ぼっち・ざ・ろっく! 第9話「江ノ島エスカー」の感想・レビュー

夏休みどこにも出かけず鬱になった後藤のために結束バンドで江の島に行く話。
結束バンドのメンバーは音楽だけの繋がりであり皆で遊びに行くことなどなかった。
後藤はバンドにしか友人がおらず皆で遊びに行こうとするが誰も誘えず夏休み最終日を迎える。
ついに発狂した後藤を見た仲間達は急遽練習を放棄し夏休みの思い出作りをすることに。
下北から1本で行けるということで江の島が選ばれ皆でタワーに昇り音楽・芸能の神社に参拝。
遊び慣れていない後藤は始終お荷物となるが皆に介護されながら夏の残滓を楽しんだ。

「友達と夏休みに遊びに行く」という行為をしたい陰キャが実際に遊びに行くとどうなるか

バンドメンバー以外の友達と遊び歩く喜多
  • 音楽で繋がっているだけの関係性からの変化
    • 初ライブを終え達成感を得た後藤ひとり。だが8月はあと半分も残っている。仲間と遊びに行きたいなという願望を抱くが、遊びの計画を立てられない後藤は他力本願で遊びに誘われることを待ち望む。だがバンドメンバーは音楽だけの繋がりであり、誰も一緒に遊びに行くことなどしなかったのである。喜多はリア充フレンドと遊び歩き、虹夏は家事とバイト、山田はソロ好きなので誰かと遊ぶ必要などなかったのである。こうして後藤は誰とも遊びに行かないまま夏休み最終日を迎え、ついには鬱となり発狂してしまうのであった。これを見て流石に憐れんだバンドメンバー達は急遽練習を放棄して江の島へと遊びに行くことにした。
    • だが遊びに行ったら行ったで始終後藤はお荷物となってしまう。海の家の勧誘にダメージを受け、神社の階段はろくに登れず、ソフトクリームはトンビに奪われるのだ。江の島での後藤の行動はコミュ障根暗陰キャぼっちの特性を良く表現しており、外に遊びに行っても仲間と協調して楽しめず周囲に迷惑をかけてウザがられる人物像の象徴となっている。楽しむのにも才能が必要。また事ある毎に山田が後藤にタカってカネを出させるのだが、誰も気にしない。
    • しかし根っからの陽キャは喜多だけであるので、何だかんだ陰キャたちのペースとなり後藤も楽しんでいく。幼少期に母を亡くし苦労して来た虹夏や、裕福な家庭における親の過干渉により孤独を愛するようになった山田は、喜多のようなパリピについて行けなかったのである。このように喜多は仲間内では唯一の陽キャであるため、陽キャのウザさを一人で背負わされることになる。陽キャは後藤を見て陰キャうぜぇと思い、陰キャは喜多を見て陽キャうぜぇと思わせる構成になっており、脚本が巧みと言える。陽キャの喜多が遊び足りないと言うのに対し、冷静な虹夏があんまり遅くなるのもアレだからもう帰ろうと言えるのが強い。虹夏にとっては家の事の方が大事だもんね。
    • ラストは「ぼ喜多」が電車内で夕日を背にして語り合うイイハナシダナー的なエンドを迎える。何だかんだ言って後藤は初めて友達と遊びに行ったのであり感動もひとしお。山田と虹夏が寝てしまった車内でポツポツと喜多に楽しかったことを告げるぼっちちゃん可愛い。喜多は、後藤のはにかみながら嬉しそうな顔をする表情に思わずトゥンクしてしまうのであった。そして喜多は冬休みは結束バンドで毎日遊びましょうねと言うがこれは陽キャがいつもその場のノリで適当なことを言う罠(後の話で喜多は後藤と初詣に行くが、その途中で陽キャ友達と出会いカラオケに行ってしまうのである。後藤もついていくが散々な目に遭う)。今回の話だけで言えば「ぼ喜多」のそこはかとない夏の残滓の香りでハッピーエンドを迎えるが、翌日後藤はバッチリ筋肉痛になってしまい新学期早々苦労するというオチがつく。
喜多を通して描かれる陽キャのウザさ
後藤を通して描かれる陰キャのウザさ
結束バンドでは陽キャの喜多の方がアウェーになりがち
今回の「ぼ虹」ハイライト~後藤の可愛さにトゥンクしてしまう喜多~

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ぼっち・ざ・ろっく!感想まとめ