【感想】『映画 スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪』(東映、2011年10月29日)

まさかの父親が主役のシナリオ。難しい年頃になった娘と関係性を再構築するために奮闘する父親が描かれる。
幼女時代は父親を慕っていたが、成長すると共に生意気な小娘となり父親を邪険にするようになった。
娘の為に歌を歌ってくれる父に対して、それは自分の好きな歌ではないと云い放ち忘れたのかと糾弾する。
その後プリキュア的展開により娘は囚われの身となり、救出するには彼女の好きな歌で覚醒させる必要があった。
父は娘の為に覚えている限りの歌を100曲歌い上げ、ついに解放することに成功する。
そして父は自分の妻がその身に邪気を封入し死ぬことで皆を救おうとしていることに気付くと分離させる。
妻が自分の意図を察せぬことを責めると、愛する人を犠牲にすることでの救済など御免だと漢気を見せる。
妻は愛する夫に惚れ直す。ラストは娘の自立を認めながらも寂しく思う夫に対して腕を組み支えていた。

プリキュア映画で父親にスポットライト!父と娘の関係性の再構築を描き出す。

楽しかった娘との思い出

本作の主役となるのは追加戦士調辺アコの父親!難しい年頃になった娘との関係性に思い悩むことになる。娘の為に行動するもヘッポコになってしまう父親が、娘に嫌悪されながらも、家族パワーで娘と妻を救済し、彼女達と関係性を再構築することになる。シナリオの設定は、調辺アコの出身地の異世界で音楽が消え、その余波で人間界でも音楽が奏でられなくなったというもの。問題の原因を探るために帰郷するアコにプリキュアメンバーもついていくが、そこは音楽の無くなったセカイで、虚ろな目をしながら音のしない楽器を弾き続けるという拷問のような状態であった。しかもこうなったのはアコの母のせいとか云われる。そんなわけで父はアコと共に妻の下へと急ぐのであった。だがアコは途中で球体空間の中に捕らえられ囚われの身となってしまう。さらには怪音を聞かされて聴覚責めにされる。そんなアコを救うには歌の力しかない!と、いうわけで父親はアコのために歌を歌うのだが、弾き返される。アコが心の支えにしている歌を思い出すため、父親は諦めずに100曲歌い上げるのであった。こうして父の歌は娘に届き無事に救出することに成功する。
 

娘のために奮闘し、見事救出することに成功する父親

異世界から音楽を消した犯人と目されていたアコの母だが、それには理由があった。アコの母親は敵ボスを自己に同化させ、自らを殺させることで敵を倒そうとしていたのであった。だが誰かを犠牲にした上での平和など許されない。アコの父親は自分の妻に取りついていた敵ボスを分離させる。当然、妻は自分の意図を察せない夫に憤慨するわけだが、父親は愛を説き漢気を見せる。最終的に敵ボスはプリキュアたちの力によって倒され世界には平和が戻る。プリキュアの一員であるアコは自らの意志で再び人間界へと戻り活動すると云い自立心を見せる。父親は寂しさを覚えながらも、その自立を認めて応援し、涙ながらに送り出す。子離れは必要なことと理性では認めつつも、感情では寂しさを抑えきれない夫を見た妻は腕を組み心の支えとなるエンドを暗示させて幕を閉じる。このようにしてプリキュア映画ながらにして調辺アコの父親に焦点が当てられた話であった。

妻を犠牲した上での平和など本当の平和ではない!
娘の自立を笑顔で見送る
娘の自立を寂しく思い涙を漏らすが、妻がそれを支える
娘の自立を見守るよエンド