2020年2月発売新作ノベルゲームは何を買ったらいいですか!?

2月は『マルコと銀河竜』と『HaremKingdom』が二強となっています。
シナリオ重視層には『マルコと銀河竜』。恋愛皇帝や野良猫ハートで著名なはと先生作品。
キャラゲーなら『HaremKingdom』。おバカなギャグゲーで名高いメーカーSMEEの作品。
あとは有象無象な感じであり体験版の時点では如何とも言い難いです。
『TrymenT』と『LOVE・デスティネーション』は思想の押し付けが激しいが化ける可能性あり?

【目次】

バカゲーギャグゲーと見せかけた哲学ゲーで名高いはと先生の作品!

『マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~』(TOKYOTOON)

  • 読み物として一番期待できそう
    • この作品はカートゥーン的な動画が組み込まれていることで有名になり、単なる紙芝居を超えた!と話題になりましたが、勿論それはシナリオあってのもの。ライターのはと先生は同人時代から、独特なおバカ系ギャグを駆使しながらも心が温まり人生を考えさせられる哲学ゲーを作り上げてきました。商業作品も恋愛皇帝、野良猫ハートなど良質なシナリオを提供してくださいました。今回の作品では母親を殺されたヒロインが奴隷となり、そこから名を挙げてトレジャーハンターに成り上がっていきます。そして入手した宝玉を中心に、全宇宙的争奪戦に巻き込まれていくのです。ジェットコースターのような急激な展開やサクサク進むテンポの良さが特徴的で、しかもそれがシナリオの伏線となるという深さも持っています。体験版の時点では、奴隷となったマルコが成り上がる為に銀河竜と契約を結んだこと、宇宙の支配者の娘が価値観の押し付けをしてくる親に不満を持ちながらも諾々と従うしかないこと、人間勢力のイカれたお嬢様が大暴走していること等々が布石として敷き詰められています。果たしてマルコは宝玉争奪戦を勝ち抜き、死んだ母親の来歴を突き止めることができるのでしょうか!?マルコは銀河竜に食われることが契約で確定しているため、その処理をどう表現するかも気になるところです。


信者も多いメーカーSMEEのお家芸!バカギャグキャラゲー

HaremKingdom -ハーレムキングダム- (SMEE)

  • キャラの掛け合いがウリ!信者も多いSMEEのお家芸
    • メーカーSMEEと言えばキャラゲーをウリにしています。それは単なるキャラの可愛さで売るのではなく、キャラとの面白い「おふさげ」的な掛け合いを楽しむバカ・ギャグゲーテイストを魅力としてします。本作の場合は異世界転生しハーレムを築くことになりますが、そこでのヒロインたちもかなりぶっ飛んだ性格の持ち主であり、ドタバタギャグコメディが展開されるのです。体験版では導入部分のため、一緒に異世界転生する幼馴染がやや出番が多いと言えるでしょう。幼馴染のパターンとしては主人公に対して好感度マックス状態なのに居心地の良い関係性に依存し恋人関係に進展できないという展開がお約束ですが、本作の幼馴染も中々のツンデレっぷりを見せてくれます。主人公はハーレムを作って子作りをしないと死ぬという設定であり、どのように一筋縄ではいかないぶっ飛びヒロインたちとフラグ構築していくかが楽しみでもあります。完全にギャグゲーなのでお笑いを求めている層に訴求していると言えます。

ライターもしくはメーカーの思想の押し付けが激しいが、化ける可能性もあり!?

TrymenT ―今を変えたいと願うあなたへ― AlphA編(TrymenT)

  • 前作『Re:LieF』のリニューアル作品です。設定としては「日本人の理想的な労働者像」からこぼれ落ち社会的敗残者となった若年層労働者の更生を目指すという作品です。このテーマを忠実に表現すれば面白い作品が作れると思うのですが、メーカーにとってこれはあくまでも撒き餌に過ぎないようです。スランプに陥った漫画家と車椅子少女の凸凹コンビに空気の読めない自分勝手な肉体系の男性などにスポットライトが当たるので、彼女らがフツーに成長していくのでも十分いいんじゃない?とは思うのですが・・・。メーカーの意図としては前作とリンクさせたいらしく、いたるところで前作『Re:LieF』が出てきます。しかし『Re:LieF』はいじめられっ子だった少年の物語なんですよねー。排斥されていた少年がAIの少女に導かれてイジメを克服しようとした矢先に事故で昏睡してしまったので、少年を救済すべく創り上げられた脳内電子世界仮想空間に、若年層更生プログラムの参加者が電子的没入をさせられていたというサイバーパンクっぽいノリ。社会問題を描くかと思いきや、いじめられっ子の少年の話にシナリオが収束してしまうというオチになったのです。当時のプレイヤーたちは体験版詐欺感を十二分に味わったものです。「今を変えたいと願うあなたへ」と副題が付けられていますが、若年層労働者の更生問題はどこまで深く掘り下げるのかに注目が集まります。なぜこのメーカーはAIの仮想電子空間ネタをやりたがるのでしょうか。

LOVE・デスティネーション (JADE)

  • 中年男性が学生時代へ「死に戻り」(強くてニューゲーム)したのに、いつまでもウジウジした様子を見せつけられて苦痛。攻略ヒロインも微妙。
    • 主人公は冴えない中年男性です。ライターは上級国民やフェミに対して怨恨があるようで、語り部である主人公を通してグチグチとした文章が綴られるため、これを読んでいくのが非常に苦痛となっています。死に戻りをした後、主人公がこれまでの知識を利用して高校時代からの人生をやり直すターンになれば変わるかもしれないと期待して、文章を読んでいったのですが、そんなことは無かった。主人公は自分の人生を変えるため前世では蹴った共学化した元女子高への入学を決めるのですが、そこでも鬱屈した人生を送ることになります。元女子高では旧勢力が根強く残っており、主人公を排斥するため、学園生活の様子も全く楽しくありません。主人公に対して当たりの強い女性たちを屈服させるというギャップ萌え・カタルシスを狙っているのでしょうが、キャラを攻略する気に全くなりません。キャラの中で唯一可愛い人物は主人公の男友達という。もしかしたら男装キャラで攻略できるんじゃね?とも思った時期が私にもありました。主人公も同様に思ったらしく連れションに行くことになり、そこで男性器を確認することになります・・・。攻略対象するにしてもLGBT展開になるな!まぁノベルゲーのキャラでは、性同一性障害は何人かおり『北へ。』のまふゆや『ぬきたし2』の秋野水引とかが有名です。『ぬきたし2』では菊門プレイもありましたしね。一応体験版終局部では主人公がヒロインたちから惚れられる展開になります。しかし、そこへ突如現れた少女がそんなにイキナリ人生うまく行くわけないじゃんという示唆を行い、形而上学的世界設定が匂わされてオチとなります。製品版の展開しだいでは面白くなるのかもしれませんが、テキスト読むのが苦痛すぎます。

その他

はじカノ ~君がいる部屋~ (キャラメルBOX いちご味)

  • アパートの一室を舞台にしたJD・OL・義妹とのハーレムもの
    • 主人公はエロゲ会社に務める会社員です。会社近くのアパートに引っ越しをしたのですが、そこでの1室を舞台にラブコメが繰り広げられるという展開です。分類的にはキャラゲー。アパートの部屋の元居住者であったJD、会社の先輩のOL、主人公の義妹が一部屋に集いそこでワイワイやるのが楽しみとなっています。時間帯によって役割分担されており、朝には偽妹が起こしに来てくれて一緒に出勤・登校、会社では仕事で先輩にお世話になり終業時には飲みに行きます、夜パートではJDの出番となり近所のスーパーで買い物をする時にエンカウントし栄養学を専攻しているという名目で夕食を作ってくれます。シナリオに特に目的は無く、イチャコラするのが主眼となっているようです。原画については立ち絵の目の塗り方が独特であり一瞬混乱しているような目に感じてしまいます。またOLキャラの立ち絵のポージングに片方のモモをあげているものがあるのですがブラジル体操が彷彿とされて思わず笑ってしまいます。

推しのラブより恋のラブ(SukeraSomero)

  • ソシャゲ中毒のOLが超幸運レズJKを利用するために自身の身を捧げる百合ゲー
    • 最近はガチレズの作品が増えてきましたね。個人的にはきらら系程度のゆるい百合が好きなのですが、本作はガチ百合となっています。主人公のOLは廃課金勢であり生活費までソシャゲ及びメディアミックスコンテンツにつぎ込んでいます。そんな時に出会ったのが超ラッキーガールのJKでどんなソシャゲのガチャでも欲しい物を引き当ててくれます。OLは思わずソシャゲのキャラに結婚しようと述べるのですが、JKはそれを自分が言われたのだと勘違い。程なくして誤解は解けるのですがJKはガチレズであり、OLのことをすっかり気に入ってしまったのだとか。ここでOLがすっぱり断れば問題にはならなかったのですが、JKの超ラッキー体質を利用することに目が眩んでしまいズルズルと関係を引き延ばしてしまうのです。JKはこれ幸いにとOLがズルズルしているあいだにドンドン外堀を埋めていき同居まですることになります。OPの予告的にはOLのオタ活動にJKも参入してくるドタバタ劇になる雰囲気が漂っております。絵はとても美しい。

フルキスS (戯画)

  • 戯画マインキスシリーズ
    • 戯画によって量産され続けるキスシリーズ。よく飽きもせず学園モノを作り続けるようなぁとメーカーの姿勢に脱帽です。こうなるともういつまでキスシリーズが続くのかが見ものですね!しかし最近では開発すら面倒になってきたのか、前作はキスアトの続編でしたし、今回はフルキスのスピンオフです。まぁシリーズがたくさんでているとは言え、続編やスピンオフにすれば学校の設定や制服を新たに考えなくてもすみますからね。しかし学園モノは制服が一種のウリとも言え、エロゲ制服シリーズとしてそれだけで購買者の購入意欲を喚起させる一因にもなっているため、新しいデザインを出せないのはそれだけキスシリーズが末期状態とも考えられるかもしれませんね。これ以降のキスシリーズが続編かスピンオフ・少数ヒロインのミドルプライスで発売されるようになったら、いよいよ終焉が近づいているといえるでしょう。完全にキャラゲーでシナリオは微妙なのですが、そのキャラもイマイチすごく可愛いというわけでもありません。大和撫子清楚系と陽キャパリピギャルの2人です。強いて魅力を挙げれば三角関係といえるでしょうか。大和撫子→主人公→ギャルというそれぞれ一方通行の好意が設定されており、これらがどう変わるかが見どころといえるでしょう。

絶対女帝都市 ~叛逆の男・カムイ~ (アストロノーツシリウス)

  • 拠点制圧ゲー要素の残骸を含んだ原画ゲー
    • 文明崩壊後のポストアポカリプスモノ。女性が絶対的な権力を握り男性を虐げるようになった世界観。文化的生活をするには女性に隷属して都市に住まわせてもらうしかなく男性は散発的な抵抗を続けています。そんな中、ハードボイルド的な男性が現れ、支配者の女性を屈服させていきます。女性優位社会を転覆させるという所に面白さがあるといえるでしょう。高慢ちきで生意気で気位の高い女の鼻を圧し折ることが主眼となっています。しかしシナリオの中身はほぼスカスカで原画頼みとなっています。一応拠点制圧ゲームらしきものの残骸が残っていますが、ポチポチと選択してクリックするだけです。物語としてシナリオを構築できなかったので、断片的なテキスト群を繋ぐために拠点制圧ゲーを入れざるを得なかったのかもしれません。絵が秀逸なことだけは確かです。

なごりさんは六堂和里になりきれない -恋愛偏差値0の心理学- (INTERHEART glossy)

  • オバサンがきゅる~んとしても痛々しいウワキツがウリ
    • 設定としては25歳なのですが、立ち絵的にはとてもそうは見えません。パッと見で30代でしょうか?大学の講師という設定なのですが、25歳ってストレートで修士修了でフツーだったらまだD1。メーカーはこのキャラが超優秀であることを示そうとしたのか、それとも最初の年齢設定(30オーバー)だとユーザーがついてこないと判断したのか、いくつか推測されてしまう要素があります。話の内容としては、男を手玉にとるモテモテの女性とみせかけて実は純朴な処女である主人公のヒロインが、18歳で入学したての男子大学生を利用しようとして逆にきゅんきゅんさせられてしまうところがウリになっています。しかしギャップ萌えといえば聞こえはいいですが、30過ぎたオバサンがきゅる~ん☆とかする心情描写を見せられてもウワキツとしか思えないのがつらいところ。私がこのゲームをするにはまだ功夫が足りなかったのだわ・・・BBAがトキメク様子を見たい人がターゲット層になるのかと思われます。


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