満洲映画シリーズ

図書館に入っている満洲映画を少しずつ見ていくことにした。メディアツーリズムの勉強の一環。
現在、帝国と植民地の人流について研究しているが、映画は聖地巡礼の一種となるであろうから。
映画の中に登場する場面を見て、プロパガンダとなり観光や旅行に行きたいという原動力が生まれる。

満州の記録1 満映 娯民映画編「迎春花」


(左:突如挿入されるハルピンのロシア正教のシーン。右:流線型SLパシナ?)

  • 一人の男を巡る三角関係モノ。男は女の好意に気づかないで別離的バッドエンドとなる。
    • 舞台は奉天と哈爾濱。奉天に冴えないのんびり屋の男が縁故を使って採用されてくる。この男を巡って三角関係が展開される。ヒロインAは職場で主人公くんを支える満人のパイさん。もう一人は叔父さんの娘、つまりは従姉妹である。この従姉妹は最初から好感度マックスなのだが、お嬢様的ツンデレ意識があるせいか、素直に好意を表現することができない。それゆえ、男の為に色々と良くしてあげようとするのだが、全て空振りに終わる。最初は従姉妹は主人公くんが自分の家を間借りするかと思っていて、部屋を片付けてあげるのだが、父親に男は別の部屋を探すように言われてしまう。また、従姉妹が主人公くんのためにごちそうを作って待っているのだが、日本から荷物が届いたから取りにいらっしゃいと食事のことを伏せて告げたので、スルーされてしまうのである、
    • 一方、現地の満人のパイさんは着実に好感度を積み重ねていく。のんびり屋の主人公くんに対して1か月の家計の計画を見てあげたり、大衆食堂を教えてあげたり、スケートを教えてあげたりなんだりするのである。この従姉妹とパイさんは親友同士なのだが、主人公くんを巡って徐々にヒビが入っていくのも見どころである。従姉妹は自分が令嬢である地位を利用してパイさんを押しのけてホッケーチームのメンバー入りをするのだが、満人たちはそれを快く思っていないのである。で、同僚からそれを聞かされた主人公くんは従姉妹に説教をかますのである。好感度マックスのヒロインに説教をかます主人公くんをお楽しみください。
    • そして主人公くんはのんびり屋で冴えないものの、実はできる男であるっぷりが描かれていく。剣道では満人をものともせず、哈爾濱で仕事の交渉に行った時には、その手腕を見せつけ、見事契約を勝ち取るのである。主人公くんの交渉の通訳を務めたパイさんは好感度がうなぎ上りですとも。で、突如、哈爾濱の観光風景とかが挿入されたりする。ロシアの支配地域だったからね!ロシア正教とかのシーンあり。
    • こうして主人公くんをめぐって二人の友情はご破算になるが、そんなことはまったくもって知らない主人公くん。結局、従姉妹は東京に行くことになり、パイさんは北京に行くことになる。女たちはお互いに主人公くんのことを諦めたのである。そんなことは露も知らない主人公くんは、剣道の稽古をしているシーンで幕引きとなるのであった。