星空のメモリアEternal Heart 乙津夢アフターの感想・レビュー

星空のメモリアEternal Heartの乙津夢アフターは、新婚生活編。
本編のメア転生子作りエンドまでの顛末を、洋が娘本人に語る過去回想で補完する形をとっております。
夢さんの姉さん女房っぷりのキャラクター表現がぐっとくるね。
消化不良だった洋と父親大河との親子関係もきちっと解決したあたり好感度高いよ。
これは良いファンディスクのシナリオであった。

夢さん自分の存在意義について悩む


不治の病を何とか乗り越え無事に退院を迎えた夢さん。両親が離婚し、死んだ祖母の遺産で治療費を払っていた夢さんに行くところは何処にもなかった。そんな夢さんを必要としたのは洋で、籍を入れて小河坂家で一緒に暮らすことに。自分が役に立たないお荷物であることを極端に怖れる夢さんはその裏返しとして、いつもお姉さんぶっちゃうの。二人は周囲にも恵まれ穏やかな時を過ごすが、懸念となっているのが夢の健康と引き換えに犠牲となった自称死神な星神メアのこと。メアの本体である隕石を見つけたいと願う洋と夢さんは、住民のボランティア運動をも巻き込んで隕石探しを決行する。隕石を求め山狩りをする洋とそれをサポートする夢。そんな折、ふとした瞬間に、夢さんは自分が洋に対して何か役に立っているか、これから何をしてあげられるかという思いに駆られるのであった。誰かを守れる人になりたい。その想いは保母さんになるという夢のかたちになっていく。捜索の方は困難を極めたが、最後まで諦めなかった洋は極限状態まで精神を高め多元宇宙空間にアクセス!!深層世界でメアと対面し、カササギに導かれ隕石を発見する。しかし隕石を見つけたと思いきや、一向にメアが出現する気配はない。メアの件をきちんと済ませてから結婚式を行おうとしていた洋だが、一応の区切りとすることに。この件に関しては、メアと必ず再会できると信じていた思いは夢さんの方が強かった。だって、自分の腹から転生形態でメアが誕生するのだもの。挙式の描写で旧友たちからエールを貰うところはええ場面や。結婚式を経て、夢さんは自分の存在意義を自覚した!!それは洋との赤ちゃんを産むこと。家族問題というテーマでも病弱なヒロインが出産時に難産と闘う描写からでも某鍵作品を少しだけ彷彿とさせながらも、夢さんが頑張って赤ちゃんを産む描写は感情を揺さぶられるね。



結婚式と出産 〜洋と大河の父子関係談義〜


さて本編で伏線未回収だったのだが、洋と大河の親子関係。ここで本編で複雑な小河坂家を整理しておく。洋の父親の大河は星神の力で、洋のママンとその交際相手(不治の病で病死寸前)を破局させる。こうして大河は結ばれ洋が誕生するのだが、ママンは覚醒し元彼と復縁。こうして異父兄妹として千波が誕生する。大河は恋仲破局させてしまったことを苦悩し、小河坂家から距離を置くようになる。一方で、元彼は不治の病で敢え無く病死。ママンは二人の男を好きになってしまった咎として、一人で子どもを二人の子育てをするが、数年後ついに過労で死亡する。洋と千波は一連の事件に巻き込まれ子どもを埋めなくなった詩乃さんに引き取られることになった、というのが本編の流れ。で、大河は自分付きの星神のレンを千波の守護とさせていたが、洋には何もしてあげられなかったというわけさ。FD中で洋が大河に会いにいってものらくら逃げられてしまう。そんな二人が向き合えるようになる契機として結婚式は良い機会。洋に息子として初めて接した大河に対し、洋も父親としての大河に頼ることを覚えたのでした。そしていよいよ出産間近。陣痛が始まった夢さんの下へ洋を送り届けることぐらいやってあげたい親心。車中で交わす、父と息子の会話。一度も父親としての大河に会わなかったけれど声は覚えていたと告げる洋に、「星空よりも儚い命の俺たちは星空を語ることで想いでを継ぐことができる」と応える大河。洋も自分の子どもに星空を好きになってほしいことに同感を覚える。そして病院に駆け込み陣痛にうめく夢さんの手を取って励ますのだ。洋も夢さんも皆から支えられている。無事に出産を終え、新しい命が誕生した。それは、メアの転生形態。メアが望んだものは幸せな家族。洋と夢と芽愛で三人の家族を作ってハッピーエンド。