雑録

地誌【1】中国地誌

【目次】

1.中国に住む人々の生活

1-1.中国の人口政策

(1)一人っ子政策とその転換
  • ①中国 人口最大(人類の1/5) ⇒1970年代から人口抑制政策=一人っ子政策
  • 一人っ子政策の問題点
    • a.小皇帝…子供が両親や祖父母に甘やかされて育つ。
    • b.進学競争…高度な教育と学歴が高収入をもたらすとの考えから受験戦争激化
    • c.将来の過度の高齢化の危惧…出生率の低下により、過度な高齢化の不安
    • d.闇っ子…戸籍に登録されない人口の増加
  • 一人っ子政策からの転換
    • 第二子の出産を認める…農村部では第一子が女子の場合、数年の間隔をおいて第二子を生んで良いところが多い。両親とも少数民族であれば、二人まで子どもを持つことが出来る。
(2)民工
  • 都市と農村の所得格差→農村人口の都市流入を促す(※【農村戸籍都市戸籍】に分けて防ごうとしている)
    • 人民公社の解体
    • 農村における雇用の機会の少なさ
    • 交通、情報の発達など
  • 民工潮(都市への出稼ぎ労働者)
    • 「民」は農民、「工」は工業労働者を指す。「民工潮」で大きな潮が押し寄せるように出稼ぎにやってくる民工(工場で働く農民)の意味。
  • 人民公社とは何か!?
    • 経済(生産手段の所有、運営など)と行政(教育、軍事など)とが一体になった農村組織。中国のほとんどがの農家が人口者のもとに集団化されていた(1958~82年)。

1-2.多民族からなる中国

1-3.13億をささえる中国の農業

(1)日本に比べて地域差が大きい
  • 原因;気温や降水量が地域によって大きく異なっているから。
(2)中国の農業分布
  • 各地域の特徴
    • a.中国西部…標高3000m以上の高山地域ではヤク、羊などの移牧。年間降水量300㎜未満の半乾燥地域では馬、羊などの遊牧。
    • b.中国北東部…Dw気候で、冷涼乾燥に強い大豆・春小麦・コウリャンなどの単作。
    • c.中国中東部…Dw気候で、やや温暖湿潤なため冬小麦・コウリャン・アワなど。
    • d.中国中部…内陸がCw気候、沿岸がCfa気候で温暖かつ年降水量が800㎜以上。【チンリン=ホワイライン】の南部で、米と冬小麦の二毛作のほか、都市近郊では野菜などの近郊農業や輸出向け商業生産も
    • e.中国南部~台湾…Cw気候。年降水量1000㎜以上の地域では米の二期作。丘陵地では茶。サトウキビやバナナの栽培もおこなわれる。
  • ☆ホワイ川とチンリン山脈を結ぶラインは一種の目安☆
    • →以北 …小麦や大豆などの畑作地域が広がる
    • →以南 …日本と同様に沖積平野を中心に稲作
    • →以西 …乾燥地帯が広がり牧畜が盛ん。
(3)中国農業と日本の関わり
  • 日本商社が関わり、日本市場向けの野菜生産が、日本の技術を導入して行われる。
  • 冷蔵、冷凍野菜の輸出が増える一方で・・・長ネギなど、貿易摩擦が生じる
(4)中国の食料需給の変化
  • 人口の増大と生活水準の向上→肉食の増加→飼料用作物(トウモロコシなど)の不足
  • 小麦は世界最大の生産量だが、消費量が増え、輸入されている
    • 要因
      • ①沿海部で工業用地の造成がすすみ、農地の廃止面積が増えた。
      • 人民公社時代のように灌漑施設の維持管理ができなくなった。
  • 中国の世界の食料需給に与える影響は大きく、人口増加にみあった食料確保は世界的課題

2.日本と異なる政治・経済体制

2-1.社会主義経済から市場経済

(1)1949年~1970年代末までの中国
(2)1970年代末の経済転換
  • 1976年 毛沢東死亡、文化大革命終結
    • ☆経済改革・対外開放政策 (通称;改革開放)
      • 政治での共産党一党独裁は維持
      • 国有企業の民営化、個人企業の創設、価格の自由化、不動産所有の容認など
      • 農村における人民公社の解体、個人農家の生産開始
      • 個人企業や郷鎮企業(市町村による企業)も公認
    • ☆参考:鄧小平の経済政策
      • 先富起来…先に豊かに成れるものが豊かに成れ
      • 白猫黒猫論…「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」
(3)1980年代からの経済政策
  • 沿岸部に経済特区、経済開発区の設置 → 外国企業の積極的な受け入れ → 「世界の工場」!
    • 経済特区…外国資本や技術の導入を目的に経済的な優遇措置が与えられた中国領内の特別地域。1979年以降に設置された。
    • ☆経済開発区…対外経済自主権を持ち、知識集約型産業の誘致による国内波及効果を目指す経済地区。

2-2.内陸部で進む開発

  • 改革開放政策の弊害…都市と農村、沿海部と内陸部の経済格差
  • 西部大開発 
    • 四川省陝西省内モンゴル自治区の西側の、国土の7割に及ぶ地域を対象。
    • 鉄道・道路やガスパイプライン・通信などの社会基盤を整備して産業を誘致する。
    • 資金を集中的に投資。外国から資本や技術の導入を進める。
    • チンハイ(青海)省とチベット自治区を結ぶ鉄道の建設
    • 地元の資源をいかした工業立地(沿海部は原材料を輸入して製品を輸出)

3.生活の変化と新しい課題

3-1.食生活にみる文化の多様性

(1)中国料理の主食の違い
  • 東北地方・華北地方…小麦粉を使った饅頭、麺類、餃子
  • 華中・華南地方…米飯が主食
(2)地方ごとの料理の違い
  • 北部
    • 北京料理は濃厚な味付け、北京ダックは有名な高級料理 
    • しゃぶしゃぶの起源も華北
  • 東部
    • 上海料理…豊富な魚介類を醤油や砂糖で甘辛く味付け
  • 南部
    • 広東料理…豊富な材料を使い、持ち味をいかして淡泊に仕上げる。
    • チャーシュー、シウマイ、酢豚の本場。ヤムチャ中国茶を飲みながら点心を食べること)の発祥地。
  • 内陸の四川料理
    • 辛味や薬味を効かせたものが多い。
    • マーボー豆腐やザーサイは日本でも食される。
(3)食事傾向
  • 中国では熱い料理が好まれ、前菜以外には冷たい料理を出すことは少ない。
  • 都市では朝食を自宅ではとらずに食堂や道端の屋台でおかゆや揚げパン、饅頭で済ませる。

3-2.都市生活の変化と課題

(1)1980年代からの中国人の暮らしぶりの変化
  • 車道を埋めていた自転車の減少 → 世界有数の自動車生産国
  • 古い住居の解体 → 高層ビル、個人向けマンション
  • 冷蔵庫・ビデオの保有
  • 貸電話屋の行列 → 携帯電話の所持
  • 個人経営の商店、飲食店、コンビニエンスストア、デパート
  • 人民服から背広や婦人服へ
  • 北京北部や上海のプートン地区などの発展
(2)社会問題
  • 富裕層の暮らしが近代化する一方で、取り残された人との格差
  • 年金生活者の物価上昇に対する苦しみ
  • 退職者の面倒を見ていた国有企業 → 民営化して効率重視 → 人員整理 → 失業問題

3-3.世界に広がる中国系住民

(1)中国沿海部の移民
  • フーチエン(福建)省 ☆17世紀頃…東南アジアに移住       
  • クワントン(広東)省 ☆19世紀頃…アメリカ西岸部やハワイへ移る 
(2)中華系移民の名称
  • 華僑…「仮住まいの中国人」の意味。外国で出稼ぎ労働に従事する中国人労働者。
  • 華人…国籍を取得し、それぞれの土地に定住するようになった中国系住民。
    • 成功した人たちが多く、東南アジアでは政治的・社会的な指導力を持つ。
    • 国境を越えて強いつながりを持ち、貿易・国内流通、投資などで重要な役割。
      • cf.シンガポールは中華系移民たちがマレーシアから独立した地域である。

4.日本との交流

4-1.政治関係

  • 「共通の戦略的利益に立脚した互恵関係」(「戦略的互恵関係」)の構築に努力していくことで一致。
(1)「戦略的互恵関係」の基本精神」
  • 日中両国がアジア及び世界に対して厳粛な責任を負うとの認識の下,アジア及び世界に共に貢献する中で,お互い利益を得て共通利益を拡大し,日中関係を発展させること。
(2)2011年の訪中時に,野田総理から,「日中国交正常化40周年に際する日中「戦略的互恵関係」の一層の深化に向けた6つのイニシアティブ」を表明。
  • 1)政治的相互信頼の増進
  • 2)東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするための協力の推進
  • 3)東日本大震災を契機とした日中協力の推進
  • 4)互恵的経済関係のグレードアップ
  • 5)両国国民間の相互理解の増進
  • 6)地域・グローバルな課題に関する対話・協力の強化

4-2.経済関係(2010年代初頭)

  • ①日中貿易(財務省統計に基づく日本貿易振興機構JETRO)換算
    • (イ)貿易額 (2011年)
      • 対中輸出…1,615億ドル
      • 対中輸入…1,835億ドル 計3,450億ドル
    • (ロ)主要品目
      • 対中輸出…電気機器,一般機械,化学製品
      • 対中輸入…電気機器,一般機械,衣類
  • ②日本からの直接投資総額(2011年,中国側統計)…約63.5億ドル

4-3.文化関係・各種交流

(1)人的往来
  • 日本から中国へ約373万人(2010年中国国家旅遊局統計)
  • 中国から日本へ約166万人(2010年法務省入国管理局統計)
(2)文化関係
  • (ア)2010年5月,日中首脳会談で温家宝総理から鳩山総理(当時)に映像交流に関する提案があり,首脳間で実施について合意。2011年に日中映像交流事業「映画,テレビ週間」「アニメ・フェスティバル」を実施した。→『ドラえもん』や『ポケモン』が利用された。
  • (イ)2012年は,日中国交正常化40周年という記念すべき年であり,日中両国は,2012年を「日中国民交流友好年~新たな出会い,心の絆~」として,全面的な国民間交流を推進することで一致した。なお,1972年の国交正常化以降,日中両国は,節目ごとにこうした周年事業を実施してきた。
(3)青少年交流
  • (ア)21世紀東アジア青少年大交流計画:(JENESYS)(東アジア首脳会議参加国を中心に,2007から2011年度の5年間で毎年約6,000名の青少年を日本に招へいするプログラム)を通じて,中国との間では,4,000名を越える規模の青少年交流を実施してきた。

  • (イ)2011年12月の野田総理訪中に併せ,「日本国外務省と中華人民共和国外交部との間の日中青少年交流活動に関する覚書」の署名が行われ,2012年,日中双方は,両国青少年の相手国に対する理解を一層増進するため,5,000名規模の青少年交流を推進することで一致。
(4)世界の工場
  • 低賃金労働により製造業で優位に立つ国や地域を指して呼ぶ。産業革命を世界最初に成し遂げたイギリス、19世紀後半から台頭したアメリカを経て、20世紀前半は中国が該当する。世界の工場として、工業化が果たされると今まで低賃金労働に従事していた労働者たちが豊かな生活を求めて賃上げを要求するようになり労働コストが上がっていく。そのため、今まで低賃金労働力を目的に集まっていた外資は、より安い地域へと移動することになり、世界の工場は移りかわっていく。

5.これからの中国

5-1.経済成長

  • 2001年、世界貿易機構(WTO)へ加盟 → 経済の市場化、高い成長率
  • BRICsの一国として政治的な発言力を強める

5-2.問題点

  • 農村や内陸部の貧困、失業問題 / 民族問題 / メディア統制
  • 巨大市場としての中国 → 消費水準の上昇 → 食料、エネルギー、環境などの面で深刻な国際問題

6.台湾の発展

  • 1895年~
    • 日帝50年。植民地政策により鉄道整備によるインフラ、教育制度の整備など近代化がなされる。
  • 1949年~
    • 中国国民党が内戦に敗れ、台湾に逃れる。中華民国を名乗り資本主義の立場で経済建設。IT産業に強くアジアNIEsに数えられるほど。「シリコンブルバード」という二つ名がある。
  • 1972年~
    • アメリカの外交政策の転換により非公認とされ、日本も米国に追随して公的な国交を断絶。しかし、経済的・文化的には親密な関係にある。中国共産党は主権を否認し、領土の一部としている。台湾海峡を挟んで経済協力も進むが、軍事的な対立は根深い。