雑録

ハッピーライヴ ショウアップ!「ソフィア・トゥーリナ」シナリオの感想・レビュー

主人公がアイデンティティ喪失を受け入れ「何もない自分」に意味を見出す話。
マジックショーの天賦の才を持っていた主人公は「逃げ出した」ことを負い目としていた。
また逃げ出した先でマジックショー以外に何ら特技も無かったこと痛感し葛藤が生じる。
だが主人公が逃げ出したのは自分で決意をして環境を変えようとしたということ。
また全てを捧げて辛い修行に打ち込むことだけが頑張るということではないのだ。
人生には楽しさや喜びが必要なのであり、だからタイトルが「ハッピー」ライヴなんだ!

何もない自分を受け入れるという強さ/物事の本質は楽しさ

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  • 何もない自分を受け入れるという強さ
    • 主人公の一族はマジックショーを家職としており、芸事を極め子孫に伝承させる事に血肉を注いでいました。それ故、才能が無い子どもたちは見向きもされず主人公とその姉はネグられて祖母のもとに預けられていました。しかしある時主人公が才能の片鱗を見せると、両親は有無を言わさずロシアへ連れ去ってしまいます。その時、姉からは何故お前だけがと呪詛の言葉を吐かれ、ロシアでも訓練以外に何もない厳しい生活を強いられてきました。そのおかげか主人公はメキメキと実力をつけたのですが、ある時ついに限界を迎えて精神崩壊して挫折。主人公は全てを投げ捨て逃げ出したのでした。この逃げ出したことが主人公の負い目となり、トラウマとしてのしかかってくるのです。これまでマジックショーしかしてこなかった主人公は、他の事はまるで上手くいきません。文字の読み書きの習得にも苦労し、他の分野で自分の専門を見つけることも出来ずにいました。そのため未練に囚われることもあり後ろ髪引かれる始末。特に自分に「何もない」ことを実感した時には、その傾向が顕著になっていました。そんな主人公が過去を断ち切り「何もない自分」を受け入れることがソフィア√の真骨頂となります。ネガティブケイパビリティ?簡単に答えが出せない事態を受け入れる力。焦燥に駆られる主人公に対してペチカ先輩が人生の長さとか中長期的なスパンで物事を考える姿勢だとかを説くシーンがグッときます。人間万事塞翁が馬、禍福は糾える縄の如し。けどこれジャネの法則ではないですが、高校生の時点では先が見えないから生き急いでしまいがち。ペチカ先輩のおかげで「何もない」自分を受容することができた主人公にはハレルヤです。

 
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  • 物事の本質は楽しさ
    • ソフィアは元来ヒキコモリの不登校でした。そんなソフィアを変えたのが物語の冒頭のイベントであり、主人公がマジックショーにより泣いている女の子をハッピーにしたという体験でした。以来ソフィアはマジックショーの技能習得を頑張っていくのですが、その根源はハッピーにあったのです。主人公の心の傷に触れ且つその技能を継承したソフィアは、主人公の人生が無駄ではないことを示すため転専攻まで決意します。しかしそんなソフィアにプロへの決意と覚悟はあるのかどうかという問題がのしかかってきます。それは主人公やその周囲の人物が、プロになるための努力というものは全てを犠牲にして厳しい訓練を積むことと認識していたからでした。ソフィアは全てを犠牲にしなければプロにはなれないという思想に耐えられず、潰れてしまって元のヒッキーに逆戻り。しかし勉強であれ何であれ、楽しんでやってるやつらのほうが成績伸びるし、自分の好きを持ち続けた人だけがその分野に残れるじゃん!?ストイックに厳しくすればいいというものではないんだよ。そのことを主人公が知らなかったのが一種の不幸であったのでした。様々な葛藤を経て、ヒロインは優しく頑張るという境地に辿り着きます。そしてそのことを示してくれるのが、ソフィアの親友となったカーレンティア。友情パワーを発揮しショーの展開とそれにあった作曲作業を行いマジックショーを学園で行うのです。ソフィアの根源はマジックショーで観客を笑顔にしたいハッピーライヴにあったのだとタイトル回収。ハッピーエンドを迎えます。

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【感想まとめ】


参考