乃木坂春香の秘密 第3話「おしまいです…」 の感想・レビュー

世間からのヲタクに対する評価によって精神崩壊した少女のおはなし。
周囲からどう思われようと、自分の趣味を卑下してはいけないという趣旨。



学校にコミケカタログを持ってきたことが周囲に晒されてしまった乃木坂春香。それを主人公のゆーとさんが庇い、コミケカタログは自分のものであると大根演技。見事その意図は達成され、ゆーとさんがキモヲタ扱いになる。そして春香嬢は中学生の時にキモヲタとしていじめにあっていたためトラウマが発動し登校拒否になってしまう。漫画やアニメ絵にこれだけ拒絶反応を示すのが一般人ですか?というぐらいにキモヲタバッシングを受けるゆーとさん。おそらく、ここは大衆による偶像崇拝を表現したかったのでしょう。つまりは、高貴な存在として勝手にイメージを貼り付けるだけ貼り付けておいて、いざその幻想が崩れ現実を知ると、今まで踊らされてきた分バッシングに走るという行為。そしてゆーとさんが限りなく叩かれたのは、学園の偶像に近づく気に食わない存在だから。決して、ヲタ趣味の表面的な露呈だけで学校全体からキモ〜イ☆はないでしょう。・・・ないよな?ないって言ってよ!!



結局、ゆーとさんが登校拒否中の春香嬢のもとを訪れ、キモヲタ趣味でも偏見ないし見捨てないぜ宣言。周囲から苛められ孤立していた女の子に優しくしてあげてフラグ成立。どんな趣味でも春香は見捨てないぜという主人公の心意気に、存在意義を喪失していたおにゃのこが自己肯定⇒キモヲタ趣味は卑下することではないの!という流れになる。しかしこれは、キモヲタの世界観を肯定してくれているわけではないというところに注目しなければなるまいて。友達の緑の髪のショタ系キャラに対しては、ヲタであることに偏見を持っていないだけで、おざなりな対応だし。春香嬢の本質にはキモヲタという部分以外にも自己卑下やら天然など周囲が貼り付けるイメージにそぐわない部分を持っており、それを全部ひっくるめて内包してあげるという構図は主人公のヒロインに対することから起因する気持ち。そのことは決してヲタたちへの救済ではない。