【感想】『映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』(東映、2012年10月27日)

幼い頃の約束を忘却された少女・ニコが自分の不幸を他者のせいにして憎しみに駆られる話。
幼少期の星空みゆきは引っ込み思案のコミュ障であり友達を作ることができなかった。
そんなみゆきを救ったのが図書館の処分本で入手した「笑顔の大切さ」を説く絵本であった。
みゆきは絵本の中に出て来るいつも笑顔のニコのおかげで友達を作ることができたのであった。
だがその絵本は終局部が破れていたため、みゆきは自分が話の続きを描くと宣言するのだが……
どうしても上手くいかないまま、その存在を忘れ去り、長年放置し続けてしまったのだ。
ある時、絵本のテーマパークに遊びに行った際、偶然ニコが絵本から飛び出て再会を果たす。
しかしみゆきがニコのことを忘却していたため、ニコは逆恨みし、絵本界を滅茶苦茶にする。
ニコに糾弾されたみゆきはショックを受けるも仲間達に支えられて復活しニコを救済する。
そして憎しみのカタマリである魔王をも愛で包み込みウルトラハッピーでめでたしめでたし。

壊れた関係性の再構築~待ってるだけじゃダメでハッピーは自分で掴み取らねばならない~

絵本からスマイルを学んだ幼少期みゆき
  • みゆきの幼少期
    • 本作の主役は映画ゲストキャラのニコ。彼女は幼少期のみゆきにスマイルの重要性を学ばせた人物であった。ニコは絵本の中のキャラクターだったのだが、その笑顔により周囲の人々を朗らかにする力を持っていた。幼少期のみゆきは引っ込み思案のコミュ障で友達もいなかったのだが、図書館の処分本の配布でニコの物語に触れ笑顔を学んだことで、友達づくりが上手く行ったのである。家に帰ってきたみゆきが嬉しさを抑えきれず蒲団の上で足をパタパタするシーン可愛いよね。だがその絵本は終局部が破れており、ニコが魔王に幽閉されたところで、お話が途切れていた。これに気付いたみゆきは、自分が続きを描いてあげると息巻くのだが、結局は上手く行かず投げ出してしまい、そのまま物語も放置されることになった。それでもニコはみゆきが絵本を完成させてくれることを信じ、それだけをヨスガにして魔王城での苦しい生活に耐えていたのだ。

 

絵本の続きを描くという約束を守れなかった幼少期みゆき
  • 絵本の世界で体験イベントを楽しんでいたのだが……
    • ニコとみゆきが再会したのは偶然の出来事。たまたま世界の絵本が大集合するイベントに遊びに行った時のこと。映画ハウスで視聴を開始したら、敵に追われたニコがスクリーンから飛び出てきたというワケ。みゆきたちはプリキュアになって敵を撃退しニコを救うのだが、みゆきはニコを忘れ去っていたというワケさ。ニコは今まで心の支えにしていた分、みゆきから忘却されていたことは耐えがたく、怨恨を募らせていく。復讐を誓ったニコは言葉巧みに絵本の世界へプリキュアたちを誘うと、絵本の出来事をリアルに体験できると嘯き、ハチャメチャなシナリオへ突き落すのであった。ニコはハッピーエンドもバッドエンドも無い永遠の混沌に絵本の世界を変えてしまい、絶望の淵へと陥れるのだ。

 

みゆきの愛がニコを浄化する
  • ウルトラキュアハッピー
    • そしてみゆきはニコから直接嫌いであると否定される。人間だれしもいきなり嫌いだと言われたらショックは大きいであろう。みゆきも同様でありショックで心が折れかける。だがそんなみゆきを救うことになるのがプリキュアのみんなであり、みゆきが大好きであると肯定し、みゆきを立ち上がらせる。まさにみゆき総受けである。みゆきは心からニコに謝罪し、誠意を見せる。みゆきの誠実な行動にニコは次第に心が動かされていき、改心していく。ニコの心の動きに絵本も反応し、破れていた終局部は再生され、自ら物語が紡げるようになる。みゆきに助けて貰おうと待ってるだけじゃダメだったんだ。自分の物語は自分で書く!私はてっきりみゆきたちがその無地のページに続きを描くのだと思っていたよ。閑話休題。ニコ改心後、ニコを煽っていた魔王が立ち塞がる。魔王の力は強大で強化フォームですら弾き返される。だがそんな魔王に対してですが、みゆきは深い愛情で包み込む。まさにゴッドハグ。応援上映によりキッズたちからミラクルライトで力を貰ったみゆきは超絶形態ウルトラキュアハッピーに変身。笑顔の力で魔王をも浄化して改心させ、皆仲良しハッピーエンドを迎える。
割と激しいリョナられもあります
ウルトラキュアハッピーのゴッドハグ
笑顔の力-スマイルプリキュア解題-

本編外

映画冒頭のミラクルライトの説明で、入手できなかったお友達へ心で応援しようとフォローをいれる青木 れいかさん
エンディングのダンスで保護者や大人たちに注意を促すシーン
ウルトラハッピーエンド