史料判読能力養成講座012 官報の号外には何が記載されているか? 他、皇室典範における践祚と即位・明治天皇の大喪・海の日など (『原敬日記』7月30日より)


前回、教授の質問に的確に答えられず即死したため、下調べをして講義に臨みましたが、結果はどうだったでしょうか?


つ〜残念なお知らせ〜 【劣等】今日も教授にフルボッコ【恥辱】




はい、どーも。今日も教授にフルボッコ!知性を示すには出題者の意図に対して、明瞭簡潔に答える必要があります。すなわち、思考の瞬発力! 近年は「知識の陳腐化」といって、「ネットで調べりゃ分かるから知識詰め込みは無駄だよ」という風潮があります。確かにそれはその通りなのですが、「整理された体系的な知識群」を持っていないと、face to faceの咄嗟のやり取りの場面では反応できないわけです。


と、いうわけで今回は「官報」の「号外」について答えられず死亡したのね。崩し字の小テストも粘れてなかったし、もっと必死になるべきでしたね・・・
はい。それじゃあ、どのように死亡したのか、経緯を説明しなさい。


まずお約束通り、践祚と即位の違いが聞かれたわけですよ。これはもう下調べをしておりました。バッチコイ、私を指名してくれれば答えられる!!。近代においては登極令で践祚改元ならびに即位礼・大嘗祭に関する規定が定められていましたので、法的根拠を明らかにしながら、践祚では践祚の式(「賢所ノ儀」や「剣璽渡御の儀」など三種の神器の渡御による皇位継承)と元号の制定を述べ、即位では即位礼と大嘗祭を行うことを指摘すればよかったのです(簡潔)。


けど、話が変な方向に飛んだのよね。


私は指名されず・・・。話はなぜか即位=国民に認知させるとかいう流れになり、原敬日記の本文中で、践祚を告示したってあるじゃん!国民に知らせてんじゃんとかいう展開になりました。いや国民に認知させるとかさせないではなく、即位の礼は、皇位継承の正統性を対外的に示すセレモニーなのでは?


そして、明治末大正初めにおいては、どのような手段をとれば国民に情報開示をしたことになるのかという質問になったのね。現代でも新しい法律が施行された際、国民に周知徹底されてなくても、知りませんでしたで済まされなくて、逮捕されますわね。


その答えが官報であり、官報に記載された時点で、国民は知っているということになっていて法律が適用されるのだということでした。明治国家の官報の掲載事項は、勅語太政官布告(のちに法律)・勅令、各省の令・布達・達・告示・伺指令・叙任から警視庁・東京府の令・告示など。


で、ここで教授からのクエスチョンに答えられなくて死亡したのね。質問事項は、官報は号外が出されることもあるが、どんな内容が記載されるのかということ。


私は、官報がほぼ日刊であることを知らなかったので、新しく法律が制定されるとすぐに知らせなきゃだろうと思いこんで、新しく法律が制定された時と答えたのですが・・・


まぁ、ほぼ日刊なのでフツーに考えたら、号外には載らないのだわ。官報がほぼ日刊であることを知らない無知を晒したのね。きっと教授も無知蒙昧だとお思いになったことでしょう。


答えは帝国議会の議会速記録でした・・・。余談ですが、『法令全書』の話もでました。官報に掲載された詔勅・布告・布達・達・告示などは、分類・編集され『法令全書』として毎月一回刊行されたとのこと。『法令全書』に収める法令の起点は、慶応三年(一八六七)十月とされ、明治十七年十二月以前の十七年間余に及ぶ法令についても編集しているのだそうな。

その他、教授の質問事項まとめ

  • 明治天皇の大喪
    • 明治天皇崩御から大喪まで時間があるのは、殯(もがり)の儀の為かと思いきや、当該教授は対外関係から説明なさった。
    • 国家元首が死んだのだから、各国代表は葬儀に参加しなければならず、すぐには来られないからスパンがあいているという説明でした。殯(もがり)の儀じゃないの?
  • 海の日
    • 海の日の起源についても答えられずに死亡。
    • 日本大百科全書(ニッポニカ)より
      • 「〔……〕この日はもともと、海運の重要性を認識し、海運・海事関係者に感謝することを主旨とする「海の記念日」として、1941年(昭和16)の第1回目以来国民行事が行われてきた。その起源は、明治天皇が1876年(明治9)東北地方巡幸の際、軍艦によらず灯台視察船の汽船「明治丸」(1028トン、のちに改装されて練習船となり、現在東京海洋大学に保存)で青森から函館(はこだて)経由、7月20日横浜に帰着したことによる。」("海の日", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2018-07-09)