『ぼっち・ざ・ろっく!』原作(1~4巻)の雑感

原作をとりあえず4巻まで読んだ。
アニメから原作に入ったが、アニメではライブ描写や手工芸、実写などを用いて上手く原作の行間を補正している。
また一方で、原作にしかなくアニメ化の際に捨象されている要素も結構ある。
後藤さんのスタイルについては既に人口に膾炙しているが、他にも結構重要な原作要素が省かれていた。
「喜多さんにみる陽キャのウザさ」や「明るい虹夏が抱えている心の闇」は特筆すべきことなのでメモしておく。

【目次】

原作だと後藤ひとり(ぼっちちゃん)は容姿だけでなくスタイルも良い

後藤ひとり(ぼっちちゃん)は巨乳である

アニメ版だとギャグ要素が強く後藤ひとりのスタイルについて触れられることは少ない。氷風呂のシーンも顔芸に特化することになった。だが原作だと度々ぼっちちゃんのスタイルがネタにされる。原作での氷風呂では裸体を晒しており、そこからはかなり豊満な身体つきをしていることが分かる。また服はお母さんが買ってきているとのことで、可愛らしい服を着たぼっちちゃんが描かれたが、その下着も同様のものを身につけていることが分かる。文化祭の時にはぼっちちゃんのクラスはメイド喫茶をやることになり、メイド服を着用することになる。ぼっちちゃんのメイド姿は二段ぶち抜きで描かれており、甘い系の服が似合うと賛辞されるだけでなく、胸を強調する衣装によってその乳袋がふんだんに描かれる。ぼっちちゃんの豊満なスタイルに気付いた山田リョウは彼女を水着にしたりガムテープ姿にしてMVを作りアクセス数を稼ごうと画策するし、SNSのいいね数稼ぎにもぼっちゃちゃんをスク水姿にしようと目論む。また山田リョウの別荘があるプライベートビーチに遊びに行った際には、109で店員に勧められるがままに購入した水着を着用。喜多さんと虹夏はビーチで砂埋めをしており虹夏の胸を盛って遊んでいたが……ぼっちちゃんの巨乳を見て劣等感を抱き、彼女を砂埋めした時には水平線を作って無意味な仕返しをするのであった。

後藤ひとり(ぼっちちゃん)の下着と私服
後藤ひとり(ぼっちちゃん)とメイド服
後藤ひとり(ぼっちちゃん)の肉体を利用した商法
後藤ひとり(ぼっちちゃん)の水着姿

 

原作で描かれる喜多さんを通した陽キャのウザさ (原作ではナーフされる「ぼ喜多」成分)

喜多さんを通して描かれる陽キャのウザさ

原作でも「ぼ喜多」描写はそれなりにある。文化祭のライブの時には自分にはギターの特別な才能はないが周りと合わせるのは得意だからぼっちちゃんを支えられるギターになると決意する。また歌が得意だと思っていた喜多さんだが、それは単なるカラオケ的な点数の高さでありボーカル的には下手糞であることに気付かされたシーンからも「ぼ喜多」が始まる。喜多さんはぼっちちゃんが作った歌詞を理解するために後藤家に泊まり込みを行うのだが、ここでも二人の距離が縮まる。喜多さんは自分が恵まれし者であることをさり気無く自慢しながらそれ故の物足りなさを感じていたことを吐露。ぼっちっちゃんの高尚な歌詞は理解できないと愚痴るのだが、ここでぼっちゃんは性格も立場も真逆ではあるが、人生を変えたいという共通点では同じであると説き、喜多さんを感化させるのである。こうして喜多さんの興が乗って話が弾み、「ぼ喜多」フラグが立ったかに見えた……。

だが基本的に喜多さんは陽キャ的思考であり、ナチュラルにぼっちちゃんを小馬鹿にしているため、その鬼畜さが描かれることの方が多い。喜多さん自身が悪いというわけではなくて彼女が陽キャステレオタイプとしてのキャラクター属性を背負っているため、陽キャうぜぇネタを描写する時には、彼女が一身にそれを引き受けてしまうのである。具体的には陽キャ同調圧力、流行であるという「情報」を食べる行為、インスタ蠅などである。その中でも特に無自覚にぼっちちゃんを傷つけることになるのが友人関係。学校でぼっちちゃんにとって喜多さんは唯一の友達なのであるが、喜多さんにとってぼっちちゃんはone of themに過ぎないのである。高校2年に進学した際、ぼっちちゃんと喜多さんは同じクラスに進学するのだが、それをまざまざと見せつけられるのである。喜多さんの友達は気を遣ってぼっちちゃんにも話題を振ってくれるのだが、それは喜多さんの友達だからという理由でありぼっちちゃんに興味があるわけではない。またぼっちちゃんがトイレなどで離席すると、ぼっちちゃんの席は喜多さんの友人ズに占拠されてしまいぼっちちゃんは自分の席なのに座れなくなってしまうのである。ぼっちちゃんは喜多さんと同じクラスになった今の方が辛いと感じ、休み時間になるといつもの階段下に逃げてしまうようになった。

後藤ひとり(ぼっちちゃん)と喜多さんを通して描かれるカースト間格差

 

明るい虹夏が抱えている闇~ぼっちちゃんに対する劣等感~

闇落ち虹夏

バンドのリーダーで常に明るくムードメーカーな虹夏ちゃん。そんな虹夏は原作では度々弱い所や劣等意識を垣間見せるところがある(曇らせ虹夏)。虹夏といえばDV彼氏や百合姉妹で話題になることが多い。虹夏は山田リョウとカップリングになることが多いのだが、その山田がダメ男バンドマンとしての特性を持たされているのだ。要は楽器にカネを全部使ってしまい私生活も破綻している。そんな山田に対してしょうがないわねと言いながら嬉しそうに世話を焼くのが虹夏という女なのである。それ故DV男に尽くしカネを貢ぐ女として二次創作で虹夏が描かれることも多い。一方で百合姉妹では伊地知姉妹の絆がテーマとなる。虹夏と姉の星歌さんは干支ほど年齢が離れているのだが、母親は虹夏の幼少期に死亡、父親は家にほとんど帰らなかったため、虹夏にとって家族は姉だけだった。姉がライブハウスを始めたのも虹夏のためであり誰よりも虹夏のためを思っている。虹夏が騙されて他のライブハウスの穴埋めをさせられた際には店長をシバきに行き、クリスマスの誕生日の際には相合傘をやっている。手作り弁当も振る舞うよ!星歌さんは可愛いもの好きであるためぼっちちゃんをストーキングしているがPAさんにシスコンと言われて当然なくらいシスコンであった。

そんな明るい虹夏だか、ぼっちちゃんに対しては次第に劣等感を抱き始めて行く。ぼっちちゃんがギターヒーローだといち早く気づいたのは虹夏であった。元々ギターヒーローに憧れており、スターリーでのオーディションや初ライブの際に危機を救ってきたぼっちちゃんの演奏で気づいたのである。だがこの時はぼっちちゃんが他人と合わせることができないという欠点を持っていたため、虹夏は精神的に優位だった。むしろぼっちな後藤に対して優越感を抱いていたのかもしれない。その証左となるのがぼっちちゃんが本当はビジュアルもスタイルも良いということが露になる場面。山田リョウはぼっちちゃんをカネヅルにしようとする思考をするのだが、虹夏はここでソウルジェムが黒く濁るのである。普段見下してたやつが自分よりも優位的存在だったらそうなるわな。そしてついに雑誌記者から自分がぼっちちゃんよりも完全に下だと宣告される。ぼっちちゃんの家にお泊りに行った際、そのソロ演奏を見せつけられた時には「ライブでもいつもこのくらい弾けるようになったら…いつか私たちがお荷物になっちゃう日が来るかも……」と闇落ちするのであった。

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