ラムネ2「妹やさぐれ世界」の感想・レビュー

中学入試で都会のエスカレーター私立に入学したものの留年し、結局出戻りで田舎へ帰ってきたはなし。
人生の敗残者として帰郷した主人公くんの前に待っていたのは、すっかりやさぐれてしまった妹だった。
主人公くんはそんなイモウトと関係を再構築し、新たな絆を結んでいく。
また、落ちぶれた主人公くんに昔と変わらず接してくれる神谷の存在が主人公くんを癒していく。
そして、イモウトやさぐれ世界はシナリオ分岐がとても多く、オマケシナリオが多数存在する。

雑感


  • 妹やさぐれ世界の神谷エンド
    • 神谷とフラグは成立しますが、攻略しきれず時間切れとなりイモウト&神谷と漫才ワイワイエンドとなります。
    • 留年し落ちぶれて帰郷した主人公くんは一つ下のクラスメイトたちと馴染めるのだろうかと不安に駆られます。そんな主人公くんの心のオアシスとなるのが、昔と変わらずに交流できる神谷の存在でした。幼馴染3人衆の中で一番主人公くんと関係性が遠かった神谷は、それをコンプレックスに思っていたのですが、距離が遠かったらからこそ関係性にダメージが少なかったのです。態度を変えることなく幼少期と同様に馬鹿をやりながら好感度蓄積していきます。
    • そして夏休みになると一緒に宿題&レトロゲーをやるとの口実で主人公くんの家に入り浸ることになります。主人公くんのために家事に励んだりナナミに料理を習いに行ったりする神谷をお楽しみください。やさぐれ妹世界の神谷イベントで個人的に一番の見せ場だと思われるのが、神谷が「主人公くんの隣はナナミかイモウトだと思っていた・・・」と心情吐露シーンです。神谷の複雑な感情がよく描けていてグッときますね。また、主人公くんが神谷に「やさぐれたイモウトと仲良くしてくれてありがとう」というと、主人公くんと仲良くしたいがためにダシとして使っているんですけどね・・・と影を見せるところも好きですな。
    • 最終的に夏祭りイベントを経て神谷とフラグを構築するのですが、妹はそれを垣間見ると急に態度を豹変させます。なんとことあるごとに主人公くんと神谷の間に割って入ろうとしてくるのでした。このようなイモウトに対して、いったいどのように神谷は関係性を承認させるのかしらん?と結構期待して読んでいたのですが、ここでタイムアップ。なんと神谷がブチ切れます。こうしてワイワイと騒ぐ二人を仲裁しながら楽しい漫才だぜと主人公くんが感慨深く思うエンドを迎えるのでした。



  • 低スペック妹強化
    • やさぐれ妹世界のいろはは勉強家事炊事ができない低スペックであり、それでも虚勢をはって生きてきました。1学期終了の終業式の日、イモウトの通知表を見るとそこにはひどい評価の数々が。そんなわけで夏休みを使って妹を強化するお時間がやってまいります。ここで主人公くんはスペックが強化されたらなんでもいうことを聞くという約束を交わすのでした。本作品で重要なモチーフとなる「約束」ですね。やさぐれ妹世界における「約束」は「破られることが当然」のものであり、破られるからこそ忘れられない思い出として残るという歪んだ象徴として出てきます。
    • 低スペックいろははこれまで誰からも教えてもらえなかったからできないだけで主人公くんが手をかけてあげるとあっという間に成長します。ここでも主人公くんはイモウトをほっぽって上京したことを後悔するのでした。能力を向上させたいろはは「約束」の願い事として、上京していた兄が住んでいた街の案内を頼むのです。この小旅行を通してやさぐれいろはとの関係は修復されていくとともに、イモウトの本音を知ることができるようになります。長い年月のわだかまりがほぐされてフラグ成立。そしていろはが抱える歪んでしまった「約束」の観念としては、主人公くんが果たされなかった約束を継続させることで対処します。すなわち主人公くんは手紙書くよといって数回しか手紙出さなかったのですが、今再びいろはに対して手紙を出したのです。何をいまさらな感じもしますが、果たされなかった約束に縋るのではなく、何度でも約束を結ぼうといろはのトラウマを克服しハッピーエンドを迎えます。



  • ラムネ1ノスタルジックエンド
    • 妹やさぐれ世界でナナミを攻略しようとするとラムネ1ノスタルジックエンドとなります。ラムネ1主人公くんが七海と結ばれたため、二人の仲良しっぷりに入っていけないひかりの心情が語られます。女子力を磨こうとするひかりはメイドな喫茶でバイトをすることに。一方でラムネ1主人公くんは、将来の進路選択に思いを馳せます。そして郷土を大切にし、そこで埋没することに、積極的な意味を見出すのでした。周囲の人物や自分たちがこれからどのように変わっていくのだろうかと自問自答するところは何ともノスタルジックではありませんか。