【目次】
1.中国に住む人々の生活
1-1.中国の人口政策
(1)一人っ子政策とその転換
1-2.多民族からなる中国
1-3.13億をささえる中国の農業
(1)日本に比べて地域差が大きい
- 原因;気温や降水量が地域によって大きく異なっているから。
(2)中国の農業分布
- 各地域の特徴
- a.中国西部…標高3000m以上の高山地域ではヤク、羊などの移牧。年間降水量300㎜未満の半乾燥地域では馬、羊などの遊牧。
- b.中国北東部…Dw気候で、冷涼乾燥に強い大豆・春小麦・コウリャンなどの単作。
- c.中国中東部…Dw気候で、やや温暖湿潤なため冬小麦・コウリャン・アワなど。
- d.中国中部…内陸がCw気候、沿岸がCfa気候で温暖かつ年降水量が800㎜以上。【チンリン=ホワイライン】の南部で、米と冬小麦の二毛作のほか、都市近郊では野菜などの近郊農業や輸出向け商業生産も
- e.中国南部~台湾…Cw気候。年降水量1000㎜以上の地域では米の二期作。丘陵地では茶。サトウキビやバナナの栽培もおこなわれる。
- ☆ホワイ川とチンリン山脈を結ぶラインは一種の目安☆
- →以北 …小麦や大豆などの畑作地域が広がる
- →以南 …日本と同様に沖積平野を中心に稲作
- →以西 …乾燥地帯が広がり牧畜が盛ん。
(3)中国農業と日本の関わり
- 日本商社が関わり、日本市場向けの野菜生産が、日本の技術を導入して行われる。
- 冷蔵、冷凍野菜の輸出が増える一方で・・・長ネギなど、貿易摩擦が生じる
(4)中国の食料需給の変化
- 人口の増大と生活水準の向上→肉食の増加→飼料用作物(トウモロコシなど)の不足
- 小麦は世界最大の生産量だが、消費量が増え、輸入されている
- 要因
- ①沿海部で工業用地の造成がすすみ、農地の廃止面積が増えた。
- ②人民公社時代のように灌漑施設の維持管理ができなくなった。
- 要因
- 中国の世界の食料需給に与える影響は大きく、人口増加にみあった食料確保は世界的課題
2.日本と異なる政治・経済体制
3.生活の変化と新しい課題
3-1.食生活にみる文化の多様性
(1)中国料理の主食の違い
- 東北地方・華北地方…小麦粉を使った饅頭、麺類、餃子
- 華中・華南地方…米飯が主食
3-2.都市生活の変化と課題
(1)1980年代からの中国人の暮らしぶりの変化
- 車道を埋めていた自転車の減少 → 世界有数の自動車生産国
- 古い住居の解体 → 高層ビル、個人向けマンション
- 冷蔵庫・ビデオの保有
- 貸電話屋の行列 → 携帯電話の所持
- 個人経営の商店、飲食店、コンビニエンスストア、デパート
- 人民服から背広や婦人服へ
- 北京北部や上海のプートン地区などの発展
(2)社会問題
- 富裕層の暮らしが近代化する一方で、取り残された人との格差
- 年金生活者の物価上昇に対する苦しみ
- 退職者の面倒を見ていた国有企業 → 民営化して効率重視 → 人員整理 → 失業問題
4.日本との交流
4-1.政治関係
- 「共通の戦略的利益に立脚した互恵関係」(「戦略的互恵関係」)の構築に努力していくことで一致。
4-2.経済関係(2010年代初頭)
- ①日中貿易(財務省統計に基づく日本貿易振興機構(JETRO)換算
- (イ)貿易額 (2011年)
- 対中輸出…1,615億ドル
- 対中輸入…1,835億ドル 計3,450億ドル
- (ロ)主要品目
- 対中輸出…電気機器,一般機械,化学製品
- 対中輸入…電気機器,一般機械,衣類
- (イ)貿易額 (2011年)
- ②日本からの直接投資総額(2011年,中国側統計)…約63.5億ドル
4-3.文化関係・各種交流
(1)人的往来
- 日本から中国へ約373万人(2010年中国国家旅遊局統計)
- 中国から日本へ約166万人(2010年法務省入国管理局統計)
(2)文化関係
- (ア)2010年5月,日中首脳会談で温家宝総理から鳩山総理(当時)に映像交流に関する提案があり,首脳間で実施について合意。2011年に日中映像交流事業「映画,テレビ週間」「アニメ・フェスティバル」を実施した。→『ドラえもん』や『ポケモン』が利用された。
- (イ)2012年は,日中国交正常化40周年という記念すべき年であり,日中両国は,2012年を「日中国民交流友好年~新たな出会い,心の絆~」として,全面的な国民間交流を推進することで一致した。なお,1972年の国交正常化以降,日中両国は,節目ごとにこうした周年事業を実施してきた。
(3)青少年交流
- (ア)21世紀東アジア青少年大交流計画:(JENESYS)(東アジア首脳会議参加国を中心に,2007から2011年度の5年間で毎年約6,000名の青少年を日本に招へいするプログラム)を通じて,中国との間では,4,000名を越える規模の青少年交流を実施してきた。
- (イ)2011年12月の野田総理訪中に併せ,「日本国外務省と中華人民共和国外交部との間の日中青少年交流活動に関する覚書」の署名が行われ,2012年,日中双方は,両国青少年の相手国に対する理解を一層増進するため,5,000名規模の青少年交流を推進することで一致。
5.これからの中国
5-2.問題点
- 農村や内陸部の貧困、失業問題 / 民族問題 / メディア統制
- 巨大市場としての中国 → 消費水準の上昇 → 食料、エネルギー、環境などの面で深刻な国際問題