SNSの知り合いとオフ会したら東日本大震災で生き別れになった実妹だった！
低価格ﾋﾟﾝﾋﾛｲﾝ路線だが意外にｼﾅﾘｵが良く結ばれない禁忌を丁寧に描いている。
7年ぶりに再会した実妹からの好意を断ち切ろうとする葛藤がグッとくる。
体験版では見事にﾌﾗｸﾞをへし折るが、もう一度再会するﾁｬﾝｽが巡ってくる。
果して製品版では近親相姦の禁忌を乗り越えることができるのか！？
個人的にはバッドエンド好きなので結ばれないエンドも欲しいところです。
あと原画の「おりょう」先生のｷｬﾗはみんな同じ様な顔に見える事が難点か。
それともう少しイベントのスポットが仙台らしさがあると良いと思う。
2019年も終わろうというのに、語り尽くされた実妹モノ・近親相姦の禁忌で勝負していくスタンス
- ありふれた実妹モノで、この作品だけが描けること
- 妹を攻略ヒロインとするノベルゲーは豊富にあり、当初は血縁関係に悩む「イモウト的関係性変化」の葛藤を描く作品が粗製濫造されました。そうすると今度は禁忌がテーマにならなくなり、明るく楽しくスナック感覚で実妹と結ばれるシナリオも量産されていきます。それゆえ妹モノでは、実妹にせよ義妹にせよ偽妹にせよ、相当シナリオの質が高くなければ、新規性や独自性を示すことが出来ず、数あるイモウト物のうちの一つとして処理されてしまうこととなります。
- このような状況のなかで、本作品はイモウト的関係性変化・近親相姦の禁忌を丁寧に描いていくことになります。主人公くんとイモウトは東日本大震災で両親を亡くしたという設定。二人はそれぞれ親戚に引き取られることになりますが、主人公くんは大阪へ行き、イモウトちゃんは仙台に残ることになります。しかも主人公くんの両親は親戚に疎まれていた為、二人はろくに連絡も取れなくなり、遮断されてしまったのです。典型的なイモウトゲーだと両親も兄妹同士で二人は不義の子であり、近親相姦によって生まれた兄妹がさらに近親相姦するとかいう展開になるパターンです。この二人の場合は、両親が親戚関係から疎んじられていた理由が、どのようなものとして明かされるのか気になります。
- 体験版の内容について
- 主人公くんは同僚の勧めで人気SNSに登録すると、ひょんなことからフォロワーのうちの一人と仲良くなり交流することに。そして仕事で仙台出張を命じられると、オフ会しませんかと誘われて、出会ったみたら実妹だったでござるの巻き。イモウトちゃんは最初から主人公くんであろうと感づいていた様子。最初はぎこちなかったものの、7年の分断は徐々に埋まっていき、イモウトちゃんは主人公くんへの好意を隠し切れなくなっていきます。主人公くんも実妹からのアプローチにタジタジとなるのですが、高い倫理観からその想いを受け止めきれません。最初はただ茶をしばく程度だったのですが、買い物やショッピング、果ては社宅に上がり込み手料理を振舞った挙句同衾する等の行為に及ぶようになります。さすがに危険だと思った主人公くんは、プラネタリウムデートを最後に、出張の仕事は終わり大阪に帰ることになったことを告げます。最後のお別れとして髪飾りをプレゼントし、いつもの髪飾りから月の髪飾りに立ち絵が変化するところは細かい描写ながら結構好き。イモウトちゃんはお兄ちゃんにお別れのチューをねだり接吻しようとするのですが、主人公くんは唇ではなく頬っぺたにすることで誤魔化してしまうのです。お兄ちゃんに拒否されたことにショックを受けたイモウトちゃんは、もうSNSでのやりとりもしないようにしようと別れを申し出て、二人の淡い関係性は再び灰燼に帰したのでした。
- 製品版への展開
- いやー、ビターエンドを丁寧に描いて良かったよー！！なんか何も考えずに起動したけど、シナリオもなかなかの良作！！主人公くんの述懐で、イモウトとの別れの傷が時の流れで瘡蓋になり、やがてはとれてしまうのであろうと表現されているシーンにはハラショーだ。しかしながらここで終わったら製品版には繋がらないわけでして・・・主人公くんは再び仙台主張を命じられたことをきっかけにして立ち上がります。もう一度イモウトとの絆を、今度は自分から回復する決意を示して体験版はお開きとなります。
- あと一つだけ述べるとするなら、圧倒的に仙台分が足りない。折角主人公くんが仙台に出張に来ているのに、特徴のある景観は仙台駅しか登場せず・・・。デートスポットがどこにでもあるようなカフェとか映画館とかプラネタリウムとかで、別に仙台じゃなくてもいいじゃん？って感じ。これが仙台という地名を出さないなら別にフーン程度ですむでしょうが、舞台の地名をわざわざ仙台と明記しているのだから、もっと仙台っぷりを全面に押し出してもいいのではなかろうか・・・。製品版で仙台らしさが出ていればプレイするかもしれません。
