H2O -FOOT PRINTS IN THE SAND- (枕)  の感想

田舎の小学校で起こるある日常のはなし。みんな仲良くなんてキレイゴトだけど、キレイゴトだからこそ、そこに思い入れが出来るのです。どんなにいい子でもいじめをなくす事は出来ない。それってホントにいい子と呼べるのだろうか・立ち絵は小学生に見えない
舞台設定は、田舎の閉鎖的共同体。社会背景は、部落差別といじめ。最近自ら命を絶つ小中学生が多いけど、この作品を是非やってもらいたいね。蓋し、内面的情緒を成長させていないから簡単に負けてしまうのかもしれない。物語りのプロットとしては、良くありがちな閉鎖的共同体へ外から第三者が入り込み現状を打開するという筋書きです。単一ルートでほぼ選択肢なしの読みゲー。固定シナリオでクリアするごとにルートが増える。以下、個別シナリオの感想をば!!

登場人物

  • 弘瀬琢磨:主人公・盲者(最初は盲ではなかった。色素が見えない?)
  • 小日向はやみ:いじめを受けている
  • 音羽:精霊
  • ひなた:委員長
  • 田端ゆい:ヤンデレ
  • 八雲はまじ:普通…じゃなかった。性同一障害。
    • 嘘は信じることを困難にする。そして嘘つきは独りになる
    • 明るく振舞って表面上仲良くすることを、私は友情だと思いません

弘瀬琢磨

都会から父の故郷へとやってきた主人公。大富豪の娘が駆け落ちして国立大学の助教授と結ばれた子供。視力や色彩が安定せず、本家からは呪われた子といわれていた。網膜異常のため、母に苦痛をかけさせたくないと自殺を図るが、母が身代わりになる。琢磨はそのことで完全に視力を失い、また、自分の自殺を庇って母が死んだという記憶も抜け落ちてしまう。各ヒロインとの交流で現実を受け入れ視力を欲し、再び健全な目を取り戻す。

小日向はやみ

村から差別されている家のこども。本来差別は緩やかなものだったが、村長の娘であるひなたと仲良くしたことから顕著な差別になる。ひなたとの交友関係はそこで途切れてしまい、親友に裏切られたと思っている。学校でも頻繁に暴力を受け家が貧乏であるため給食も満足に食べられない。教師さえもはやみを嫌う。だが、決してへこたれず学校に通う。絶えず凛としており、琢磨を心の支えにしていじめには絶対屈さない。
部落差別とは明言されていないがどうみてもそうとしか考えれないような設定はかなり残酷。島崎藤村『破戒』でいちおう免疫はあったものの、声付きで実際に見せられるとかなり耐えられない。しかも、いじめの描写はどうしても現実世界で経験したいじめのイメージを引き起こす媒介となってしまい、クリックするのも一苦労。結局、成長後に自殺をはかるが琢磨の力でハッピーエンドに。こころのささえがいるって素晴らしい。

神楽ひなた(本名;神楽ほたる)

村長の孫娘。姉にひなたがいたが、自分の我が儘でひなたを殺してしまった。そのため、母からほたるが死ねばよかったと言われ、自我の崩壊寸前まで追い詰められる。だが、祖父によるひなたの代わりとなれという助言に従い、姉の代わりとなり神楽ひなたの役を演じ続ける。
はやみと親友になるが、そのせいで見せしめとしてはやみの家が襲われ良い子である自分と親友である自分に葛藤する。結局、その罪を琢磨に告白ているところではやみが立ち聞きし和解。差別は、琢磨の祖父により強引に撤廃される。それで、村の人間は弘瀬家を恨むようになり琢磨は都会に戻ることに。成長後、ほたるを迎えにきた琢磨は二人で駆け落ちするも、父親に助けられなんとか生きていくことになる。
個人の力ではどうすることも出来ない壁の中で必死に生きようとする姿が象徴的。

 

音羽(本名;神楽ひなた)

ほたるの姉。妹のワガママにより死亡。精霊となって琢磨を支え、はやみと日向を仲直りさせる。