雑録

『海と雪のシアンブルー 体験版』の感想・レビュー

推薦合格した主人公が高3の秋~冬にかけて卒アル委員をする話。
これまで主人公は自分の進路を優先しクラスとの関与が希薄であった。
だが親の再婚で義妹ができたことにより他人との関わりの必要性を知ることになる。
進路確定後、主人公は上京までの残りの時間を地元と向き合うために使うことにする。
その手段が卒アル委員の仕事であり、ヒロインたちとフラグ構築していく。
真/裏ヒロインのワケアリお姉さんを攻略できるかどうかが購入の決め手となりそう。

進学で上京することを理由に全てを流してきた主人公が周囲と向き合う決意をする

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  • 母親の再婚で義妹が出来た!編
    • 物語は高3の秋、母親の再婚で義父と義妹ができるところから始まります。空気の読める主人公は当たり障りのない関係を構築し、推薦で合格が決まれば上京するので別に良かろうと関係性を深めることをしようとはしませんでした。引っ込み思案で大人しい義妹に配慮し、色々と気を使ってあげますが、その意図は義妹に見抜かれる程度のものであり義妹は主人公のために気を使われてあげていたのでした。ようやくそのことが分かった主人公は自分の振る舞いを反省することになります。主人公は学校でも自分の進路を優先するあまりクラスのことに興味がなく、関係性が希薄だったのです。どうせ大学進学して上京するからと自己を正当化し、見るべきものを見てこなかったことを思い知らされます。今からでも遅くはない。きちんと向き合うべきだと思った主人公は、妹をオープンハートさせるべく努力し、兄妹の絆を結ぶのでした。二人で海を見に行くところはグッとくる展開です。体験版の第1段階は義妹とお互いを理解しあうことがテーマであり、お兄ちゃん呼びに変化するところはちょっとした感動を生みます。
    • しかしこの兄妹の絆を結び家族になったことが、今度はフラグ構築の足枷となっていきます。せっかく再婚家庭が円満になりみんなで幸せに暮らしているのに、義兄に対して異性としての好意を抱いていることがバレたら家族が崩壊してしまう。これを危惧したイモウトは自分の心に決して開けられない鍵をかけた恋心を封じ込めるのです。イモウト√はこの義妹の頑なな感情を解きほぐすことがメインテーマとなります。

 
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  • 卒アル委員でフラグ構築!編
    • 主人公は義妹と兄妹の絆を結ぶ過程で他人との関係を希薄化させていたことを反省します。そして推薦合格を果たしたことをきっかけにして、卒アル委員に立候補したのです。今更思い出作りというワケではありませんが、上京するまでの残りの間、地元と向き合うことにしたのでした。この卒アル委員の仕事を通して、清楚系ヒロイン清木琴羽、不登校の萩野夢、学級担任の松木衣良との関わりが生まれます。体験版第二のテーマが不登校ヒロインの心を開かせてあわよくば卒アルに写真を掲載しようというもの。最初はクラスの仕事として接するだけでしたが、萩野夢がユニークなキャラであったことからこのまま高校生活を終焉させては勿体ないと心を開いてもらうために働きかけていくことになります。萩野夢は高2の文化祭で独自の出し物を申請する程積極的な学校生活を送っていたにも関わらず、現在は自分の感性が普通ではないことに劣等感を抱きコミュ障であることを過度に気にするようになってしまっています。一体萩野夢に何があったのか!?夢√の前フリは完璧です。他にも攻略ヒロインの一人になっているクソ真面目系女性教員とか結構破壊力バツグン。一方で清楚系ヒロインには抵抗感があります。主人公のことをやたらとヨイショして持ち上げる言動が取り入ろうとしているように感じられてしまい、カマトトぶっている風に描かれています。このヒロインは主人公と過去に関係があったことが伏線として張られていますが正直受け入れがたく思われてしまいました。

 
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  • キャラ性能では第一!菜畑いなば
    • 主人公と読書フレンドなのが2個下の後輩の菜畑いなばです。普段は元気系ヒロインとして無邪気に構われたがる後輩として振る舞っていますが、実のところかなりの読書家で知識量だけでなく機微を察することにも長けています。主人公と出会ったのはいなばが高校に進学す前のJC時代であり公立図書館で縁を結んだのだとか(これがテキストの表記揺れで最初は県立図書館だったのに次は市立図書館になっている。デバッグしてないね!)
    • 読書を題材にするヒロインの場合、ライターの力量が問われることになります。本当にそのタイトルの作品を読んだのかどうか、読んだとしたらその主題をどのように個別ルートに反映させるのかが問われてきます。キャラ属性としてのみ読書が好きとかいうヒロインは非常に薄っぺらくなってしまうのです。CUBEのヒロインにはかつてそのようなキャラがいたためいなばも不安視されていたのですが、いなばの場合はきちんとおススメしてくる純文や外国文学の主題を的確に把握しキャラ造形を深めることに成功しています。しかもお手製の押し花の栞を作り、主人公が抱える悩みに合わせて花言葉をチョイスし遠巻きにメッセージを送ってくるところとか何ともいじらしいではありませんか。普段馬鹿を言い合える気の置けない仲の後輩が陰ながら乙女チックで、尚且つ時折人生に達観している様子を見せるなど、大変味わい深いキャラになっています。いなばは他にも家庭環境において上手く行っていないor放置されていることが匂わされており家族ゲーになりそう。いなばルートはぜひプレイしてみたいと思いましたね。

 
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  • 真/裏ヒロイン空木群青さんが攻略出来たら買うわ。
    • 本作品の真ヒロインは主人公と過去にワケアリの空木群青お姉さんです。主人公は人格形成と行動原理に強く群青さんの影響を受けています。母子家庭で親の仕事が忙しかった主人公は、近所に住む群青さんにとてもお話世話になり懐いていました。おねショタですね、分かります!しかし群青さんは突如大学進学で上京してしまったのでした。ショックを受けた主人公は長期に渡り拗ねてしまい、群青さんが帰郷した今でも意地を張っているという間柄なのでした。しかし反抗しながらも群青さんと接するのは主人公にとって心のオアシスであり、群青さんを敬慕していることがその振る舞いの端々に感じられるのでした。勿論群青さんにもそれは筒抜けであり満更でもない様子。おねショタですね、分かります。主人公が東京の大学を選んだのも、群青さんが見て来たセカイを見たかったからですし、卒アル委員になるのも群青さんが卒アル委員だったことを知ったからでした。ご覧のように誰がどう見ても真ヒロインは空木群青さんなのですが、攻略できない・・・だと!?いや私は知っているね。群青さんは隠しヒロインであり、全ルート攻略後にグランドエンドとして群青さんルートがあることを。そんなわけで群青さんルートがあったら買うのでその時は起して。

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