アフリカ史 人類の誕生

1.先史時代とは

  • 文献や文字による記録の存在しない時代。
  • 考古学的遺跡・遺物などを研究資料・手段とする。

2.人類

  • 最初の人類はアフリカで誕生。以後500万年ほどの間はアフリカの大地で生活。
  • 直立二足歩行が特徴。
  • 1000万~700万年前頃、ヒトの最古の祖先がチンパンジーボノボとの共通祖先から枝分かれする。

(1)猿人

700万~200万年前に最初に出現した人類。原始的な打製石器を用いる。

  • ①サヘラントロプス=チャデンシス
    • 現在最古の化石人類とされている猿人。約700万年前。脳容積はチンパンジーに近い350ccで半樹生活をしながら地上では直立二足歩行。
  • ②ラミダス猿人(アルディピテクス=ラミドゥス)
    • サヘラントロプスに次いで古い化石人類。約440万年前。
  • ③猿人の進化
    • a.アウストラロピテクス族…歯と顎が適度な大きさの華奢型猿人
      • a-ⅰ.アファレンシス猿人(400万~300万年前)…完全な骨格が発見された「ルーシー」で有名
      • a-ⅱ.アフリカヌス猿人(300万~200万年前)
    • b.パラントロプス族…登頂の稜の形や巨大な歯と顎を特徴とする頑丈型猿人。270万~140万年前。絶滅した。

(2)原人

肉食を選択したアウストラロピテクス族の一部から新たな世代ホモ属が進化。

  • ①原人の出現
    • ホモ=ハビリス(240万~180万年前)…「器用な人」の意味。東アフリカで発見された。脳容積500ccで石の一部を打ち欠いて礫石器を作り、肉食が増す。
    • ホモ=エレクトゥス(150万~20万年前)…脳容積900ccでハンド=アックスや剥片石器などの打製石器と火を使用して狩猟・採集生活。
  • ②最初の出アフリカ(アウト=オブ=アフリカ)
    • 180万~170万年前にアフリカの外にでてアジアやヨーロッパに広がる。

(3)旧人(ホモ=サピエンス)

約60万年前にアフリカに出現。ユーラシア大陸に渡る。

  • ②特徴
    • 死者の埋葬…死者を特別に扱った習慣。宗教的行為の始まり。
    • 定型的な剥片石器…ヴァロワ技法(石核の周縁を打ち欠いて整形したのち中心に向かって打ち欠いて剥片を取る)を編み出す。
    • 狩猟の毛皮から衣服を作り、氷期であったため洞穴を住居とする。

(4)新人(ホモ=サピエンス=サピエンス)

約20万年ほど前にアフリカに出現。我々と同じ現生人類に属する。→ヨーロッパのクロマニョン人・中国の周口店上洞人など

  • 旧人との関係
    • 新人は旧人から進化したのではなく、両者は60万~40万年前に共通の祖先から分岐。旧人は新人としばらく併存したのち絶滅した。
  • ②現生人類の起源
    • 新人が10万年前頃アフリカを出て順次世界中に広がるアフリカ単一起源説すなわち「アウト=オブ=アフリカ」が定説。
  • ③特徴
    • a.石刃技法…一つの原石を加工して、そこから細長い薄手の剥片を次々に打ち出す技法を編み出す。
    • b.骨角器…動物の骨・角・歯牙で製作された道具。モリ・針・キリなどが作られた。
    • c.洞穴壁画…新人が洞穴内に描いた絵画の痕跡。宗教画でもある。
      • c-ⅰ.ラスコー …フランス。バイソンや馬などの狩猟場面が色鮮やかに描かれている。
      • c-ⅱ.アルタミラ…スペイン。壁と天井に馬・牛・野牛などが写実的に描かれている。
    • d.抽象的概念のシンボル
      • ブロンボス洞窟遺跡(7万5000年前)…アクセサリーに使われた巻き貝のビーズと幾何学模様が線刻された石が発見される。
    • e.女性裸像(ヴィーナス)…乳房や臀部が強調されている像。多産や豊作を祈ったと考えられている。