雑録

【下馬評】2021年3月発売ノベルゲームは何を買えばいいですか?

3月は本当に激戦区。①女体化歴史モノで有名なinreの新作、②超有名ライタータカヒロが描くなろう系異世界ファンタジー異能バトル、③『アオナツライン』の二匹目のドジョウを狙う青春モノ、④宇宙空間でエイリアンから地球を守る尊い任務かと思いきや実態は不条理に晒される極限状況を描く凌辱モノ、⑤そのほかピンヒロインモノが二つとしのぎを削ります。加えて⑥パルフェのリメイクも出るとのこと。inreゲーとタカヒロは鉄板ですが、その他の作品がどれだけ伸びるか気になる所です。

以下、発売前個別評です。

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1.源平繚乱絵巻

女体化歴史モノで有名なinreの3作目です。忠臣蔵新撰組に続いて今度は治承寿永の乱。いわゆる源平合戦です。2作目の新撰組のラストが児玉源太郎エンドだったので坂の上の雲フラグが立っていたかと思われたのですが、決してそんなことはありませんでした。今回は主人公だけでなく幼馴染とイモウトも転生し、イモウトが平家方に囚われてしまうことになります。主人公は幼馴染と共に義経となりイモウトを取り戻すために源平合戦に身を投じるという展開です。歴史モノは史実の流れがある程度決まってしまっているため、どこまで歴史改変するかの匙加減が重要になってきます。忠臣蔵はヒロインごとに割と異なる展開が見られましたが、新撰組はどうあがいても負けフラグを覆せず何をやっても大村益次郎に敗北するので完全に大村益次郎ゲーと化してしまっていました。源氏が勝って義経が死ぬことは目に見えていますが、それをどう描くかに期待が持たれます。義経チンギスエンドは想定の範囲内として平氏政権大勝利エンドとか奥州藤原氏防衛エンドとかとかあるといいな。そして源平合戦モノというとどうしても『火の鳥』という巨大コンテンツの存在がちらつきます。火の鳥源平合戦ではメインヒロインが平氏の理解者になってしまうというwktkの展開になるので、本作でもイモウトが平氏の理解者になってしまうというのも十分にあり得そう。

2.我が姫君に栄冠を

超絶大ボリューム異世界ファンタジー異能バトル。僻地で修業を積んだ主人公が見分を広めるために世界を廻ることになり、妹分を連れて3か国の姫君を攻略していくことになります。基本的に3か国それぞれのルートとなるので姫君同士の絡みは見られず、それぞれの国が抱える問題を解決していくことになります。国家的人材を描くので凄まじい数の登場人物が出てきます。それぞれのキャラが個性を放ち、キャラが立っているのですが、それ故に主人公やヒロインの描写が散漫になりがちであるという欠点もあります。いやホントにこれだけのキャラの数を描き切れるのかしらん?と期待と不安で胸がいっぱいです。勿論、各国だけのルートで終わるはずもなくグランドエンドがあり、それぞれの国の姫君が対決することも求められているため凄まじいギガバイトになりそう。個人的に好きなキャラは主人公のお供として一緒に世界を巡ることになる妹分。『つよきす』でいうところの蟹ポジションなのですが、このキャラは攻略できないのでしょうかね?たくさんの女性キャラが出てくる分、攻略できないのはちょっと勿体ない気もしますが、どーせファンディスクとかスピンオフとかがでるんでしょ?まぁ面白いのは確定していますので、あとは莫大な時間を注げるかどうかだと思われます。

3.ユキイロサイン

『アオナツライン』の二匹目のドジョウを狙え!今度は季節が冬です。世間から評価が高い『アオナツライン』ですが、ご都合主義展開のオンパレードや描写力の欠如など様々な点も指摘されています。バスケ対決で親友と戦うことになる展開が意味不明ですし1on1で7連続スリーポイントシュートを決めるとか荒唐無稽さが陳腐さを漂わせていました。このライター、バスケやったことないのにバスケ描いてるでしょと推測せざるを得ません。本作も前作『アオナツライン』と同様で、季節の雰囲気と男女グループの青春を描くというモチーフはたいへん良いものの、描写はスッカスカ。冒頭でアイスホッケーの描写が出て来たので期待が高まり、主人公・親友・ロシアヒロインがホッケー選手ということでウィンタースポーツが重要なテーマとなるのでワクワクしていたのですが、ホッケー描写が出てくるのはホンの数クリック程度でしたとさ。またスキーで名を馳せた有名選手だけれどもトラウマによりイップスを抱えているヒロインも登場するのですが、ほとんどスキーの描写もありません。マジかよ。おそらくライターはウィンタースポーツを描く気はさらさらなく、キャラ属性の付与のためだけに設定しているに過ぎないと思われます。ちゃんとホッケーしたりスキーしたりする描写があったら買うので教えてください。マジで。そして極めつけとなるのがロシアヒロインが自転車に乗れるようになる場面。雪が積もっている校庭でオフロード用の自転車でもないのにママチャリ乗れるわけねーだろと。多分、このライター雪国の生活とか全然知らないで頭の中だけで書いてるんじゃないと思わざるを得ませんでした。青春を求めている雰囲気ゲーが好きな層からは高い評価を受けることは請け合いなので、たくさんの支持者と一部の合わなかった人たちという構図になりそう。

4.魔法少女消耗戦線

侵略者との戦争状態という極限状況において人権を無視されて消費品として使い潰される少女たちを描いた作品。凌辱モノであり設定がブッ飛んでいますが不自然さを感じさせないような作りとなっており、思わず作品の世界観に引きずり込まれてしまいます。不条理な状況に晒された少女たちがそれぞれ葛藤を抱えながら適応していったり、適応できずに死んだりしていきます。主人公は家族を亡くした天涯孤独の少女で自身もまた死にかけていたところを魔法少女に救われたという人物です。それ故、魔法少女になることが生きる理由となり士官学校に入って努力しついに夢を叶えました。しかしその実態は上記の通りであり、自己の尊厳やらプライドやらが次々に破壊されていきます。能力を強化するためには辱めに合わなければならずとうとう主人公だけが強化の機会を逸してしまいます。そして死にかけるという所で体験版は幕を閉じており、非常に気になるところで終わりとなっています。上手いこと製品版に繋げています。体験版の時点では不条理な極限状況下での防衛戦争を描くことがメインであり、何故エイリアンが侵略してくるのかとかの説明はなさそう。その点でセカイ系の亜種とも言えるかもしれません。

5.ピンヒロインモノ

5-1.聖の少女 -美娼女学園3-

厳格な淑女教育を施すことで有名なキリスト教系の女学校……と見せかけて、その実態はターゲットにされた少女たちを顧客の要望通りに仕立てて提供するという学校であった!というノリです。主人公は男性ですがシスターに女装して、少女たちを顧客の要求に沿って調教してきた学園サイドの人間です。しかし、前々作、前作と少女たちと接する過程で、学園の謎などに迫っていきます。今回はついにラストのヒロインとなり、全ての謎が解き明かされるのか!?というところに注目が集まっています。またこれまで解放してきた少女たちがどのように絡んで来るのか/来ないのかも気になるところです。

5-2.日向千尋は仕事が続かない

社会人モノ。攻略ヒロインである日向千尋はその勝気な性格が災いして、バイトにも関わらず経営者や管理職に食って掛かり関係性が悪くなって退職するということを繰り返していました。社会人モノはプレイヤーの労働観と大きく関わるため、合う合わないが非常に大きいかと思います。本作の場合は主人公が飲み会やアルコールでバカ騒ぎをするという日本の因習に辟易しており、個人的には共感する事仕切りです。喫煙所と居酒屋で全てが決まるとかいうような風潮だから日本は衰退したのです。しかし主人公は一般的な社会常識があるので、打ち上げなどには嫌々ながらも律儀に参加し、上司の罵倒なども甘んじて受け入れます。童貞弄りタイムが発動し、小馬鹿にされる主人公の図。確かにある一定の年齢層の人々は終身雇用制と年功序列賃金に囚われており、社会人男性は結婚して子供を作って過程を持つことを当然視し、それを成し得ない人々を異常者と劣等視する傾向にあります。そんな価値観を主人公がノリノリでテンション高く打破してくれるところに一種のカタルシスがあると言えるでしょう。現実に適応して何とかやっていってる主人公と、バイトを転々とするヒロインがどんな関係性を構築するのかで面白さが変ってきそう。フルタイム労働どころか時間給労働すら続かないってちょっとヤバいかもしれません。国保と年金と住民税の3点セットを払えなくて詰むでしょ。作中ではヒロインは親から相当甘やかされていることが窺われるので多分親に払ってもらっているのかもしれません。

6.パルフェリメイク

ショコラ・パルフェ・こんにゃくと最盛期の戯画をバルドと共に盛り上げた丸戸作品のリメイクです。戯画の丸戸作品はワケアリ元カノが裏/真ヒロインとして君臨しており、メインヒロインを完全に食い尽くしてしまうことでも有名でした。秋島香奈子夏海里伽子・羽山海己はワケアリヒロインとしての巨頭の地位を築き上げました。特に里伽子は破壊力抜群です。里伽子は主人公の役に立つことを生存理由として生きて来たのですが一生モノの怪我を負ってしまいます。里伽子は自分が主人公にとっていらない子となることを極度に恐れているため言い出すことが出来ず、巧妙に隠し続けてきました。そのため主人公との関係を深めることを拒否し、フラグを圧し折るのです。さらに主人公は他者の変化に敏感で、特に義姉に対してはバツグンの洞察力を誇るのに、里伽子の怪我に決して気づくことはありませんでした。これにより里伽子は(自分でばれないように隠しているのに)主人公の家族に対して嫉妬するようになり余計に意地を張ってしまいます。このようなワケアリで面倒くさいヒロインである里伽子のキャラクター表現が大変素晴らしいゲームとなっています。まさにパルフェは里伽子ゲーといえるでしょう。