地誌【8】ロシア地誌

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1.ロシアに住む人々の生活

(1)多民族からなるロシア

  • ①面積…世界一広い(1709万㎢)、日本の約45倍
  • ②地域区分
  • ③ロシアの民族構成(人口約1.4億人)
    • 全人口の約80%…ロシア人、ロシア語をはなす、宗教はロシア正教ウラル山脈以西に住む
    • 少数民族…極東ロシアに多い
      • ⇒ナナイ人:顔つきが日本人に似る。サケやマスをとり、保存食を発達。日本の生活と共通点。

(2)経済と生活の混乱をこえて

  • ①1980年代末~90年代はじめ
    • 計画経済から市場経済に急激に転換 
      • ⇒経済と社会は混乱。国民の多くは通貨価値の下落と生活物資の不足に苦しむ。
    • 貧富の差拡大…大きな富を手に入れる者が現れる一方で、年金生活者は厳しい生活を強いられる。
  • ②1990年代末~
    • 経済的混乱がおさまり、欧米諸国などからの投資が増加 ⇒ 国内産業の発達
    • 携帯電話、欧米のファッション、ショッピングモールの増加
    • 地域間格差…モスクワなどヨーロッパロシアの大都市に比べ、極東ロシアを含む他地域は経済発展など大幅な遅れ。

(3)ソ連の解体とロシアの成立

  • ①1922年 ソビエト社会主義共和国連邦成立 ⇒ 世界最初の社会主義国
    • 遅れた農業国から重化学工業国に転身。 経済発展。強大な軍事力を保持。
    • 一党支配のもとで社会が硬直化。生産意欲と効率の低下が顕著。
    • 軍事技術の重工業は発達。食料、消費財の供給は不十分。

2.極東ロシアと日本

(1)環日本海の交流に向けて

  • ソ連の崩壊
    • 日本と極東ロシア間の交流が深まりつつある
  • 日ロ首脳会談(2003)
    • 今後の極東ロシアの経済開発をめぐり協力していくことが合意
    • 北方領土問題の解決など難問も残る。

(2)極東ロシアの経済を支える資源

  • ①ロシアの気候
    • a.寒冷な亜寒帯気候がほとんど。特に極東ロシアでは冬の寒さが厳しい。
    • b.北極海に面した地帯はツンドラ(ET)で寒帯。 
  • ②資源
    • a.タイガ…針葉樹林(木材輸出世界一)
    • b.鉱産、林産、水産など天然資源の宝庫
    • c.天然ガス(2009年以降、サハリン東宝の大陸棚産が日本に輸出される。パイプライン計画も進行)
  • ③輸送
    • a.シベリア鉄道、バム(バイカル・アムール鉄道)鉄道、川や海の舟運(しゅううん)
    • b.パイプラインをめぐる権益闘争※
      • 東シベリアの原油を東アジアに輸送するパイプラインは、アンガルスクまで完成
      • 中国ルートと太平洋ルートの2案があり、日中両国の綱引きが行われる。

3.自然・農業・工業

(1)ロシアの自然環境

  • ①ヨーロッパロシア
    • 安定陸塊のロシア楯状地。東ヨーロッパ平原は構造平野。ウラル山脈は古期造山帯。最寒月は-3℃未満で最暖月は10℃以上、年間降雨のため冷帯湿潤気候。
  • ②シベリア北部
    • ウラル山脈西川は冷帯湿潤気候だが、北部はツンドラ気候(氷雪や凍土に覆われているが夏になると0℃を超え、コケ類やシダ類が生える気候)になる。
  • ③シベリア東部
    • 大陸性の気候で冬にシベリア高気圧におおわれるので冷帯冬季少雨気候。植生は針葉樹林のタイガ。気温の年較差がきわめて大きく、オイミャコンは北半球で最低気温を記録した地点。

(2)ロシアの農業

  • 穀物栽培地域…ウクライナ南部~西シベリア。ステップ気候の黒色土壌チェルノーゼムで小麦
  • ②混合農業地域…ライ麦・ジャガイモ・豚の飼育を行う。チェルノーゼムより北の地域。
  • ③トナカイの遊牧…農耕限界以北の北シベリアのツンドラ地帯で見られる。
  • ④酪農…大陸氷河の影響を受け、やせ地が広がるバルト海沿岸地域で見られる。
  • ⑤ダーチャ…モスクワなどの大都市に住む人々が郊外に所有する自家菜園付きの別荘。

(3)工業

  • ①コンビナート(ロシア語で「結合」)
    • ソ連時代、広大な領土から産出される種々の資源を水運や鉄道で結びつけようとした。原料輸送で巨額の費用がかかり効率の良いものではなかった。
  • ②資源と鉱産物
    • ロシアには豊富な石油と天然ガス。近年の原油価格の高騰で、経済発展を実現。広大な領土と豊富な資源、労働力があるため、BRICsとして注目される。
  • ③ロシアの主な工業地域