狼と香辛料 第8話「第9幕:狼と羊飼いの子羊」の感想・レビュー

今回のおはなしは羊飼いノーラとの道中譚。
ロレンスとふたりっきりで旅をしたい賢狼ホロは、お邪魔虫が出てきて拗ねちゃうの。
毎度おなじみ夫婦漫才をご覧あれ。

羊飼いノーラ


道中で出会った羊飼いノーラ。けどけどロレンスたちが選んだ道は、狼が出てくる危険ルートじゃなかったっけ?こんな小娘一人で大丈夫なの。なんと彼女は腕利き羊飼い。いい羊飼いは狼なんてへっちゃらなご様子、ホロからも上の中との評価を受ける。そんな彼女がなんと用心棒として雇用を要請。「狼防衛商売」の開拓と称して彼女を雇うことになる。小娘に靡くロレンスを見て、ホロはヤキモチぷんぷんだ。しかし、ノーラはわけありみたい。ロレンスの他愛無い日常会話にもしどろもどろ。確信的な部分からはのらりくらりとしちゃうのです。聞き出せた情報と描写からの類推を整理すると以下の通り。

  • 羊を預ける雇い主が低賃金重労働の教会であること
  • 彼女が修道院附属の救貧院出身であること
  • 将来は服飾職人として身を立てたいということ
  • 狼が出る難所をこともなく闊歩すること
  • 教会の周囲からは辟易されているような雰囲気

値崩れした武具を大量に仕入れたロレンスのピンチに羊飼いノーラはこれからどのような役割をするのか!?

夫婦漫才


ノーラと懇ろに話をするロレンス(25)を見て賢狼ホロのココロはみだれちゃう。ついつい陰険になってツンツン、寄りかかって身体を預けたり、腿をつねったりしてなんとか気を引こうとするの。そして「大変な仕事だな」とノーラの苦労を慮って口にするとついにホロの堪忍袋の緒がきれちゃった。ロレンスが食ってる干し肉を口移しで奪い取り、娘がロレンスと話すのを嫌がっている云々と難癖をつけ口撃する。だがホロあしらいのスキルが上昇しているロレンスは「いきなり一目惚れされちゃ徐々に好かれるという楽しむがなくてつまらん」と流れ星をバックに逆襲する!!ロレンスのかっこよさに―きゅんとしちゃったホロは仲直り、夫婦喧嘩は犬も食わないの。



街に着いたら露店を廻り、ロレンス故郷の商館へご挨拶。しばしの別れに頭を撫で撫でしてあげる描写に悶えちゃうの。商館ではロレンスの恥ずかしい黒歴史ばなし。金を盗んで娼婦を買いに行くとはロレンス(25)は既にオトコだったのね〜。貞操を売春婦に捧げて大人になるのはよくあること。中島敦の短編に貧しい少女を買うも結局やらずに、小汚い部屋の中で、オンナの前で『ポオルとヴィルジニィ』を読むという話があってだな。タイトルは『プウルの傍で』。興味が湧いた人には是非読んで欲しい作品の一つだよ!!