雑録

帝国主義概論

(1)19世紀後半の世界の一体化

  • ①工業化→原料供給地・製品市場に加えて、資本の投下先や労働力の移動先を求める。
  • ②経済活動の膨張→世界市場のはたらきが各地の経済を連動化

(2)第二次産業革命

  • 1870年代から始まった電力・石油を新動力源とする重化学工業中心の産業技術革新。アメリカ・ドイツが中心。

(3)資本主義の最高段階としての帝国主義 【金融資本・独占資本・資本輸出】

  • ①金融資本
    • 新産業は巨額の設備投資が必要。米・独では資本が十分にない状態でも高価な機械を導入せざるを得ない→産業設備用の資本(産業資本)を獲得するにはどうすればいい!?→銀行からの融資が不可欠となり、企業と銀行が密接に結びつく→銀行資本と産業資本が融合し金融資本が生まれる!
  • ②独占資本
    • (a)少数大企業の支配
      • 多くの産業では大量に生産するほど利潤が増大する規模の利益(スケールメリット)が働く→現代では少数の大企業が市場を支配する寡占市場が主になっている。
      • 基幹部門における大規模な設備投資の必要性→少数の大企業に生産が集中→巨額の資本調達・相互利益を守るため独占体が形成される。
    • (b)企業の巨大化
      • 一企業の利潤蓄積(資本の集積)+複数企業の結合(資本の集中)
        • カルテル(企業連合)…同一業種の企業が、生産量・価格などについて協定を結ぶ。各企業は独立性を保っている。
        • トラスト(企業連合)…同一業種の企業が合併するなどして、一つの大きな企業をつくる。
        • コンツェルン(企業連携[結合])…持株会社(親会社)が、さまざまな業種の企業を、株式保有を通じてピラミッド型に支配し、グループをつくる。
  • ③資本輸出
    • 背景
      • 主要国の資本主義が発展 → 相互競合が激しくなる → 植民地の重要性の見直し
    • 植民地の役割
      • 資源供給地、輸出市場の獲得!
      • 商品輸出に加えて資本輸出(外国政府への借款供与や鉄道建設への投資など)が活発化

(4)帝国主義の展開

  • 1870年代
    • 不況が続く。本国と植民地との結びつきを緊密にし、まだ植民地となっていない地域を占有しようとする動きが高まる。
      • ヨーロッパ近代文明の優越意識と非ヨーロッパ地域の文化への軽視
      • 非ヨーロッパ地域の制圧や支配を容易にする交通・情報手段の発達
      • 軍事力が圧倒的に優勢
  • 1880年
    • 諸列強、アジア・アフリカに殺到し、植民地や勢力圏を打ち立てる。
  • 20世紀初頭まで

(5)世界の再分割とベルエポック

  • ①ドイツの膨張
    • 世界の再分割…ドイツのヴィルヘルム2世が即位して世界政策を展開。他の列強の植民地や勢力圏の再配分(再分割)を要求して、イギリスとの対立を深める。
  • ③ベルエポック(すばらしい時代)~ヨーロッパ諸国の一大繁栄期~
    • ヨーロッパの一大繁栄期(19世紀末から好景気が持続)
    • 世紀末文化…列強の主要都市では成熟した市民文化が広がる。退廃や諦念を表現したのは、近代文明の物質主義や進歩主義への批判であった。
    • ベルエポック…近代文明や科学の進歩の信頼にささえられて、未来を楽観的にみる気運が強まり、大戦前の十数年間はベルエポック(すばらしい時代)と呼ばれる。

(6)資本主義社会

  • ①労働力移動 ←19世紀後半からかつてない規模で発生
    • a)国内移動…工業化により農村から大都市へ人口移動。都市に大量の非熟練労働者や事務職員が集中。
    • b)国外移動…鉄道網や船舶輸送の発達により、南北アメリカへの大量の移民をも容易にする。
  • ②資本主義的生活様式
    • a)都市生活
      • デパートや消費センターが出現して消費生活を享受する新しい生活様式
      • 都市周辺部にはスラムや労働者街が拡大。
      • 公共的サービス→上下水道や医療など。
    • b)学校教育の重視
      • 社会の流動化→生まれや家柄にかわって個人の才能や技能による社会的上昇
      • 国策教育制度(最初は初等教育・次いで中等教育以上)は上昇を求める民衆階層の要求にも支えられる。
  • ③資本主義と大衆運動
    • 社会的弱者の不満
      • 労働者:低賃金・劣悪労働条件に苦しむ
      • 農民:大不況のなかで経済再編の波に晒される
      • 女性:参政権が与えられず
    • 政府の弾圧と譲歩
      • 大衆運動に直面した国家は、従来の弾圧策だけでなく、ある程度譲歩して、社会立法によって労働大衆を体制内に組み込む方策をとる。

(7)労働運動と社会主義運動の高まり

(7)-1.第1インターナショナル(1864~76) 国際労働者協会

(7)-2.第2インターナショナル(1889~1914) 正式名称は国際社会党会議

  • ①背景…1873年に欧米の工業国が不況期にはいって労働者の生活が悪化したことにより、労働運動・社会主義運動が拡大。各国で社会主義政党労働組合連合体が結成される。
  • ②契機…フランス革命100周年を記念するパリ万博に対抗して、1889年パリで創設。8時間労働を要求。
  • ③展開…ドイツ社会民主党、イギリスの労働党、フランスの社会党などが参加し、労働運動の基礎を築く
  • ④結末…WWⅠ勃発を契機に各党が自国の戦争に協力する方針に転換したため、活動を停止。

(7)-3.各国政府の社会福祉政策の効果

  • ①労働運動を分裂させる
    • 革命ではなく議会を通じて社会を改良することで社会主義の実現を展望する勢力が出現。
      • ベルンシュタインの修正主義
        • 社会主義の実現を労働者階級の目標とするがマルクス社会主義に到達する原則(階級闘争、暴力革命論、プロレタリアート独裁論)を否定。議会主義による平和革命の可能性・労働者階級の知性や道徳の向上および倫理的努力を重視し、民主主義的実践による議会政治を中心とした平和的・漸進的な社会主義の実現を説く
        • ベルンシュタインの修正主義は、社会民主主義として大戦前ドイツでは大きな影響を与えるが、中間的性格により、左右両翼から批判を浴び、第二次大戦後に衰退していく。
  • 国民国家への労働者の帰属心を強める
    • WWⅠにおいて各国が自国の戦争に協力するなど労働者の国際的な連帯を弱める。

(7)-4.国際的連帯運動

  • ①国際赤十字社…スイス人デュナンが、クリミア戦争におけるナイティンゲールの活動に深く影響されたのちイタリア戦争の戦場での悲惨さを見て戦時における傷病兵の救護活動を目的に設立された団体。の提唱によって1863年赤十字運動を提唱した。
  • ②国際オリンピック大会…1896年、仏のクーベルタン古代オリンピックの再現として開始。
    • 普仏戦争の敗北の原因が青少年の肉体的堕落にあるとして、スポーツが奨励された当時のフランスの、ドイツに対する復讐心に満ちたナショナリズムの昂揚が背景にある。
    • 各国は政治の手段としてオリンピックに着目するようになり、国家意識昂揚の手段として、大会が利用されるようになった。
  • ③万国平和会議<1899、1907>…ロシアのニコライ2世の提唱によって開催された国際平和に関する会議。
    • 戦争法規に関わるもの(毒ガスの禁止や捕虜協定など)が決定された。