雑録

月に寄りそう乙女の作法2「大蔵瑠美音」シナリオの感想・レビュー

技術に裏打ちされた演奏で実力が評価されていたと思ったら実は親の七光りで精神崩壊。
頭の回転が早く優秀な人間かと思ってたルミねぇの人物像はメッキに過ぎなかったのです!!
融通が利かず規則に拘り脆くて意固地な面倒くさい女性に新たな価値観を芽生えさせましょう。
芸術における因果交流はサクラノ詩でもテーマになっていたよなぁと。
技術を高めるだけでは駄目で他者との交流で世界を広げてセンスを磨かねばならない。
論語』で例えれば「学んで思わざれば則ちくらし。思うて学ばざれば則ちあやうし」。

大蔵瑠美音のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 親の七光りで精神崩壊
    • 大蔵瑠美音は才華の大叔母。大蔵家の関連企業である化粧品会社のひとつを任されている女社長でもあります。規則を重んじ真面目なルミねぇは、音楽を専攻しピアノを専門とする音楽家でもありました。そんなルミねぇのことですから社長業の傍らで一日の空き時間の大半を練習に注ぎ込み揺るぎない技術を獲得していました。ルミねぇも自分の努力に裏打ちされた技能を自信にしていたのですが、無意識のうちに賞を獲得するのは当然!と思う気持があったのもまた事実でした。ルミねぇは技術こそ優れていたものの、その奏でる音質は多分に工業的なものでありました。同級生たちはそのことに気づいておりルミねぇに冷たい目線を向けていたのです。そしてルミねぇもようやく実家の大蔵家がカネをばらまいてルミねぇを受賞させていたことに気づきます。ルミねぇはその途端に自尊心が打ち砕かれ、羞恥心にまみれるのでした。普段から規則を重んじることを周囲に公言していたルミねぇが不正により高い評価を得ていたなんてまるでピエロと精神崩壊するところは見どころです。おすすめ。そんなルミねぇに対し才華は陰に日向にルミねぇを支えていきます。



  • 音に気持を乗せること
    • ルミねぇに足りなかったのは演奏者として観客を楽しませるという精神。サクラノ詩で直哉と稟が芸術論をぶつけ合ってた部分ですね。絶対的な美のイデアを現象界に発現させるという稟に対し、絵画は見られてナンボであり鑑賞者が魂を揺さぶられることが大事と直哉が唱えるのですが、まさにソレ。サクラノ詩の直哉が因果交流として他者との関わりによる芸術を重要視しているのと同じく、つりおつ2の才華も他者との交流により自分の芸術観を広げることを信条としているのですね。つりおつ2ではアメリカの音楽教育における「performance」の授業が紹介されています。「どうすれば楽しんでもらえるかって、いつも考えてる。アメリカでは技術力の高い演奏者が認められるんじゃない。人を集められる演奏者が評価されるんだ」と。ルミねぇは自分の音楽に対する原初の気持ちに立ち返り、幼少の才華と笑いながら楽しんでおこなっていた演奏を取り戻すのでした。また才華と情事を交わしたことにより新たなセンスにも目覚めていきます。そしてクリスマスのファッションショー。才華はルミねぇに自分のショーのBGMを依頼してしました。しかし才華はリハーサルで目を焼かれて参加できなくなってしまったのです。後はお約束の展開でルミねぇが代打でモデルを務め、才華がBGMを担当するという流れ。最優秀賞は獲得できなくてもルミねぇを輝かせたいという気持ちは自分が成功することだけに拘っていた才華をもまた成長させるものでした。今までぼっちだったルミねぇも他者と交わり世界を広げハッピーエンドを迎えます。あと夜伽の描写が笑えてインパクトが強いのも印象的でした。