第3回デジタル教材勉強会(於:大塚商会)

デジタル教材は導入後しばらくは生徒の興味を惹くが、三日もすれば慣れて飽きるということが印象的だった。また継続していくことの大切さが説かれた。ICTの実践事例はどれも視聴覚的な動物的興味を刺激することには長けているが、絶えず刺激を受けていると思索が深まらない。表面的な知識と動物的興味が情報機器の上で空回りしている感もある。

「新しいメディアの英語教育における可能性」

英語を確実に身につかせるには、「英語学習と英語使用の日常化」が必要である。そのためには学んだら使う、使ったら学ぶという「Learn and Use」をしなければならない。それをするには「持続的動機付け」が求められ、ストーリー性とゲーム性を取り入れていくことで効果があがる。ゲームは共時的に興味の喚起・持続を促し、ストーリーは通時的に動機付けになるからだ。以上の理由からゲームとストーリーを英語学習に取り入れ「楽しく学ぶ」ことを実現したのが、報告者が開発した「ココネ」である。「ココネ」は一種のSLGでキャラを育てるために、英語ゲームをクリアしてポイントを溜めたり、英語の講義を聴いて知識を身につけるというものである。教室型の英語学習では楽しく続けて学ぶということが容易ではないが、オンラインには楽しみと持続的な学習が同期する仕組みを作る大いなる可能性があるとのこと。

事例紹介など

事例紹介を3つほど見たが、結局は表面的な刺激で動物的な興味を持たせようとしていることに主眼がおかれている。短期的な刺激を絶えずしていることで思索が深まらない。結局、勉強や学習というのは自分の力でテキストを読み解いて時間をかけて独りで思索を深めなければ身につかないのではなかろうか。21世紀型スキルとかコミュニケーションとか協働学習とかも勿論大事だとは思う。人類は個人ではできないことでも集団を作ってバーストして大きな事業をやり遂げるからだ。だがその集団を形成する個体のスペックが低くてはどうしようもないだろう。いくらコミュニケーション能力が高く、自分の主張を論理的に説明し、ICT機器を操ったとしても煽動者となるだけだ。戦後の経験主義的な体験学習が「這い回る社会科」と言われたように、現在のICTブームは「這い回るICT」とかいう感じ。

ICT教育機器

企業がICT機器を宣伝するためのコーナー。反転授業が取り上げられたのだが「教員が板書を写しただけ」として私の取り組みが公開処刑にあうという事件が発生。ICT機器の新しいアイテム「教員がしゃべりながらノートを書く行為を録画する装置」の宣伝材料にされてしまった・・・。さらに反転授業は誰しもが興味を持ち、やってみるのだが最初の何回かで終わり継続できないと当てこすられてしまった。教員も続けられず、生徒も視聴しなくなるというのだ。対応策としてはコンテンツを細分化して、どの動画でも、どこからでも始められるスナック学習の要領で対処していきたい。