先生との交流の中、これまで抱いたことの無かった感情を芽生えさせた同人腐女子がその恋心を持て余す話。
姫木メルは陰キャ系同人腐女子な二次創作作家。当初先生とは趣味を共有する同志的な関係であった。
だが先生から貴重な作画道具を貰ったり、一緒にお出かけをする中で、次第に恋心の萌芽が生まれる。
陰キャ系腐女子で男性免疫が無かったピュアな少女に気の置けない仲の頼れる男性が出来たら仕方ないよね。
先生がメルと同じ世界の住人であることを示すためにヲタク用語を使い出した時のメルの嬉しそうな反応がグッとくる。
また普段は甲高い声できゃんきゃん話すヲタ女が自分の本心を話す時だけ落ち着いた地声になるので声優の演技力が高い。
姫木メルのキャラクター表現とフラグ生成過程
- 同人腐女子の恋心の萌芽
- 最初は気の置けない関係になる所から
- 取材という名のデート
- メルが企画する腐女子的デート
- その後、メルは逆に先生をデートに誘う。この時、先生はメルに同志であることを示すために、ヲタク的な言動とムーブを見せてくれる。先生がこちら側の住人であることを知った時のメルの嬉しそうな反応はまさに必見である。先生が同志であることはメルにとって高得点であり一気に親愛度が高まるのであった。心を開いたメルは自分の創作の夢を先生に知ってもらおうと語っていく。今は二次創作だけど一次創作にも挑戦して人気になったら自分の作品でカフェコラボをしたいと夢がひろがりんぐ。また自分が創作理由という根っこの部分まで先生に共有を求めていく。頭の中に思いついたことを絵で表現して外に出力しないと頭がおかしくなりそうと述べた時に、思わずメルは自分の中に先生への恋心が芽生えたことを告げてしまうのであった。
- メルの秘密の部屋
- こうしてメルは先生により気軽に絡んでいけるようになり、ついに自分の秘密の部屋に誘うことになる。そこはメルが創作に行き詰った時に帰る原点であった。精神的に脆い所のあるメルはナイーヴで傷つきやすく、落ち込みやすかった。そんなメルが自分を保つために籠る同人部屋に先生を連れ込むのである。その部屋はメルにとってココロの中であり、それを先生に開陳したことは自分を受け容れて欲しいと願ったからであった。この部屋でメルは先生へ自分の心の中に芽生えた恋心を吐露し、そうした変化をもたらした責任を取ってと先生と逢瀬を交わすのであった。このメモロビにおいては、甲高くきゃんきゃん喚くヲタク女の声から一転して自分の心の感情を吐露する時だけ地声になるのだが、その演技がとてもうまく、メルという女の人物像を深め魅力を引き出すことに成功している。
- ヲタクが持つナイーブで傷つきやすいココロ
- メルが見せるココロの弱さは傷つきやすいヲタクの客観視でもある。イベストのメルが過剰に反応しがちだったり敵意を剥きだしにしがちだったのも、弱い自分を守るためだったことが窺われる。メルが告白する苦悩は共感的羞恥に駆られること請け合い。「〔……〕創作って思い通りにいかないことの方がずっと多くてさ。些細なことで落ち込んだり、どうしようもなく行き詰ったり……絵だけじゃなくて、何もかも全部投げ捨てちゃいたい衝動に駆られる時だってある。次の命令まで待機してる敗残兵にでもなったような気分になるんだ〔……〕」。このセリフにメルの感情が全て込められている。