サクラノ刻 5章「D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?」(夏目藍)→6章「櫻ノ詩ト刻」(夏目依瑠)の感想・レビュー

芸術家として草薙直哉を再生させるべく、登場人物たちが総出で彼を奔らせる話。
(唯一直哉に奔ることを求めず、どんな時でも彼の居場所となり続けた夏目藍が正妻となる)
美術教師として安寧を得た草薙直哉を奔らせるために様々な画策が成され御桜稟と対決することに。
だがその前哨戦として宮崎みすゞ・長山香奈・アリア(氷川里奈)が立ちはだかってくる。
彼女らとは即興絵画で勝負することになり直哉はみすゞ及びアリアを破った長山香奈に勝利する。
御桜稟との対決において直哉は焼失する絵画を創り出し芸術家として羽ばたくことになる。
しかし絵画は燃えてしまったため直哉の敗北となり莫大な負債を返すための生活を送ることになった。
エピローグでは直哉と藍の娘である依瑠が登場。直哉が芸術家として世界で活躍している姿が提示される。

【目次】

5章「D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?」

草薙直哉を芸術家として再生させようとする人々の思惑
  • 芸術家として草薙直哉を奔らせろ!
    • サクラノ刻3章では、美術教師として人生を歩んだ世界線が描かれた。だが直哉に芸術家として復活することを期待する人々は多く、彼を奔らせるための策略が発動すると5章に突入する(4章は夏目圭の人生譚)。草薙父子は雫を因習から解放するため莫大な金を支払う必要があり、直哉が描いた作品を健一郎の物として発表した。美術教師となっていた直哉を再び奔らせたい様々な人々はこの作品の真相をバラすと脅してくる。これを解決するためには直哉の美術界での地位と名声を高め、直哉が描いた贋作の価値を上げるしかない。そのためのパフォーマンスとして御桜稟との対決が仕組まれることとなったが、その対決に宮崎みすゞ、永山香奈、アリア(氷川里奈)が参戦する。御桜稟と対決するためには、即興絵画でバトルを行い、勝利しなければならなくなった。皆が直哉を奔らせようとする中で、唯一直哉に何も要求せず常に彼の選択を肯定し支え続けたのが夏目藍であった。直哉はそんな藍を求め、藍はそれに応えて二人は夫婦としての絆を深める。直哉と藍のらぶらぶ「仕合わせ」シーンはグッとくるものになっている。

  • 即興絵画対決
    • 直哉は御桜稟と対決するための絵画を描きながらも、即興絵画で巨匠となった攻略ヒロインズに打ち勝たなければならない。直哉の1回戦の相手は宮崎みすゞ。彼女に対しては静座からの特注筆による躍動で勝利する。2回戦の相手は誰しも氷川里奈かと思っていたが、なんと長山香奈が奇抜な方法で勝利し勝ち上がってくる(敗北した氷川里奈には川内野優美とのガチ百合シーンが用意されており百合太極図する)。長山香奈はなんと直哉の小学校の時の同級生であり、デブメガネど蔑まされていた過去を救ったことがあった。直哉はそのことを忘れていたが、それ以来直哉を一途に想い続けてきた長山香奈は千年桜を憑依して襲い掛かってくる。そのような長山香奈に対して直哉はかつて利き腕であったが使えなくなった右腕を発動。直哉は剣道で薬指と小指を鍛えており、2本の指で筆を扱えるよう特訓していたのである。長山香奈も破った直哉はついに御桜稟と対決することになる。

  • 焼失する絵画
    • だがここでアクシデント。御桜稟との対決のために描いていた巨大絵画を恩田放哉により放火されてしまうのである。今一度最初から描き直さねばならなかった直哉は、麗華の保護の下、中村家の離れで絵画制作に取り組む。そこはかつて幼少期の圭が命を削って絵を描いていた場所であった。直哉もまた命を削って絵画を描き、御桜稟との対決にギリギリで間に合わせる。トーマス、藍、明石にもそれぞれ見せ場が用意されており、彼らの助けで会場にまで滑り込む。直哉が最後まで考えていたのは、圭の存在であった。決戦では御桜稟が抽象画を描いて来たのに対し、直哉は燃える絵画で対抗する。弓張の地の特殊素材で描かれた絵画に直哉が地域伝承の水を振りかけると作品は発火。燃え上がる絵画に美が映し出される。こうして直哉の絵画は御桜稟の作品をも超えるかに見えたが、その美しさは一瞬であり、焼失してしまったため敗北することになる。だが、その美しさは映像で記録されており、直哉の評価を高め、芸術家としての再生は果たされる。

直哉と藍の誓い
藍だけは直哉を奔らせようとはせず、ずっと側にいてくれた
百合太極図
長山香奈祭り
燃える絵画で贋作を表現する

6章「櫻ノ詩ト刻」

因果交流~多くの人間との繋がり~
  • 直哉と愛の娘:夏目依瑠
    • エピローグでは直哉と藍の娘:依瑠が登場し、後日談が語られる。弓張学園には音楽科だけでなく美術科もでき、御桜稟はそこの学科長に就任。咲崎桜子や栗山奈津子は秘書と経理として鳥谷紗希の学園運営をサポート。鳥谷真琴は雑誌編集者を続け、長山香奈はギャラリスト、氷川里奈は絵本作家になった。直哉の酒飲みトモダチであった期間工は研究者と現場を繋ぐことを意図していたことが判明し、人との繋がりの大切さが語られる。そして肝心の直哉はというと、芸術家として復活できたはいいのだが、御桜稟に敗北してしまったため負債を負うことになりかつての父と同じ様に海外で絵を描く生活となっていた。だが直哉には藍がいる。藍は精神的な支柱となって直哉の健康にも気遣ってくれるので、これからも生きていけるのだ。ラストは直哉と藍とその娘の依瑠という家族3人エンドを迎えて本作は幕を閉じることになる。
夏目姓を名乗り藍との娘をつくった直哉
サクラノ刻は、詩となる。
夏目藍エンド

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