満洲-文献

岩間一弘「『旅行満洲』に見る都市・鉄道・帝国の食文化―「満洲料理」・「満洲食」の創成をめぐって」(『『旅行満洲』解説・総目次・索引』不二出版、2019、67-83頁)

この論稿の趣旨 満洲国では国民料理・国民食の創出が目指されたが、それは日本人が主導したものであったため、満洲帝国崩壊後、日本には焼き餃子やジンギスカンが料理が定着した一方で中国東北部では痕跡を残すことすらなかった。 以下、参考になった箇所 満…

【先行研究】高媛「満洲国時代の旅行文化の一断面―『旅行満洲』を読む」(『『旅行満洲』解説・総目次・索引』、2019年、5-45頁)

この論稿の概要 JTB大連支部の機関誌として1934年から約10年余りに亘り発行された『旅行満洲』について、誌面に現れている満洲国における旅行文化を分析している。特徴として、JTB大連支部の成立、『旅行満洲』の編集に携わった人物、文芸面の充実、雑誌で扱…

財団法人満鉄会編『満鉄四十年史』吉川弘文館、2007年

概要 「2006年11月に満鉄創業100周年を迎えるにあたって、満鉄40年の足跡を客観的に通観する『満鉄四十年史』の編纂を希望する会員の声が強」くなり、まとめられることとなった。通史編は原田勝正氏が担当し、「2006年に(満鉄)が設立百周年を迎えるに当って…

天野博之『満鉄を知るための十二章』吉川弘文館、2009

この本の趣旨 「満鉄と満鉄社員の実像に迫ろうと試みた」もの。著者は満鉄社員の2世であり、満鉄擁護の立場からこの本は叙述されている。従来の先行研究については「満鉄の帝国主義的大陸進出の先兵としての位置づけ、その視点からの研究が大半のように思わ…

加藤聖文『満鉄全史』講談社選書メチエ、2006年

この本の趣旨 「本書では、政治の視点から国策会社満鉄の創立から消滅までの歴史をたどるなかで、近代日本が「国策」という名の下に推し進め、多くの民族の運命を翻弄していった満洲支配とはいかなるものであったのかを描くことにより、満洲支配の責任所在の…

越沢明『満洲国の首都計画』(ちくま学芸文庫、2002年)

現在、中国の長春では満洲国時代の日本帝国遺産が観光資源となっている。 それでは満洲国時代にどのように植民都市長春/新京が形成されたのか。 満鉄付属地時代の長春、満洲国時代の新京の都市形成過程を追うのがこの本の趣旨である。 以下参考になった箇所…

和田伝『大日向村』(朝日新聞社、1939年)

この作品の主題 長野県大日向村の満洲分村移民送出過程を広く伝えるために書かれた小説。後に舞台、国策映画、国策紙芝居とメディアミックス展開をした。 戦前日本の農村の状態、満洲移民などに関する箇所の抜き書き 資本家への隷属と格差の固定化 生産手段…

『満洲グラフ』復刻版(ゆまに書房) 全15巻 総目録

復刻版全15巻 原書は12巻第1号まで 通巻114号 創刊 昭和8(1933)年9月15日創刊。 隔月発行から毎月発行へ 復刻版第2巻所収の第3巻第1号(通巻9号)(1935年1月30日発行)まで隔月発行。 以降、復刻版第2巻所収の第3巻第2号(通巻10号)(1935年5月1日発行)から毎月発…

『満洲グラフ』復刻版第2巻(ゆまに書房、2008年)

収録内容 第3巻第1号(1935年1月)~第3巻第9号 各巻まとめ 『満洲グラフ』第3巻第1号(9号) 昭和10(1935)年1月30日発行 『満洲グラフ』第3巻第2号(10号) 昭和10(1935)年5月1日発行 『満洲グラフ』第3巻第3号(11号) 昭和10(1935)年6月1日発行 『満洲グラフ』第3…

満鉄記録映画集 【10】~【12】

ケー・シー・ワークスの満鉄記録映画集見終わった。 第10巻は他の巻に比べて満洲国におけるレジャーの娯楽的楽しみがピックアップされている。 満洲国の観光だと忠霊塔の慰霊や戦跡見学、産業や工場の視察や開拓村訪問が強調されがちなので貴重。 娯楽や楽し…

『満洲グラフ』復刻版第1巻(ゆまに書房、2008年)

復刻版第1巻収録内容 第1巻第1号(1933年9月)~第2巻第6号(1934年11月) 各巻まとめ 『満洲グラフ』第1巻第1号(1号) 昭和8(1933)年9月15日発行 『満洲グラフ』第1巻第2号(2号) 昭和8(1933)年11月15日発行 『満洲グラフ』第2巻第1号(3号) 昭和9(1934)年1月15日…

満鉄記録映画集【8】・【9】

満鉄記録映画集第8巻 『満洲大豆』 『満洲大豆』(製作:満鉄映画製作所 製作年:昭和13年 約22分) 世界の大豆生産高の50%以上を生産していた満洲大豆の栽培、収穫、集荷、満鉄による混合保管と輸送。満鉄農事試験場の品質改良研究。大豆搾油の新旧様々な方…

満鉄記録映画集【6】・【7】

メモ:『満洲グラフ』を読んでいたら、満鉄映画製作所の作品を特集していく連載記事があったので、チェックが必要。あと同じくゆまに書房から『満洲映画』も復刊されているので読め。 満鉄記録映画集 第6巻 『開拓突撃隊ー鉄道自警村移民記録』 『開拓突撃隊…

満鉄記録映画集【4】・【5】

満洲国コンテンツとして映画作品を視聴している。 【1】~【3】はコチラ→満鉄記録映画集【1】~【3】 - memo 満鉄記録映画集 【4】 『満洲におけるリットン調査団』 『満洲におけるリットン調査団』(撮影:南満洲鉄道株式会社 製作年:昭和7年 約41分) 満洲…

石橋湛山『満鮮産業の印象』(東洋経済新報社、1941年)

概要 昭和15年5月から6月の約1月半にかけて、石橋湛山がダイヤモンド社の石山賢吉と共に北鮮及び満洲を旅した際の旅行報告書。 旅行範囲 東満及び南満。虎林、佳木斯、哈爾濱、新京、奉天、及び大連を繋ぐ線から以北、以西にはではなかった。 論調 一見する…

満鉄記録映画集【1】~【3】

演習の授業で「新聞報道における満洲国の旅行記・紀行文」について報告した際、教授から満洲国コンテンツとして映画も扱うよう助言を頂いたため見ることにした。 満鉄記録映画集 【1】 『建設工事』(製作:満鉄鉄道総局建設局 製作年:昭和14年 約22分) 熱…

【先行研究】「第八章 「帝国後」と満洲観光」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、233-280頁)

本章の趣旨 戦後における日本人の満洲観光を通して、「失われた帝国」の記憶の「刷り込み」が行われるプロセスを考察する。 参考になった箇所 戦後日本の満洲国ノスタルジー・ジャーニー 「〔……〕『満洲慕情』(1971年)は、「ふだん着のままで、満鉄の汽車に…

【先行研究】「第七章 もう一つの「代理ホスト」」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、213-232頁)

本章の趣旨 日本は帝国主義的侵略という暴力をとおして、欧米客を誘致するための「東亜観光ブロック」の実現をはかり、「東洋」における「代理ホスト」の役割を果たそうとした。 日本は、「西洋にとっての東洋」と「東洋にとっての西洋」の二つの顔を併せ持…

【先行研究】「第六章 「楽土」を走る観光バス」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、189-212頁)

本章の趣旨 観光による権力構造の再生産 内地客のまなざしの介入により、在満日本人は「代理ホスト」と化し、満洲を表現し、「翻訳」し、パフォーマティブに振る舞う。このような振る舞いのなかで、内地客/在満日本人/ネイティブの間の不均衡な権力関係が…

【先行研究】「第五章 「観光楽土」としての満洲国」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、159-188頁)

本章の趣旨 満州国時代の観光に関する、満洲国に向けるゲストの熱いまなざしや、満州国時代の代理ホストシステムについて考察している。 文化装置のコラボレーションが満洲への旅立ちを駆り立て、満洲という「野外劇場」への夢を膨らませたことを指摘してい…

【先行研究】「第四章 満洲観光の興隆」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、130-156頁)

満洲事変前までの満洲観光についての考察。割引切符による観光空間形成、満洲旅行ブームの様相、一般募集旅行団体の集客、修学旅行の実行システムが分析されている。 第一節 観光空間の形成 割引切符 1909年9月25日に、鉄道院から販売された「満韓巡遊券」を…

【先行研究】「第三章 満洲観光の担い手」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、98-129頁)

論文講読用のレジュメ 第三章要旨 (1)満鉄にある旅客課と鮮満案内所、満蒙文化協会、JTB大連支部の事業展開について。 在満観光機関と観光産業は1920年代に徐々に整う。満鉄と満蒙文化協会は宣伝誘致に力を入れ、JTB大連支部は斡旋案内と乗車券の販売の実務…

【先行研究】「第二章 満洲観光の誕生」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、42-97頁)

論文講読用のレジュメ 本章の趣旨 関東州の統治が軍政から民政に移行される前に行われた二つの観光旅行(「ろせった丸満韓巡遊」および満洲合同修学旅行)について分析している。 日露戦争後の満洲観光ブーム 1906年の満洲観光ブーム 著者は、当時の新聞を用い…

【先行研究】「第一章 満洲観光の前史」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、19-41頁)

論文講読用のレジュメ 第一章の趣旨 満洲観光の誕生を、日露戦争後の「ろせった丸満韓巡遊」と「満洲合同修学旅行」に位置付けた上で、満洲観光が誕生する前の満州への旅行はどのようなものであったかを明らかにしている。 江戸後期~日露戦争期における満洲…

【先行研究】「序章」(高媛『観光の政治学 : 戦前・戦後における日本人の「満洲」観光 』東京大学、2005、博士論文、1-15頁)

論文講読用のレジュメ 本論の趣旨 「観光の政治性」。「観光を取り巻く政治」と「観光の生み出す政治」を明らかにする。 第一節 本論の視座 「帝国圏」と「観光圏」 「〔……〕注目しておきたいのは、帝国の「帝国圏」と、帝国国民が旅先として視野に入れる「…

宝蔵寺久雄『満洲国旅行記 海鼠は祈る』(新知社、1933年)

陸軍大学校教官陸軍砲兵中佐宝蔵寺久雄による旅行記。 1933年4月25日~5月24日、陸軍大学校の満洲戦跡旅行が行われた。 巻末に旅行経過表が掲載されており、そこから旅程や経路が分かる。 序文に無軌道とある通り本文は時系列通りに掲載されているわけではな…

石山賢吉「満洲篇」(『満洲・台湾・海南島』ダイヤモンド社、1942年)

経済雑誌で有名なダイヤモンド社の創業者による満洲の視察旅行記。 1940年5月~6月にかけて朝鮮と満洲を旅行したもの。 特に満洲における石炭と鉄鉱石に関する状況を強調している。 『東洋経済』の石橋(※石橋湛山のことか?)に誘われて朝鮮と満洲を見学する…

早坂義雄「満洲紀行 赤き夕日を追ふて」『我等の満鮮』北光社、1934年、71-195頁

著者属性:高等女学校教諭 旅行形態:(名目上は)慰問。おそらく自費?「乏しい金と切りつめられた日程とでより多い好果を挙げる所に、真の旅の楽しみがある」(1頁) 旅行期間:明確な記述はないが序文から判断すると1933年かと思われる。 但し内容は時系列通り…

竹野学「植民地開拓と「北海道の経験」―植民学における「北大学派」―」(『北大百二十五年史』論文・資料編、2003年、163-201頁)

帝国主義的な植民地拡張政策をとると、被支配民族が覚醒しナショナリズムが昂揚して対立が激化する。これを解決するためには母国民の移住土着が必要である。また日本は土地問題を抱えており寄生地主制により狭隘な土地しか持たない零細農民は小作農とならざ…

米家泰作「近代日本における植民地旅行記の基礎的研究 : 鮮満旅行 記にみるツーリズム空間」(京都大學文學部研究紀要、2014、53、319-364頁)

この論文の主旨 「小稿は,こうした鮮満ツーリズムのなかで日本人が 残した旅行記に着目し,そのまとまった目録を示すとともに,旅行記の資料的意義を 検討した上で,旅行の目的や形態,訪問地など,ツーリズム空間の広がりに関して基 礎的な分析を行うもの…