アンレス・テルミナリア「御厨恋」1周目バッドエンドの感想・レビュー

典型的セカイ系モノ。セカイを滅ぼしてでも愛を取るか、自己を犠牲にして世界を保つかモノ。
御厨恋は破壊の異能を持ち、それは自己をも滅ぼすものであるため余命幾許も無いと認識していた。
それ故、もうすぐ死んでしまう人生においてやり残しを清算するため青春を過ごそうと躍起になる。
だが主人公との仮初の恋愛はいつしか本気になってしまい苦悩したりなんだりすることになる。
学園祭では最後の命かと思われ主人公の腕の中で息を引き取るように死んでいくのだが……
なんと死ななかったし、何なら異能からも解放され、楽しい学園生活を過ごしていく。
だがそれは単なる延命に過ぎず異能は再発。恋は誰にも邪魔にならないように一人で死のうとする。
多分ルートロックが掛かっていて1周目に恋を選ぶと何とも中途半端な尻切れトンボで終わる。

御厨恋のキャラクター表現とフラグ生成過程

f:id:r20115:20220326132412j:plain
典型的な選択肢系セカイ系
  • 死ぬ死ぬ詐欺でシナリオを引っ張りすぎのように感じられてしまった
    • 「余命幾許も無く死を意識させることで人物像を掘り下げ感動を描き出そうとする死生観モノ」と「世界を取るか自分たちの関係性を取るかで選択を迫るセカイ系モノ」がミックスされた作品。舞台は異能保持者たちを隔離し監視する為の箱庭。一見すると学園都市であり、そこに御厨恋が転校してきます。彼女の異能は「破壊」であり、前に通っていた学校の校舎を蹂躙した前科を持っていました。この「破壊」は意図せず発揮されてしまうものであり、尚且つ恋の命を削ってしまうものでした。それ故、恋は異能が自分をも滅ぼすことを承知しており、もうすぐ死ぬと吹聴していたのです。そんな恋は未練の清算のため、学園青春ごっこをします。無理やりだけれども楽しい時間を享受しますが異能は暴発。これにより恋は意気消沈してしまうのでした。これを救うことになるのが我らが主人公であり放送部しようぜ☆と持ち掛け、再び恋に活力を取り戻させていきます。
    • フラグ構築の契機となるのは学園祭。恋はもうすぐ死ぬこともあり主人公の好意を一度は拒絶します。しかし主人公は恋の悩みの解決に奔走し、前の学校の生徒たちと引き合わせることに成功。恋は校舎を破壊したけれども死者は無かったこともあり、かつて仲良しだった旧友たちとの仲を回復します。これにより後ろめたさをある程度寛解させた恋は、主人公の告白を受け容れ、その腕の中で死んでいくのでした……と思ったら、全然死んでなかった。ご都合主義的回復。しかも異能から解放された!と、いうわけで恋はノリノリになって学園のイベントを企画しイケイケになります。ここではしばしの日常テキストとイチャラブ場面をお楽しみください。しかしここで終わったら物語にならないわけでして、もう一度恋の異能が再発してしまうという流れ。同じことを繰り返して引き伸ばしているだけのようにも感じられてしまうのは痛いところ。
    • 最終的に恋は誰もいないところで死のうと学園の外に行こうとするのですが、学園は隔離施設であるため、外に出ることなどできず体制側とのバトルになります。で、1周目ではこの後の話は余り語られることはなく終了。またもや主人公を拒絶した恋が破壊の異能を発動させながら、自ら抉った土地を見て友達から化け物と思われないよう埋めようとするところで幕を閉じます。最後は学園長と主人公の裏人格が意味ありげな話をして伏線を張り、バッドエンド。多分グランド√が恋トゥルーエンドになるのかな?フツーに読むと主人公の持つ異能である「眠ると記憶がリセットされたった一つのことだけしか覚えていられない」という能力は、逆に考えると「どんなことだけでもたった一つだけ覚えていられる」異能であり、主人公の認識下にある限り死ぬことはないという解釈になるのだろうか。どっちみちCG埋まってないし、他のヒロインやってもう1周って感じかな。次のキャラ読んできます!
f:id:r20115:20220326132356j:plain
思い出作りとしての学園編の諸イベント
f:id:r20115:20220326132401j:plain
ちょっと引き延ばし感ある死ぬ死ぬ詐欺
f:id:r20115:20220326132407j:plain
主人公を拒絶してしまう御厨恋

アンレス・テルミナリア感想セット