- 今回学習すること
- 科学は現在では人間の生命そのものを直接的な操作の対象にするにいたっており、21世紀は生命科学の時代になるといわれる。
- ここでは生命をめぐって現在何が倫理的に問われているのかを学習する。
【目次】
2.生命科学の進歩
- バイオテクノロジー(生命工学)…遺伝子操作、細胞融合技術などの生命を直接操作する技術。
- a.遺伝子の利用
- b.クローン技術…同一の遺伝形質を持つ個体・細胞・DNAを人為的に複製する技術。
- →ヒツジなどで成功(1996年、イギリスでヒツジのドリーが生み出される)
- →人間については日本では2001年から「ヒトクローン技術規制法」で禁止
- →クローン技術の細胞レベルの研究:生体を構成するあらゆる細胞・器官に分化する可能性を持つ)
- ES細胞 …受精卵の初期胚から作られる
- EG細胞 …死亡胎児の始原生殖細胞から作られる。
- iPS細胞…体細胞などから作られる。
- c.ヒトゲノム
- →人間の生命をかたちづくる最小限度の染色体の一組で、DNAの塩基の配列からなり、全遺伝情報を含んでいるとされる。
3.生殖革命…生殖医療における生殖技術の飛躍的な進歩
- 人工授精…人工的に精子を授ける。医師が精子を人工的に卵子に注入して授精させる。夫の精子を使う場合は配偶者間人工授精、夫以外の精子を使う場合は非配偶者間人工授精。
- 体外受精…母体から卵子を取り出して体外で受精させ、受精卵を母体に戻して妊娠・出産させる。
- 代理母出産…女性が妊娠できない場合、他の女性に妊娠・出産してもらうこと。日本では出産した女性が母親となるので、養子縁組をしなければならない。代理母ビジネスや親権・養育権で問題が起こる。
- デザイナー=チャイルド…体外受精で複数の受精卵を作り、知能や運動能力など親が望む性質を備えた受精卵を選択し、遺伝子のレベルで子どもをデザインすること。
- 妊娠中絶…日本ではOK。「女性の自己決定権」と「胎児の生命の尊重」で対立する。