カルマルカサークル「朝比奈晴シナリオ」の感想・レビュー

カルマルカサークルの朝比奈√は「親子問題の確執」。
親に意地張ってバイト戦士となり自立を目指す少女の救いとならん。
最後は『暗夜行路』してても『和解』しちゃった☆になりますが・・・。
お互いを愛するからこそのすれ違いを解決し、父娘の絆が回復しました。

朝比奈晴のキャラクター表現とフラグ生成過程

朝比奈さんは見た目ギャル娘のバイト戦士。学校もサボり気味であるため、主人公くんが担任により様子見に派遣されます。男嫌いで口の悪い朝比奈さんは主人公を邪険に扱いますが、自活のために頑張る姿は主人公くんのココロを打ちます。ここでの主人公くんの心情描写は、思わずグッと来たので引用しておきますね。「朝比奈はフラフラになりながらも、一人で帰って行く。あいつは毎日戦っていた。日常の生活ってヤツと。たとえ、それが自らが選択した賢くない道であろうと、非効率的な馬鹿な生き方だろうと、親のスネを齧って、安穏とした生活を営む俺よりも、あいつは圧倒的に自分の人生を生きていた。自分の力で生き抜こうとしていた」。こんな風に朝比奈さんに感化されてしまった主人公くんですが、勿論本当のことなど言えません。主人公くんに気にかけて貰って良い感じになっている朝比奈さんに対して、フラグをへし折るための伝家の宝刀を使います。すなわち「色々気にかけているのは個人的な感情からきたものではなく、教員に言われたからー」を発動させてしまうのですね。ショックを受け主人公くんを遠ざけようとする朝比奈さんに対して、同じ工事現場でバイトをするなどグイグイ迫っていきますよ。

朝比奈さんがバイト三昧な生活を送っている理由には「親子問題の確執」がありました。父親が過去に収賄の容疑をかけられており、不起訴になったものの、周囲から腫れ物扱いされているという問題を抱えていたのです。朝比奈さんはそんな父親から自立したくてバイト戦士と化していたのですね。しかし根本的な問題は別にありました。それは朝比奈さん自身が大好きであった父親を信じられなかったということです。父親は朝比奈さんに対して弁解も言い訳もしませんでした。そのため勝手に自滅しわだかまりが深まっていったのです。主人公くんやサークル仲間との情交により「しんじるこころ」を取り戻した朝比奈さんは、もう一度父親を信じるために過去の調査を開始します。調査の過程において、朝比奈さんは真実はどうであっても、自分は父親を無条件に信じる必要があったと後悔の念に駆られるのでした。こうして父娘は和解します。父親は病死した妻のために娘の進学費用が払えず、収賄の容疑を被る代わりに学費を免除して貰ったと告白したのです。こうして親子問題の確執は解消されハッピーエンド。『ましろ色シンフォニー』のメインヒロインも「親が大好きであるからこそ一人で意地張って突っ張ってバイト戦士と化して自活を目指すものの、反抗期特有の一人芝居であった」ことに気づくのですが、それと同じ雰囲気がします。