【感想】星屑テレパス8話「共同作業にも関わらず全部自分がやってる気になり上手く行かないと癇癪を起し人のせいにして当たり散らす女」

ロケット大会に向けて機体製作に取り組むも上手く行かず雷門マタタキさんがキレ散らかす話。
雷門マタタキさんは物語を転がすために作られたキャラであり、都合の良いドラマの起点役となる。
皆で仲良しこよしでロケット作っただけじゃ緩急が無いからよっしゃケンカさせたろとかいうノリ。
マタタキさんは不登校であり学校に居場所が無かったが海果に請われてロケ研に受け容れて貰えた。
そのためマタタキさんは自分の存在意義を示すことに拘りロケット大会で結果を残すことに固執する。
お山の大将と化したマタタキさんは思い通りにならないと他の部員たちに当たり散らすようになる。
それでも現段階における技術保持者はマタタキさんしかいないため海果は耐え忍んで指導を請う。

分業と協業において他者を動かすことの難しさ

自分の思い通りにいかないストレスを海果にぶつけるマタタキ

主人公の海果が消極的で、ヒロインの明内ユウがハッピーガールなので物語を動かす役割を与えられがちなのが雷門マタタキ。今回の彼女は自分を受け容れてくれた場所で自分の存在を証明しようと躍起になり、空回りしていくことになる。

いよいよロケット研究同好会は夏の大会に向けて機体製作に取り組むことになった。だが技術保有者はマタタキしかおらず、しかも彼女は大会で結果を出すことを自分の存在意義であると読み替えて、共同作業を私物化していったのであった。結果に固執する余り、視野狭窄になり、他の会員たちを自分の手足のような奴隷的存在と見なしていく。さらに自分以外の会員たちの技術の無さを責め立て自分のストレスの捌け口としていく。特にそのターゲットにされたのが海果であった。海果は手先が器用ではなく失敗ばかりであり、さらに臆病でビクビクしていたため攻撃の対象としては格好の餌食だったのである。かくしてマタタキはキレ散らかし、海果に小石でも拾ってろと追放してしまうのであった。
 

マタタキに糾弾され一人涙を濡らす海果

フツーだったらここで空中分解して幕を閉じるのであろうが、海果の心の芯は強かった。どんなに酷い言葉を投げつけられても、泣いてしまったとしても、挫けぬ心を見せたのである。ひとしきり泣いた後は何とか立ち上がり、頭を下げて技術指導を請い、余ったパーツで練習を始めるのである。例え辛くても技術保持者がマタタキさんしかいない状況では、罵声を浴びせられても必死で耐えるしかないのだ。今だったらパワハラだのなんだのと問題になるが、職人気質はこんな感じの人も多い気がする。手塚治虫の『ブラックジャック』で家を建てる時に大工の棟梁のノリとそっくり。海果はひたすら耐え偲び、なんとか機体を完成させることができた。
 

大会当日、機体紹介スピーチの負担によりストレスが限界を迎えようとしつつある海果

だが海果のストレスは限界を迎えようとしていた。ただでさえ罵声を浴びせられ続けプレッシャーに耐える中、大会では機体紹介スピーチをしなければならないのである。会長の海果は練習を重ねたのだがそれでもとても聞き取れるものではなかった。そこへ雷門マタタキが勝負の対象としている科学技術高校の部長がやってきて、期待の言葉を投げていくのだ。これにより海果はさらに重荷が増し、顔が青ざめるまでになってしまう。果たして大会はどうなってしまうのか!?といったところで第8話はお開きとなる。

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