【感想】星屑テレパス10話「自分が傷つかない第三者的立場に安住し本気になれるものを持とうとしなかった少女の崩壊と再生」

宝木遥乃は高スペックであったが故に幼少期に他者の夢を潰してしまうというトラウマを持っていた。
悲しみに暮れる遥乃に祖父は他者の夢を応援できる人になれば良いと助言し何とか自我を回復する。
当事者意識を持たず傍から器用に卒なくこなすだけの在り方は確かに傷つくことなく楽ではあった。
だがそれは本気になれるものを何も持たないということであり自分と向き合うことを避ける方便であった。
そのことをマタタキから指摘された遥乃は過去の呪縛に苛まれるがロケ研メンバーにより解放される。
トラウマを乗り越えた遥乃はロケ研に本気で取り組む決意をし、マタタキに発破をかけるのだ。

競争社会における順位や評価という結果によって親友をなくしてしまったトラウマを持つ遥乃

おでこぱしーカウンセリング

星テレ第10話で主役を張るのが宝木遥乃。彼女はスペックが高く何でも器用に卒なくこなし危なげなく生きてきた。だがそれは本気で何かに取り組んでこなかったことの証左でもあった。その原因には過去のトラウマがあった。幼少期の遥乃はピアノに打ち込んでいた時期があり、ただただ楽しいからピアノの練習に励んでいた。そんな遥乃にはピアノ友達がいたのであるが、彼女は他者からの評価に左右されたためコンクール以後ピアノ教室から姿を消したのであった。おそらくコンクールで遥乃に敗北したのであろう。この経験は幼少期の遥乃にとって大きなショックとなった。幼い心ではこれを受け容れることが出来なかったため、遥乃の祖父は他者の夢を応援できるようになりなさいと助言する。遥乃は自分の心を守るため、祖父の助言を支えに誰かのために生きることで、自我崩壊を防いだ。
 

遥乃を救済する海果

だがいつまでも第三者的な立ち位置から傷つかない所で何かと関わるのには限界があった。ロケ研においても海果の夢を応援するというスタンスであったことは否めない。ロケットを作ることでしか存在証明できなかった(と思い込んでいた)雷門マタタキさんからは、遥乃はロケットに本気で取り組んでいないしロケットじゃなくても何でも良かったんだろとなじられてしまう。図星を突かれた遥乃の心の痛みは大きかった。

しかしここで挫折から立ち直り、強くなった海果に救われることとなる。明内ユウからおでこぱしーにより悩みの原因を突き止められ、海果からは精神的なケアをされる。1回失敗したからってなんだ!ここで終わりじゃないし、また次がある。足元が崩れたら固め直して再起を図ろう!といった趣旨の励ましを受け、今度は誰かの夢を応援するのではなく自分の意志でロケット作りに取り組む覚悟を決めるのだ。
 

自分の感情をさらけ出す遥乃

こうして自分と向き合った遥乃は、雷門マタタキさんの家を再訪。シャッターをこじ開けガレージに侵入する。全てを拒絶するマタタキからは酷い言葉で応対されるも、これまでイイ子ちゃんでやってきた遥乃は秘めてきた自我を解放するのだ!遥乃は打ち捨てられていたマタタキのゴーグルを掴むと、自分がロケットを作って海果もユウも宇宙に連れて行って見せると啖呵を切るのである。過去のトラウマに囚われ自分が傷つかない安全圏に甘んじていた遥乃が、主体的意志を示して見せた瞬間であった!

一方で雷門マタタキは絶賛精神崩壊中。彼女は自分の技術を示すことでしか居場所に居られないとの観念に囚われていたため、大会に敗北したことは自分が有能ではないとの烙印を押されたことと同義であり、登校拒否に陥ってしまったのであった。雷門マタタキをどのように復活させるのか、続きが気になりますね。

雷門マタタキに啖呵を切る遥乃
雷門マタタキに発破をかける遥乃

星屑テレパス感想まとめ