はるるみなみに!共通√「妹に対する劣等意識と封建的束縛」の感想・レビュー

代々宮司を務める神職の家系にある主人公くんが潜在的に抱える葛藤を解消するはなし。
神格を備えるイモウトを持つ一方で、自分はまだ何物でもないという焦燥感や劣等意識。
さらには家柄に恥じないような人間でいなければならないという周囲からのプレッシャー。
よくもまぁグレなかったものよ。日常の抑圧に耐乏することでいつしか主人公くんは成長していた。
なんと主人公くんは、神々から「主人公くんに祀られたい」と欲せられる「神殺し」の能力を身につけていたのだ。
今まで家督の継承に束縛されてきた主人公くんは解放され、自らの意志で祀りたい神を選ぶこととなった!!

一見すると無味無臭系になりそうな主人公くんを上手く処理しているかと


  • 妹に対する劣等意識とそれ故の神職系スキルの獲得
    • 主人公くんは代々宮司を務める神職の家系の長男。日々、家の仕事を手伝い神社の仕事に誇りを抱いていました。しかし主人公くんは未だ神職の資格を保有してはおらず、重要な儀式には参加できないため、織り込み済みながらも、どことなく疎外感を募らせていたのです。さらに主人公くんの懊悩を深めさせるのは、そのイモウトの存在。なんとイモウトは神格を備えており現人神として信仰を集めていたのです。そんな主人公くんが自らの存在意義を見出したのが、神としてのイモウトに仕えるというなかなか難儀な在り方でした。神格を持つがゆえにそれに縛られ普通の学園生活を送ることができないイモウトのサポートをするという行為に自分の役割を見つけたのでした。こうしてイモウトに仕えるうちに主人公くんは次第に「神と人を繋ぐ」という神職スキルを身につけていきます。その発展形が「神々に祀って欲しいと思われる能力」、通称「神殺し」だったのです。主人公くんは天然ジゴロとして「神殺し」を発動し、攻略ヒロインたちを次々と陥落させていったのでした。主人公くんが先天的に何の努力もなく異能を保持していたのではなく、様々な懊悩や煩悶を抱えながらも腐らずにイモウトに仕えて家業に打ち込むことで「神殺し」を獲得していったのよと肯定してもらうところが良かったですね。

 

  • 「神殺し」と封建的束縛からの解消
    • 上述のように、イモウトに対して劣等意識を抱いていた主人公くんは、イモウトに仕えることに自分の存在意義を見出しました。つまりは自分が家督を継承し、代々の宮司と同じように神社を守っていくことでアイデンティティを確立しようとしたのです。しかしながら今度はそれが封建的束縛となって主人公くんを絡めとっていきます。無数の選択肢があるにも関わらず、地域の期待を裏切らない立派な宮司になるということに盲目的服従を強いられることとなったのです。そんな主人公くんでしたが、学校に神職部に所属し、様々神々と接する中で徐々に自分の「神殺し」の異能を自覚していくことになります。従来、イモウトのために発揮してきた能力は、イモウトだけでなく、他の神々にも汎用性があったことに気づかされるのです。こうしてあまたの神々から祀って祀ってとねだられることになるのですね。主人公くんは今まで力不足だったがゆえに劣等意識を抱いていたため、このことは僥倖だったのですが、今度は逆に今まで支えとなっていた「イモウトを祀って自分ちの神社に仕える」ことが足枷となっていくのです。そんな複雑な思いを抱える主人公くんでしたが、イモウトのアドバイスでサクッと選択肢。別に複数の神を祀ったっていんじゃね?多神教だし八百万の神的な。・・・と、いうわけで主人公くんは今までの封建的束縛から解放され、自分の意志で祀る神を選ぶことになったのでした、というわけでここまで共通√で、選択すると個別に入れます。