フタマタ恋愛「共通_19」バッドエンドの感想・レビュー

アホゲーで有名なアサプロが「拗らせた面倒くさい女の涙」で勝負してきたのが本作。
共通ではラスボス信田が性格を歪ませた原因&真ヒロイン宮子と主人公の間の魂の絆が描かれる。
信田は両親に愛されて育ったが父と死別。母の再婚に馴染めず最終的に家族を崩壊させてしまった。
宮子はネグられた寂しさを主人公と分かち合い仲良くなるが親同士が不倫しており義姉弟となる。
令和の時代にアサプロによって紡がれる家族ゲーをここに見よ!
不倫場面を目撃して発情した宮子の想いに応えるとバッドエンドになりタイトルに飛ばされる。
虚ろな目をして横たわる宮子のBAD ENDは車輪の灯花BADに通ずるものがあった。
※追記;この共通_19バッドが一番のハッピーエンドかも。物語が閉じて話がこれ以上成り立たなくなるだけで。

ラスボス信田結愛~再婚家庭に馴染めず崩壊させてしまう~

再婚家庭に耐えて来た信田がついに感情を爆発させてしまう
  • 幸せだった家族が父の死により崩れ、再婚家庭には馴染めなかった
    • ラスボスヒロインである信田結愛は、性格を拗らせて歪んでおり他者の信頼や愛を信じられずに大学生活を送っていました。主人公は高校時代、偶然信田が海で泣いている場面を目撃しており、その涙に囚われることとなったのです。では何故信田がこんなにも歪んでしまったのでしょうか。個別√でトラウマ解放するのかと思いきや早くも「共通_15」で回収されることになります。
    • 幼少期の信田は両親から愛情を注がれ幸せな家庭で過ごしました。しかし父親は死別、母子家庭となり孤独に晒された信田ですがそれでも寂しさに耐えてきました。我慢強い信田は母の再婚にも耐えましたし、再婚家庭で新たな子どもが誕生して自分が異質物となったことにも耐えました。しかしとうとう耐えられなくなる時がやってきたのです。これまで実父の命日だけは母と二人で墓参りをしてきました。しかし異父妹が駄々をこねて墓参りについてきたうえ、母が暑さに配慮して早々に切り上げようとした時、ついに信田は感情を爆発させ、母親の苦しみを抉るような真似をしてしまったのでした。「娘のため」を免罪符に言い訳していることを糾弾した上、「娘のせい」と責任転嫁したいのだろうとなじります。信田が我慢して均衡を保ってきた再婚家庭はあっけなく崩壊してしまったのでした。
    • 信田が母から逃げ出し海に家族写真の入ったアクセサリーを投げ捨てたちょうどその場面に遭遇したのが主人公だったというワケ。同じく家庭問題で海へと逃避しにきていた主人公と共感を重ねることで信田は救われることになったのです。以上の家族崩壊を経験した信田にとって愛など信じられないものであり恋愛は絵空事のよう。感情は拗らせたままになり性格も歪みました。それでもどうしようもない寂しさを抱えており体調不良になった時に主人公に縋りついて来る様はグッとくる展開であり、典型的な家族ゲーとはいえ、過去を主人公に吐露するシーンは是非見て欲しいところだと言えます。
幸福な家族の崩壊
主人公が信田と最初にあった時が命日事件の当日

真ヒロイン海野宮子~ネグられて孤独を抱えていたうえ親同士が不倫~

真ヒロイン海野宮子と主人公は如何にしてワケアリとなったか
  • 令和時代の正妻系ワケアリモトカノヒロイン
    • 戯画丸戸三部作で真ヒロイン加奈子・里伽子・海己の三強が全員ワケアリモトカノヒロインであったように、本作でも正妻系真ヒロインは宮子。高校時代に主人公と宮子は隣の席であり、現実世界における希薄さを共通項としてお互いの寂しさを埋め合う関係になります。少しずつ距離感を埋め合うように二人が仲良くなっていく姿は単なる恋愛では片付けることはできず、二人の絆が感じられる良い描写です。主人公を部屋に誘うようになっていく宮子や我が家のように箸でポテチを食う主人公のやり取りは好感が持てるわ。
    • そのような中、宮子がついに精神的な繋がりだけでなく肉体的な関係をも求めるようになり、いざ決行を迎えたある日。なんと普段は家に帰らない宮子の母親が主人公の父親を連れてやってきてまぐわい始めたのです。互いの両親が肉欲を貪るその姿は主人公に強烈なトラウマを与えるものでしたが、宮子はその行為を見て発情し、親たちがいなくなった後、主人公を求めてきます。ここでの宮子の涙が主人公の琴線に触れた原初の体験であり、以後主人公が女の涙に執着する原因になったのです。二人は関係を持つのですが、ここで宮子の想いに応えて中田氏を決めるとバッドエンド直行まっしぐら。暗転してタイトル画面へと戻されます。肉体的関係を持つとバッドエンドになるというのも古式ゆかしい昔のノベルゲーあるあるでしたね。
孤独に耐えかね主人公を引き留める宮子
主人公が女の涙に囚われるようになった始原的理由

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