カルマルカサークル「ニコル・ルル・アードレー√」の感想・レビュー

カルマルカサークルのニコルシナリオは「打算のない人間関係」について。
ありがちな「貴種流離説話」に「発展途上国における資源紛争」で味付け。
シナリオも短めで、資源紛争に関して掘り下げもなく、薄っぺらなかんじは否めませんが・・・。
テーマは紛争云々よりも身分や国情を秘匿するため「仲間を裏切ることに関する罪悪感」にあるのかと。

ニコル・ルル・アードレーのキャラクター表現とフラグ生成過程

ニコルはとある発展途上国の王室皇女殿下。身分と国籍を隠して日本に海洋資源開発を学びに来ている留学生なのです。しかしながら、物語ではこのことを秘匿しており、ニコルはずっと罪悪感を持ち続けているという設定です。普段は明るく元気で人懐こいニコルでしたが、罪悪感に苛まされることもしばしば。こんなニコルの抱える闇を肯定してあげればフラグは成立さ。ニコルは「星渡り同好会」のメンバーには誠実でありたいと「打算のない人間界」を構築するために、自分の闇をさらけ出す強さを得るのでした。いやはや社会に出たら「打算のない人間関係」なんて到底無理。面従腹背、気に入らないことでも表向きは従い、生理的に好かない相手とも円滑にコミュニケートできるように自我を押し殺さにゃーならんからな。その点で、ニコルが自分の腹の内を明かすシーンが見せ場であったといえるでしょう。

ニコルがカルマルカを求めるのは、資源紛争による未来を改竄するためであり、「星渡り研究会」を利用していたのだと告白します。周囲からはあっさり承認されるのですが、ここからシナリオが急展開で中身はスカスカ。突如として、反体制派によるニコル奪取テロが勃発し、主人公くん一同で立ち向かうことになるのですが、その描写とかも希薄で、もうちょっと何とかならなかったのだろうかという雰囲気が漂います。主人公くんが「憤怒」の魔可を利用して活躍する場面もあるのですが、根本的な問題解決には繋がりません。間一髪のところでは、ニコルの母国の警備隊が鎮圧に成功し、おいしいところをかっさらっていきます。こうしてニコルは国へと戻り、姫様として戦い抜くことを決意するのでした。エピローグでは「3年後に主人公くんが海洋資源開発の専門家としてニコルの母国に派遣されたよエンド」を迎え、ハッピーエンドで終わるのでした。