雑録

『プリンセス・プリンシパル』の感想まとめ(時系列順)

5人の少女のスパイ活劇の背景に社会変革思想を埋め込み全体像を描き出そうという構造。各キャラの個別エピソードを中心としながらも設定とされているのは超科学兵器架空戦記モノ。19世紀末に超技術で覇権を握ったが革命を起こされて王国と共和国に分裂し「ロンドンの壁で」東西に隔たれるイギリスが舞台装置となっている。

時系列がシャッフルされて放映されているので、ここでは時系列順にまとめ直して掲載していこうかと思う。

case1「 Dancy Conspiracy」(第2話)


  • 入れ替わりスパイ作戦モノ!かと思いきやもう既に昔に入れ替わっていたの巻き
    • スパイとして姫様と入れ替わる作戦を展開することになったメインヒロインのアンジェ。養成所の腐れ縁である姉御系ヒロイン:ドロシーと共に作戦を実行する。しかしこの入れ替わり作戦はアンジェの巧妙な茶番劇。と、いうのも後のcase20(第8話)のテーマともなっているのだが、二人は幼少期に出会い、その時に入れ替わったまま戻れなくなっていたのだ。つまり現在のアンジェが元々のシャーロットだったという寸法さ。これを確認した上でパーティー会場における成長した二人の初めてのやり取りを見ると、幼少期の出会いをオマージュしたものとなっており構成スッゲーとなる。
    • そんなわけでアンジェ(シャーロット)としてみれば入れ替わったまま戻れなくなっていた姫様を王族の陰謀渦巻く宮廷から解放することを願っていたわけだ。だが姫様は姫様で成長しており、皇位継承第4位にも関わらず女王陛下になりたいとアンジェ(シャーロット)に告げる。貧民の身分から入れ替わった姫様は、かつてアンジェ(シャーロット)から聞かされた社会変革の決意を自分が達成しようと願うようになっていたのである。以上により駆け引きが展開されアンジェ(シャーロット)と姫様の同盟が成立。共和国派スパイのドロシー、共和国派スパイに属しながら実は現在の姫様の解放を願うアンジェ(シャーロット)、共和国派スパイを味方につけ継承権第4位から女王陛下の座を狙い上からの社会変革を目指す元貧民のプリンセスという壮大な設定である。

case2「 Vice Voice」(第3話)


  • 姫様への情熱を共有することで姫様付きの侍女とスパイに親交が芽生える
    • 超科学兵器架空戦記モノ…19世紀末のイギリスが超科学兵器で大飛行艇艦隊を結成し覇権を握ったが、革命を起こされてロンドンの壁で東西に隔たれ王国と共和国に分離したという超トンデモ設定であった。
    • 個別キャラのエピソードとしては姫様付きの侍女ベアトリス回。この作品は本当に父親-娘関係が悲劇であり、ベアトリスは機械狂いの父親に喉を改造されて常に蝶ネクタイ型変声機になってしまったのであった。ベアトリスが姫様に忠誠を誓うのは、この機械の喉でイジメにあっていた時に助けてくれたから。神様なんて信じないというベアトリスにとって女神となるのは姫様だけ!!ということで忠誠心がマックスになったのである。
    • 姫様の安寧を願うベアトリスだが姫様の思想に戸惑う。姫様は立派な女王陛下に即位し、上からの社会変革を行い(社会権の充実?)、王国と共和国で分離したイギリスを統一しようとしている模様。そんなわけで姫様のスパイ活動を快く思っていなかったベアトリスだが、スパイ任務を経験することで、メインヒロインのアンジェが自分と同じように姫様のために命を賭していること感じ取る。これにより姫様への熱い思いという共通点によりベアトリスとアンジェの間に親交が芽生えるのであった。

case7「 Bullet & Blade's Balladd」(第5話)

 

  • サムライチャンバラ活劇
    • 忍者系のじゃ炉利少女:チセが仲間になるはなし。暗殺者である父親を殺害する。戊辰戦争、条約改正、佐賀藩出身など19世紀後半ネタがテンコ盛りである。ジャパニーズ土下座をしまくるコメディかと思いきや、今回はサムライチャンバラが見せ場でありクルクルとまぁ良く動くことよ。
    • 立憲君主政と共和政で勢力が二分されてるっぽい描写もでてくる(全体テーマ)。個別テーマで見れば父親の殺害がメイン。なんと暗殺者はチセの父親であり、チセが父を殺害したことが全面に押し出されてくる。第6話でドロシーの父親も死んでるし、ヒロインの父親の死が共通体験になるのでは?とか邪推してしまうね。
    • そして百合友情シーン。いきなり現れたチセに不信感を抱くメインヒロイン;アンジェに姫様はバディを組めとのたまう。戦いを通して仲良くなっていき、最終的にはジャパニーズ土下座ではなく、西洋式を教えたげると二人で握手をするシーンは思わずグッときてしまうね。ハラショー。

case9「 Roaming Pigeons」(第4話)

 

  • 仲良しグループかと思いきや打算と駆け引きと化かし合いだったでござるの巻き
    • 今回のはなしの任務としては科学技術スパイなのだが、その背景にそれぞれの登場人物の思惑が隠されている。一見すると姫様様率いる仲良しスパイグループは王国内共和派で固まっているようにみえるのだが、それは砂上の楼閣。姉御系ヒロイン;ドロシーは共和派最右翼であり王女が二重スパイで君主派ではないかと絶えず疑っている。また忍者系「のじゃ炉利」ヒロインは英仏いまだどちらと組むか決まっていない状態の日本で、どちらにつくか見極める仕事を仰せつかっている。一方メインヒロイン:アンジェは姫様にのみ絶対的な信頼を寄せるのである。そんなわけでそれぞれの思惑を感知した姫様は自らが命を賭すことでチームが分解することを防ぐ(足が震えている所がみどころ)。こうして今回の科学技術奪取スパイ任務も成功を収めたのだが、視聴者に対して仲良しグループは化かし合いの上に成り立っていることが提示された。
    • 伏線としては姫様の政略結婚が提示され、モスクワ(帝政ロシア?)へ嫁ぐことや世界大戦という総力戦概念が既知のものだということが強調された。

case11「Pell-mell Duel」(第9話)


  • チセ回。東洋人から見たイギリスという視点で登場人物や目的のおさらいを行う振り返り学習回。
    • スパイの任務を与えられながら、誇りを重要視するがゆえに目立ちすぎてしまうチセの心境は如何に。侮辱され憤るチセに対し、姫様は正式な決闘方法を教授し、妨害工作にあいながらも撃破し溜飲を下げる。決闘の応援にスパイ仲間が来てくれなかったことを少し寂しく思うが実際には決闘の裏で任務をしており得心する。日本式に勝利を祝ってもらったチセは、祖国に対し親-プリンセス派であることを告げるのであった。
  • これまでのおさらいとプリンセスの恐ろしさについて
    • 今回は東洋からやってきたチセが姉に近況報告をするという形式で異文化体験記が綴られていきます。その中で登場人物の紹介やスパイ活動の任務が紹介されるわけです。この作品における日本の立ち位置が示され、王国と共和国に分離したイギリスのどちらにつけば勝ち馬に乗れるかを見極めなければならない状況だということが分かります。作中では勢力図が複雑に入り乱れており、分かりづらいですからね。今のところ勢力は3派に分れていて、ノルマンディー公率いる王国派、アンジェやドロシーたちを使ってスパイ作戦を展開する共和国派、そして実はアンジェたちは王国内において王権を乗っ取り社会変革を目指す姫様派を形成しているという構図です。9話のラストでチセは親姫様派である感情を吐露しましたが、それが姫様の策略でもあるかと考えるとプリンセス怖ろしいですね。
    • 今回も姫様は暗躍しまくり。チセからは「得体のしれない」と評されます。人種と権力によりチセが侮蔑された際、アンジェが任務優先で諭したのに対し、姫様は正式な決闘方式を教え、勝てと激励してくれるのです。そして妨害工作を受けつつもチセが勝利すると、スパイ仲間全員で日本式のお祝いをしてくれるのです。こうして姫様の心意気にチセは感服し親-姫様派となりました。しかし考えてみると、チセの決闘を餌にしてノルマンディー公の内通者に傍受装置を仕掛けていたり、ナショナリズムに訴えて好感度を上げたりしてて、結構えげつない策略を練ってて純粋なチセがまんまとそれに嵌っていくと考えると、姫様やっぱり恐ろしい。

case13「 Wired Liar」(第1話)


  • 目的遂行のための最善措置
    • 今回のスパイ任務は亡命者の手助け。時系列的には13話だが、放送順としては第1話なので各勢力図の紹介とスパイアクションの面白さが前面に押し出されているので、それを楽しめればよいと思う。しかし単なる活劇だけでなく、スパイの駆け引きおもしれーと視聴者に思わせねばならない。
    • と、いうわけで頭を使った二重スパイと意外な手段での目的遂行が描かれている。亡命者希望者の研究者は追加条件でイモウトも連れていくことを要求。イモウトは病気に侵されており研究業績と引き換えに西側(共和国派)がカネをくれるのだとかいう。だがこれは嘘で実際にはこの研究者は東側(王国派)と結びついており、西側への亡命ルートを暴けば王国派のトップであるノルマンディー公がカネをくれるのだとかいうわけさ。イモウトはバレエ少女であり、王国バレエ劇場への合格通知を貰っていたことから事件の背景が導きだされる。
    • この事件の根本的な目的は、病気に侵された少女の王国側での治療。これを見抜いたメインヒロインのアンジェは保険金詐欺を思いつく。つまりはどっちみち亡命希望者の兄は死ぬのだから保険に入らせて自分が殺す。で、頃合いをみて死体を発見させて降りた保険金でイモウトを治療するという流れ。二重スパイを暴いたのだから問題はないし、亡命ルートも割り出されなかったのでノルマンディー公の策略も防いだ。こうして兄は死んだけれどもイモウトを治療するカネができたので目的は遂行できたというビターエンドオチとなる。

case16「 Loudly Laundry」(第7話)


  • 非効率的な企業経営に対し個人の努力で対処しようとする日本人とサボタージュして身を守ろうとする外国人の対比
    • 資本主義社会における産業合理化のはなし。「のじゃ炉利日本人」回。何か危険な薬物を軍で違法使用していてその犯人をみつけるために服についた薬物反応から特定すべく洗濯工場に潜り込む。その工場はよくあるガタルカナル状態であり、経営戦略の矛盾を現場の努力に押し付けることで薄氷の上に成り立っている状態であった。これに対し「のじゃ炉利」は個人の努力と研鑽で立ち向かおうとするのだが、前提条件が間違っているのに真っ正面から立ち向かっていくだけではダメで、潰れるのは労働者の方であることを見せつけられてしまう。ゆえに過酷な労働をやり過ごすために、女リーダーは適度にサボるのであった。俺たち労働者は別に首にならん程度に働きゃいいのさという考え。それが一種の労働者の冴えたやり方なのでしょう。あーあ、完全に私は「のじゃ炉利」タイプの人間だわ。しかもそれで1回潰れて奉職先を変えてるし。しかしアニメはご都合主義。そんな経営効率の悪さを見かねた姫様が工場を買い取り産業合理化を目指す。機械のメンテを行い、配列を整えて導線の流れを改革する。また色仕掛けで新たなる契約先も開拓。見ている時には顧客の奪い合いで企業間闘争になるんじゃね?と少ないパイを奪い合う状況にヤキモキしたものである。だが、まぁそんなことにはならずホイホイと順調に軌道に乗っていく。ホントご都合主義っぽいけど、のじゃ炉利と女リーダーを対比させて労働の価値観を描こうとしていてイイタイコトは分かるって感じ。で、当初の目的通り薬物事件の犯人も見つかり一件落着。「のじゃ炉利」少女と女リーダーも遠回しだけど後腐れなく決着がついた。

case18「 Rouge Morgue」(第6話)


  • 救われないファザコンのはなし
    • 長身姉御系ヒロイン:ドロシーにピエロ役が割り振られる。ドロシーの父親は腕のいい職人であったが、義手になってしまったことを契機に暴力をふるい酒に浸るようになった。母親は娘を捨てて逃げ出し虐待はひどくなる一方。それでも暴力をふるった後に謝罪をしながら泣いて詫びる父を娘はなかなか見捨てることができなかった。しかしとうとう耐えかねて家を出た日、革命が勃発。以来、生き別れとなっていたのである。
    • だが、暗号を奪うために死体漁りの任務に従事することになると、そこになんと父親がいたのである。暴力に訴え当たり散らす父を軽蔑しながらも、またもや捨てきれない城を抱いてしまう娘。暗号を奪えば父親は借金を返せることを知ったドロシーは任務として暗号を書き写すと、それを父親に渡してあげるのであった。喜び勇んで駆けていく父親の指示通りに行動したドロシーは、勘違いから父親に売られたと思ってしまう。激昂してきったはったを展開するが、すぐに敵役の証言から父はなにがあってもドロシーを見捨てなかったことを知りご機嫌となる。だがその時父親は欲をかいて暗号の報酬を引き上げようとしたためアッサリと殺されてしまっていた。父親がもう既に死んでいるのに、父が自分を捨てなかったことに満足してご機嫌となり、待ち合わせにくるかどうかは分からんとは口では言いながらも、来ることを多分に期待しちゃってるドロシーさんのピエロっぷりが涙をそそる。
    • あと、ドロシーとベアトリスが友達になる友情回でもある。

case20「 Ripper Dipper」(第8話)

  • 貧民窟と王女の自覚 その瞬間革命勃発
    • 入れ替わり姫様モノ?窮屈な宮廷暮らしに嫌々していたら自分にそっくりな貧民と遭遇してとりかえばや物語。入れ替わった姫様は庶民生活を垣間見ることになるが、貧民窟を見て貧富の格差に愕然とする。こうして姫様は立派な王女になり社会変革をしようと決意するのだが、その当日に革命勃発。元に戻れなくなってしまう。貧民の女の子はボロが出れば殺害されてしまうという恐怖のもとで、必死に宮廷暮らしに必要な知識と教養を身につけていく。こうして貧民少女は完璧な立ち居振る舞いをして姫様以上の姫様となり、かつて姫様が語った理想を自分が実現しようとするのであった。
    • 姫様とアンジェの入れ替わりが視聴者に示される。かつての姫様シャーロットが入れ替わったまま戻れなくなり現在のアンジェをやっている。
    • 社会変革モノ?物語の舞台となっているのは貧富の格差の激しいヨーロッパ。都市には下層労働者が貧民窟にへばりついて生活している。主要登場人物のグループは王政が敷かれている社会体制の中で王族なのに共和派に属しており社会変革を狙っていることが示唆されている。その背景となるのが今回の話であり、姫様が貧民窟出身だからこそ社会を変えたいという思いが強いのであろう。

case22「Comfort Comrade」(第10話)の感想・レビュー


  • 悲劇の女ドロシー物語2
    • 陽気で楽天家に見えるドロシーですが、物語の中では悲劇を描かれることが多い役割です。前回のドロシー回では父親との和解が演出される一方、途中で父親は死んでしまうという報われなさが扱われました。今回は同期の友達が眼前でピストル自殺をしてしまうのです。
    • 今回の任務はまたもや二重スパイの調査ということで、アンジェとドロシーが養成所の同期と接触します。ついでにベアトリスを加えることで、アンジェたちに養成所時代の過去を語らせるという構図になっています。養成所時代からトップをひた走っていたアンジェ。視聴者は王女から転落したシャーロットが如何にしてアンジェとなり養成所に入りしかを期待していたことでしょう。しかしそれは今回ではテーマとならず残念。委員長系のキャラが登場し、アンジェがトップだったので、万年2位であったエピソードが展開されます。委員長が「成りたかった自分」としてアンジェを浮き彫りにするかと思いきや、委員長が憧れたのは自分にはない破天荒さを持つドロシーの方だったというオチになります。養成所時代、尾行試験で失敗した委員長に対し、試験は失敗したんだったら折角の外出なんだから遊ぼうぜと楽しむドロシーに委員長はときめくという寸法さ。
    • そして委員長は既にヤク漬けになっていました。二重スパイでもあったことも判明し、処刑しなければなりません。アンジェは独断専行して失敗してしまうのですが、それはアンジェなりの優しさだったのです。取り逃がした後、いつものようにトンデモアイテムを使って追いついたわけですが、既にもう疲弊しきっていた委員長はドロシーに心情(成りたかったのはトップのアンジェではなく自分にはない魅力も持つドロシーであったの想い)を吐露すると眼前でピストル自殺するのでした。ドロシーはアンジェがこのことに気づいており、ドロシーに処刑させたくなかったので独断専行したと思い至るところは悲劇の中の友情が感じられて結構好き。


  • プリンセス暗殺計画〜ルルーシュエンドになりそう〜
    • 今回の終局部において人事異動が起こり、突如プリンセスを殺せという指令が出て幕を閉じます。これは、いよいよルルーシュエンドになりそうな予感が高まってきました。case1でチェンジリング作戦に姫様を参加させる時、姫様が二重スパイだった場合、アンジェは自分が姫様を殺すと提案することで、司令部からの承認を引き出しましたね。で、アンジェがもともとプリンセスのシャーロットであり、入れ替わったまま元に戻れなくなっていたと。そのためアンジェは何かあったら自分がシャーロットに戻り、そして死ぬことを考えているのでは?というフラグがバンバン感じられてしまうんですよね。あれや、コードギアスの最終回でルルーシュがわざと自分を殺させた、あのルルーシュオチですよ!!きっと多くの視聴者も感じているに違いないと勝手に思っていますがどうでしょうか?

case23「Humble Double」(第11話)


 

  • 仲良しスパイグループの解散とクーデタ前夜
    • プリンセス暗殺計画がついに発動。そもそものチェンジリング作戦はスパイのアンジェがプリンセスと入れ替わることであった。だがこの作戦を提案したアンジェの意図はただただ過去を悔いてのものであり、二人で生きられればそれでよいというセカイ系エンドだったのである。幼少期にプリンセスをやってた頃のアンジェ(旧シャーロット)はあまりにも辛い王族の責務に挫折し自殺しようとしていた。だが身投げしようとした枯れ井戸で偶然出会った浮浪児(現プリンセス)との交流が、生きる糧になったというわけさ。入れ替わって戻れなくなった後も、アンジェ(旧シャーロット)は空っぽだったので、プリンセス(旧アンジェ)と会うためだけにつらい生活を生き抜いてきた。アンジェはプリンセスと再会し二人だけで逃げることを夢想していたのである。
    • だがしかしプリンセスは、かつてアンジェがプリンセスだった頃に見出した理想を受け継ぐことを生きる理由としてきた。すなわち自らが女王となって階級社会を平等にすることを目指してきたのである。アンジェの願いとプリンセスの理想はすれ違っていく。さらに作戦本部は女王を殺して王位を簒奪することを狙うようになっていった。プリンセスが女王に即位するという願い自体は叶えられるが、その手段は暴力革命なのであった。
    • 作戦本部の方針転換により仲良しスパイグループは次々と解散され、ドロシーおよびチセ殿が作戦から外される。窮地に追い詰められたアンジェはプリンセスと共に「飛んでカサブランカ」を決行しようとするがプリンセスに拒絶されてしまう。プリンセスはアンジェが諦められるようにと、わざと心にもない冷たいことばを投げつけていく。泣きながら罵るプリンセスの表情が見所ですね。
    • そしてアンジェを置き去りにして、自分がアンジェとして作戦本部へと戻っていくプリンセス。だがプリンセスを暗殺成功させたアンジェだと思い込む本部から、クーデターのお知らせ。植民地出身の陸軍に叛乱を起こさせ、女王を殺して王位を簒奪しようとしていたことを知らされる!どうするプリンセス!?そして飛空艇に取り残されたアンジェの運命は!?
    • ・・・と読むのがフツーの解釈なんでしょうね。けど、入れ替わりモノってそんな簡単にオチがつくわけないですよね。どっからどこまでがアンジェでどっからどこまでがプリンセスなんだ!?と視聴者をミスリードさせずにはいられません。
  • 最終回予想〜たぶん多くの視聴者が予想するであろう社会政策エンド〜
    • 現在のプリンセスがアンジェのために死ぬ。アンジェは一回落ち込む。だがスパイ仲間たちの総活躍で立ち直りクーデターを利用して女王として即位。共和国サイドのチェンジリング作戦は事実上成功するが、それはとりかえばや物語が解消され実質的にアンジェがシャーロットに戻っただけ。アンジェはかつて語った理想通りに階級社会・貧富の格差を解消するため社会政策に乗り出していくよエンド。浮浪児のアンジェ(現行プリンセス)の存在は消滅し、スパイとしてのアンジェも消滅する。こうして「アンジェ」という存在はW消滅を迎えたが、そのおかげで社会変革という思想は残った!!っていうオチ。

 


case24 「Fall of the Wall」(第12話)の感想・レビュー

排他的で閉鎖的な少女の「心の壁」を壊す話


  • 孤独なアンジェの友情物語
    • 二人きりの世界における平穏を望んだアンジェに対し、社会的責務を放棄してはいけないと考えるプリンセス。アンジェのためを思ってわざと冷酷な言葉を浴びせて拒絶します。絶望に打ちひしがれるアンジェを奮起させるのは、いつだって幼少の頃の思い出。自殺しようとしていた自分を救ってくれた存在のために、何度でも立ち上がります。プリンセスの書き置きを見て、冷酷な言葉はブラフであったことを確信する場面はとても良いですね。プリンセスを助けるために一人で突っ走るアンジェに対し、スパイ活動を通してアンジェのことを大切に思う仲間たちが増えていたという百合友情展開も熱い!特にプリンセスよりも長き時間を共にしたであろうドロシーに縋るシーンはどうしても感動してしまう演出になっております。父親をぶっ殺され、目の前で同期に自殺され、スパイとしてはあまりにも人間的と自嘲してきたドロシーが、トモダチとして手を差し伸べ、アンジェがうるうるするところは、こっちにもうるうるします。ソッコーでベアトにネタ晴らしされるオチもコミカル。これによりアンジェの心が氷解し、かつては拒絶したはずの「チセの一宿一飯の恩」を受け入れて、自ら頼めるようになり同行してもらうという展開はグッときます。


  • 社会変革モノを期待していると痛い目に合うぜ!可愛い女の子のスパイアクションを楽しもう!!
    • 過去に悲哀を持つ可愛い女の子たちが、スパイという泥仕事を通して、自己の役割や居場所を見出していく作品としては非常に良かったです。スパイアクションでクルクル動くのも楽しめました。けどこれって、社会改革思想を盛り込んだ架空戦記にする必然性はなかったのではと思ってしまいました。なんか持て余して浮いてしまっていてあまり機能していないように感じます。プリンセスが提示した「私の考えた身分制や階級格差の問題解決方法」には感動しなければならないという強制力が働いていましたが、その解決方法もルルーシュエンドとランス9エンド。つまりは自分が王女になったら自分で王政を廃し自らギロチンにかけられるよエンドですね。しかも結局は革命失敗どころか起こしてすらいないわけです。別に悲劇スキーなわけではないですが、これだけ壮大な舞台設定を用意しておきながら社会的問題を描くことは投げ捨て、アンジェとプリンセスが友情を確かめ合って終わりとは!身分制や移民との軋轢、底辺労働者の搾取や階級格差を、ヒロインに悲劇性を持たせるためのファッションとして利用しているに過ぎないように感じてしまいました。続編があるような終わり方でしたが、物語の根本的な解決はあるのだろうか?