢に襲われて意識不明の重態となったのだ(実はイモウトが二人おり犯人はイモウトBであることが後に判明する)。犯人は異能者だと記憶をリライトされた主人公くんは復讐に駆られ、5年という条件で家を飛び出すことになったのである。こうして主人公くんは家の権力を使って公社に潜り込み、異能者を回収する組織で活躍するようになったのである。そんな主人公くんが監督官となり異能を保持したヒロインを救済していくということで本編につながるという流れ。
    • イモウトとそっくりな獣耳少女
      • 主人公くんは監督官の職務をこなしながらも、昏睡状態にあるイモウトを見舞うのが習慣であった。だがある時、街でイモウトと瓜二つの少女を目撃することになる。主人公くんは少女が腹部に瑕を負って倒れているところを救ったのであった。今まで社会から排斥され孤独に流浪を続けていた少女にとって主人公くんの優しさは掛け替えのないものであった。故に悪態をつきながらも好感度は鰻登りであり、瑕が癒えるまでの間、懇ろな関係を育むことになった。だが、流浪の民である少女は瑕が癒えるとまた街を出て行く。主人公くんにお兄ちゃんと呼んで別離となるのだ。
    • 双子ギミック
      • そっくりさんが居たら双子を疑え双子を。と、いうことで主人公くんのイモウトもまた双子であった。妹Aは明るく活発で元気だったが妹Bは不治の病にかかっていた。この妹Bが毒牙にかかることになる。妹Bはカネを欲していた女中にはめられグリム促進剤を投与されていたのだ。また女中は妹にストレスを与えるため、双子姉妹にあることないこと吹き込み主人公くんを巡る双子の諍いを煽っていた。妹Bはついに「簒奪」の異能を発動させ女中の命を吸収し、妹Aをも意識不明の重態にさせる。そう主人公くんの妹を襲ったのもまた主人公くんの妹だったのだ。だがなぜ主人公くんはこのことを忘れていたのだろうか?それには理由があり白雪ルートにおいて語られたマッドサイエンティストが「忘却」の異能の保持者であり、主人公くんの実家に雇われ記憶をいじくったのである。主人公くんは妹Bの贖罪の手紙を読むことで全てを思い出す。妹Bは確かにたくさんの罪を犯してしまったかもしれない。それでも妹は妹なんだ!とイモウトに対する無限の愛を発動させて、俺TUEEEE展開。マッドサイエンティストを討ち果たす。
    • 復讐の連鎖
      • マッドサイエンティストを倒してめでたしめでたしとはいかない。復讐は連鎖するものであり妹Bが命を簒奪した女中の弟が襲いかかってくる。その女中の弟とは主人公くんの長年の同僚であった。同僚は主人公くんがイモウト問題で苦悩することを蜜の味としており、自らの復讐を果たしていたのである。そんな同僚にとって主人公くんが全てを知り妹Bを赦して幸せになることだけは許容できないのである。こうしてラスボスバトルが発生する。ボロボロになった主人公くんは最後の手段として自分も異能者に堕する決心をする。押収していたグリム促進剤を流し込み自ら異能を覚醒させ、同僚を討ち果たすことに成功する。しかしこの代償として今度は主人公くんもまた社会から排斥される存在になったのである。だが一人では辛いことでも二人でなら乗り越えていけると、妹Bとの贖罪エンドで幕を閉じるのであった。そして三年後、主人公くんは異能を抑制し社会復帰に成功。妹Bも仮出所することになる。主人公くんが育てた三人の生徒及び白雪は同じく異端として罪の意識を共感できるため妹Bを温かく受け入れるのであったとハッピーエンド。