国史概説EX001 試験対策(1) 全12回分 論点整理

  • 試験対策覚え書き
    • 試験対策は、漫然とノートを見返したり、まとめたりしただけでは効果は薄い(眺めるだけや手の運動なだけになる)。
    • また、理解(インプット)だけでしても、実際に試験会場で論述(アウトプット)できるかは、別問題である。
    • そのため講義ノートと配布資料を見返す際にも、漫然とやるのではなく問題意識をもって読み込むことが重要である。
    • では、その問題意識とは何か!?
      • それは、教授が学生の学問の到達段階をはかるためには何を出題せねばならないのか、を予測すること。
    • それゆえ、(教授になったつもりで)自分で問題を作り、自分で模範解答を作ってみることが肝要である・・・と、いうわけで作った。
  • 攻略方針
    • 大問4つで試験時間が90分。見直しもすることを考慮すると、大問一つにかけられる時間は20分程度。出題者の意図を読み解き、明瞭簡潔に論証せよ。
  • みんなも解いてみてね!!

大問1:中世

日本における歴史学の趨勢について
  • 戦前の歴史研究について、漢文編年史・正史志向、官学アカデミズム、皇国史観から説明しなさい。
  • 戦後歴史学に関し、唯物史観の影響とその結果としての実証の空洞化について説明しなさい。
  • 1970年代における社会史の隆盛とその問題点、および社会史への反発について説明しなさい。
  • グローバルヒストリーの中に日本史を組み込むにはどうすれば良いか。日本外交史の事例から説明しなさい。
時代区分論
  • 唯物史観の概略について説明し、それを日本史に当てはめようとした際に生じた問題を論じなさい。
  • 日本における封建制の区分について、起点を太閤検地に求める説(太閤検地以前は奴隷制)を「職の体系」と「作合」の観点から論じなさい。
書き換えられる歴史
  • 唯一普遍の歴史など存在せず、絶えず歴史が書き換えられていくのはなぜか。「最善の仮説」の観点から論じなさい。
  • 書き換えられる歴史の事例として、倭寇の主体論争がある。戦前では「倭寇=日本人説」であったが、どのように書き換えられてきたかを説明しなさい。その際、「境界人」の概念の導入と「民族意識」からの反論を述べなさい。

大問2:近世

近世の特質
  • 地域として日本列島を区分した際、三つの文化の観点から分類し、江戸時代においてどのような状況となったのか説明せよ。
  • 国家としての日本に関し、大和王権の継続性について説明せよ。
  • 時代区分論において、社会構造の転換から近世を見た際、どのような観点から区分できるか。内藤湖南応仁の乱、安良城盛昭の太閤検地柳田国男の木綿、高埜利彦の犬喰いを踏まえて説明せよ。
  • 江戸時代の画期性について、水林彪、吉田伸之、岸本美緒の江戸時代の評価を説明せよ。
近世身分制社会
  • 身分の発生を「民族」と「職能」の観点から説明せよ。
  • 太閤検地の意義について、中世における重層的な土地支配を踏まえ、領主的土地所有と百姓的土地所有の観点から説明せよ。
  • 固定化されていた身分制社会において、その周縁にいた人々を参勤交代と一季居奉公人の観点から説明せよ。
  • 近世社会の身分が流動的であった事例について、「本所編成」及び「株売買と養子縁組」から説明せよ。
触穢の観念
  • 江戸時代における穢れの観念の発生について服忌令を挙げて説明せよ。
  • 明治時代における身分解放令について、江戸時代との連続面と断絶面を説明せよ。
  • なぜ現代日本において被差別部落問題を教育しなければならないのか。身分制社会の包摂と排除の原理から説明せよ。

大問3:近現代(1) 明治国家

明治国家の理念と位置づけ
  • なぜ明治国家は理念上は天皇親政だったのか。「支配の正統性」という観点から説明せよ。
  • なぜ明治国家の実態は天皇が親政を行えないのか。「国民国家における政治的側面」から説明せよ。
  • 明治政府が理念上中央集権国家をとった理由を、幕藩体制と比較し、王土王民論の観点から説明せよ。
  • 幕藩体制の地方支配の実態について説明せよ。
  • 天皇主権説と天皇機関説を、明治憲法第四条及び第五十五条から説明せよ。
  • 明治国家の地方支配を地方自治制(1888)における府県と市町村の観点から説明せよ。
  • 現代日本において中央集権国家とはいえない側面を説明せよ。
権力分立体制、内閣制度、政党政治
  • ★★★井上毅は一人の大臣が内閣を総辞職させないようにするため単独輔弼責任を組み込んだのに、なぜ結果として井上の意図とは逆に単独輔弼責任のために内閣が総辞職するシステムになってしまったのか?内閣官制第五条「閣議」の側面から説明せよ。
  • なぜ明治憲法においては必然的に政党政治へ繋がるのか。国民国家における政治的側面を踏まえ、閣議と連帯責任の観点から説明せよ。
  • 明治憲法において政党政治はどのように正統化されるか。三つの観点を挙げて説明せよ。
  • なぜ明治国家において政党政治は滅びたのか。三権分立と議院内閣制の側面から説明せよ。
統帥権独立、陸海軍、戦時体制
  • 明治国家における国政と統帥の分離を明治憲法11条と軍人勅諭から説明せよ。
  • 陸軍と海軍の組織について6つの組織を挙げて説明せよ。
  • なぜ明治時代においては国政と統帥が分裂せずにいられたのかを人材の側面から説明せよ。
  • なぜ近代の旗手であった陸海軍が反近代の権化となってしまったのか?政党政治と総力戦の観点から説明せよ。
  • ★★★明治国家において、ガルパンの「戦車道」が成立し得ないのはなぜか。近代兵器への敵視と精神主義化の側面から説明せよ。(※ホントウに講義内で教授が解説なさった)
  • 明治国家はなぜ崩壊したか。天皇親政の理念と天皇超政の実態を踏まえ、天皇の戦争責任の観点から説明せよ。

大問4:近現代(2) 戦争と植民地支配

1930年代と日本の戦争
  • 1931〜1945年におこった軍事・戦争はどのように認識・区分されてきたか。それぞれの説を挙げて説明せよ。(1931満洲事変、1933塘沽停戦協定、1937日中戦争、1941太平洋戦争をどのように捉えるか)
  • 満洲について「州」と「洲」で何が違うかを説明せよ。
  • 関東軍はなぜ満洲事変を起こしたか。「満蒙の特殊権益」を踏まえ経済・移民・対ソ政策・対朝鮮政策の観点から説明せよ。
  • 華北分離工作について冀東政権の機能的側面から論ぜよ。
  • なぜ盧溝橋事件の発生が戦時体制の確立に繋がるのかを説明せよ。
植民地工業化論
  • 満洲研究に関し、戦前〜現代にいたる満洲研究の概要・論点を説明せよ。
  • 朝鮮研究に関し、戦後朝鮮研究は朝鮮近代史料研究会が主導したが、その概要を説明せよ。
  • 帝国主義論に関し、現在の植民地研究において民族闘争に対する評価が低いのはなぜか説明せよ。
  • ロストウの近代化論について説明せよ。
  • フランクの従属理論について説明せよ。
  • ウォーラーステイン世界システム論について説明せよ。
  • 「経済発展論的視角」に基づく植民地研究を「植民地近代化論」と「収奪論」の立場から説明せよ。またその二つの対立概念を克服する視座を答えよ。