アマチュア無線技士由紀

みなさまは『ゆきうた』(Front Wing/Survive 2003,12)を覚えていらっしゃるでしょうか?良作鬱ゲーとして有名で「アホの子系イモウト」菜乃(グリザイアの蒔菜の原型)を生み出した作品です。ひとむかし前に流行った「泣きゲー」では装置として身障者を登場させることが多々ありました(その極致が『かたわ少女』)。この『ゆきうた』にも盲目の少女が登場します。その人物が今井由紀であり、主人公が自分の視力と引き換えに目の手術を成功させるという内容だったと思います(うろ覚え)。そんな盲目少女由紀なのですが、趣味として「アマチュア無線」を嗜んでいたことが印象深く残っています。院生だった頃、山奥の村から通っていた後輩が部屋に防災用の無線機が置かれていると話した時に、自然地理の講師が70年代〜80年代くらいまでは趣味としてアマチュア無線が成立していたと指摘しました。

当時はその話を耳にした時、「それなんてゆきうた?」と思ったものでしたが、最近偶然『釣りキチ三平』を読み、アマチュア無線を趣味とする読み切りが収録されていて、この記憶を芋づる式に思い起こしたのです。タイトルは「幻の大岩魚アカブチの巻き」。アマチュア無線を趣味とするヒロインが秋田県の主人公と無線で交信し、岩魚釣りに誘われて東京から秋田まで行くという内容です。昔の漫画を読むと当時の社会の娯楽や文化の様子を具体的に知ることができて、楽しいものです。消費され尽くして消えていくものを整理体系化して、その価値を抽象化して位置づけ、普及させたいといつものように思ったのでしたとさ。

「幻の大岩魚アカブチの巻き」