ぼっち・ざ・ろっく! 第12話「君に朝が降る」の感想・レビュー

アニメ1期は後藤の成長物語!
陰キャ系コミュ障根暗ぼっちがロックを通して仲間と居場所を見つけることが出来たというサクセスストーリー。
最終回ではライブで2曲も新曲を披露!ぼ喜多は最高潮となり名前呼び!お茶の水でギター選びもあるよ!
ラストは後藤がバンド活動を通して仲間が出来た喜びを噛み締め新しいギターを装備しご満悦エンド。
声優さんの演技が非常に巧みで後藤のキモヲタ的なフヒヒ笑いがとてもよく表現されており必見。
友達が一人もいなかった後藤を受け入れてくれる結束バンドは、まさに彼女がたゆたう揺り籠だったのだ。
(しかし揺り籠だからこそ後藤が育ったのだが、成長した後藤には結束バンドは足枷になりつつあった)
(後藤がバンド活動を続けていくには結束バンドとしての存在証明が必要ということが2期のテーマとなる)

【目次】

学校に居場所が無かった少女が学校外で才能を開花させて仲間を作り学校空間で認められた

機材トラブルに見舞われ絶望する後藤を喜多のアドリブが救う!
  • ムネアツなライブ描写編
    • 前半のメインイベント。漫画原作のライブ場面は実際に曲や演奏など無いので、アニメ会社がどうやってそれを表現するかが課題になり、生半可な制作会社では太刀打ちできない描写。だがこれまでにもオーディションや初ライブ、EDの変化などで数多の楽曲を提示してきた。1クールのアニメでこれだけ楽曲用意するっていうのもかなり凄いな!
    • 文化祭ライブでは後藤が機材トラブルに見舞われペグが壊れてしまうのだが、喜多がアドリブでカバーし、それを見た後藤が鼓舞されボトルネック奏法でギターソロをやり遂げるという演出。これをアニメでどう表現するのかということが、早くから着目されていたが、大変素晴らしい出来に仕上がっていた。目配せしてからの「みんなに見せてよ!本当は後藤さんはすごくカッコいいんだってところを!」を受けた後藤が覚醒しカップ酒の空きビンを使って演奏していくところは分かっていてもグッとくる展開。さらにギターソロをやり切った後藤が天を仰ぎそこからまた演奏に参加していく場面や2曲目を演奏し終えて改めて観客席を見渡し自分が大勢の前で演奏を披露して大受けしていることを認識するところの描写はアニオリアレンジが効いておりワザマエな表現になっている。
    • この制作会社の歴史的意義は、飽和しているとされるきらら系百合アニメに新たな新境地を切り開いたことであり、後年のアニメ史に記述されることになるだろう。私たちは今、歴史の新たな瞬間に立ち会っているのだ。気分はフランス革命の際にゲーテがヴァルミーの戦いで「この日ここから、世界史の新しい時代が始まる」と記述したような感じ。原作をアニメ化する際のエピソードの取捨選択と行間の加筆に関し、『ぼっち・ざ・ろっく!』はこれから研究対象として題材となっていくことであろう。
喜多からの目配せにより絶望の淵にいた後藤が覚醒するシーン!
ボトルネック奏法
天を仰ぎ、大勢の前で演奏していることを噛みしめる後藤

 

文化祭ライブ「ぼ喜多」エンド

後藤を名前呼びし、後藤を支えるギタリストになることを誓う喜多
  • 最高潮ぼ喜多編
    • 文化祭ライブで大盛り上がりとなった際、喜多からMCを振られた後藤は何か面白いことを言おうとして奇行に走ることになる。カップ酒の空きビンを目の当たりにした後藤は、廣井姐さんがライブの時に観客席にダイブし胴上げされたシーンを脳裡に描くのだ!そしてそれを実行するも受けとめてくれる者は誰もおらず、後藤は顔面強打してライブは終焉を迎えるというオチになる。後藤が目を開けた時には、保健室のベッドの上だった。だがここから始まるハイパーぼ喜多タイム。この場面における二人のやり取りの何とも尊いことよ。まず後藤が喜多のギター技術向上を褒めてその自尊心をくすぐると、今度は喜多の攻勢が始まる。陽キャでハイカーストの喜多が、自分では人を引き付ける才能は無いからと後藤の天賦の才を認めた上で、皆と合わせることは得意みたいだからこれからもギターを頑張るので教えてねと続け、最後に後藤を「ひとりちゃん」と名前呼びして微笑むのである。その後、後藤の後姿を見送った喜多が「私、ひとりちゃんを支えていけるようになるね」と一人噛み締める場面は、夕暮れの光景と切ないBGMも相乗し本作中屈指の「ぼ喜多」表現となっている。アニメ版の喜多は後藤に対してかなり優しくなっているし想い入れも重くなっているのがいいよね。

 

後藤ひとりの揺籃時代の終焉

ギターヒーローとして成長していく娘を見守ってくれていた両親
  • ギターヒーローと家族の絆
    • 文化祭も終わり、ギターのペグを壊してしまったことを父に謝罪する後藤。50万円もするギターだし土下座をしてしまうというもの。だがロックでファッキンな嗜好を理解する父親からは寧ろ評価されて30万円貰う。ここで家族の絆が提示されるところか結構エモくて好き。この30万円は後藤の演奏動画を収益化し広告収入から得たものであることを説明するシーンから家族愛タイムは始まる。後藤がネットにアップしているアカウントは家族共有のものであり、ギターヒーローとして演奏技術が向上していく成長を一つずつ見られたことは親として感慨深いことを告げるシーンは涙無しには見られない。勉強も運動もどんなに頑張っても上手くいかず学校生活から落ちこぼれてしまった娘を、決して否定することなく温かく見守ってくれたからこそギターヒーローは誕生したのだ。

 

30万円貰いスーパーサイヤ人になる後藤だがバイトを辞められず即落ち2コマ漫画となる
  • お茶の水買い物回
    • で、30万円貰った後藤はネットでギターを買おうとしていたが、お茶の水の楽器店に赴くことに。装備品選びに関し皆でワチャワチャしながらお買い物をするお約束回である。物語構造的にはここで後藤のコミュ障を強調しておくことが重要。「結束バンド」という仲間だからこそ、後藤は(比較的普通に)コミュニケーションが出来るようになったということ。即ち、結束バンドが無ければ後藤は未だ「陰キャ系コミュ障根暗ぼっち」なのであることが再確認された。また楽器を買った帰り道、結束バンドメンバーはたわいもないおしゃべりをしながら帰途につくのだが、このなんてことの無いやり取りが後藤にとっては何事にも代えがたい貴重な青春なのである。結束バンドという居場所を見つけた幸せを後藤が噛みしめ「フヒ」と言う所はその象徴なのである。

 

結束バンド無しには未だコミュ障である後藤が強調される
  • 揺籃としての結束バンドが逆に足枷となる
    • このようにしてアニメ1期は後藤の成長物語であり、陰キャ系コミュ障根暗ぼっちがロックを通して仲間と居場所を見つけることが出来たというサクセスストーリーであった。だが原作では揺籃の時代が終わり、結束バンドは新たなステージへ上がることが求められて行く。即ち、後藤の音楽の才能が評価される一方で、結束バンドはぬるま湯と断罪されてしまうのである。ぬるま湯だからこそ後藤は成長できたのだが、成長した後藤には足枷になってしまうというアンビバレンツ!これを打開するには結束バンドとしての存在証明が求められることになり、未確認ライオット編に続いていくことになる。アニメ1期までは王道の展開でアニメ化しやすかったけど、未確認ライオット編、特に3巻はかなり重いテーマを扱うことになるので、アニメ化するのは難しそうだが2期はあるのだろうか。
キモヲタのようにフヒヒ笑いをする声優の演技が素晴らしいシーン
嘘最終回(3話)と本当の最終回(12話)のエンドカード比較画像

ぼっち・ざ・ろっく!感想まとめ

原作

アニメ