落ちこぼれ魔女は幼少期に祖父の魔術実験のモルモットにされていたという話。
祖父は人工的に画一化した魔術師の量産を試み、孫をその素材としたが、結果は失敗。
体内の魔力量増加を実現したが、その制御を行えず使い物にならなかったのである。
落ちこぼれ魔女は一時期その実験の反動で寝込んでおり、記憶を失くしていたというワケ。
主人公たちと迷宮を廻って能力を伸ばした厳格な祖父と対話する勇気を得て過去の事情を知る。
実際、登場人物多すぎで落ちこぼれ魔女の成長譚としては掘り下げは浅いのは否めないかな。
名家の一門でありながら才能が無くコンプレックに苛まれていた少女のはなし
- 家の重責問題
- 本作では2人の新キャラが物語を動かす原動力となります。ひとりが妖精幼女であり、主人公とメインヒロインは彼女を娘に見立てて疑似家族ごっこをします。もうひとりが落ちこぼれ魔女で、彼女は迷宮の案内人として主人公たちと接点を持ちます。この落ちこぼれ魔女は名門魔術師一家の一員でありながら才能を示すことができず、一族から持て余されていました。それ故、主人公たちが迷宮調査に乗り出すと、厄介払いにと、体よく案内人扱いとされたのでした。最初は見栄を張って主人公たちの前でイキっていましたが、それは長く続かず、自分が凡才であることを吐露することになります。コンプレックスのカタマリ。主人公たちは迷宮を巡りながら一緒に強くなろうと持ち掛け、パーティーに加えることとなります。
- 本作はことある毎に説教や人生訓が垂れ流されます。妖精幼女のしつけシーンもそうですが、思春期特有のアイデンティティ拡散に悩む少女への様々な正論が投げられていきます。作中内において思春期にはよくある事とセルフ断罪されちゃったりもします。そんな落ちこぼれ少女がコンプレックスを解消するためには、引け目に感じている偉大なる祖父と対話をするしかありません。様々な迷宮を巡って力をつけた落ちこぼれ魔女はついに祖父と会談する勇気を得て幼少期のことを尋ねるのですが……。なんと祖父の口から告げられたのは人体実験としてのモルモット。祖父は魔術師を人工的に量産する研究をしており、孫を素材としていたとのこと。しかし研究は失敗に終わり、体内魔力量の増大には成功したもののそれを扱いこなすだけの制御の術を開発することができなかったのです。
- 落ちこぼれ魔女は祖父の口から真実を聞かされ愕然としますが、きちんと事前に(幼少期ではあったものの)同意を得ていたこともまた判明します。なぜこのことを忘れていたのかが、シナリオに大きな影響を与えそうな予感。個人的に好きだった場面は、落ちこぼれ魔女が自分の一族の所業を目の当たりにするシーン。彼女の実家は、才能ある魔術師を金銭的に支援し研究費を払う代わりに、その成果を丸ごと自分のものとして簒奪していたのです。知識としては知っていたものの、実際に自分の知人から、研究成果にクレジットすら入れて貰えていない事実を聞かされてショックを受けるとことか好き。