サクラノ刻「Картинки с выставки(咲崎桜子)」シナリオの感想・レビュー

主人公が学園の正規採用となり美術部を復活させ夏目圭との過去に決着をつけ美術教師として歩み始める話。
美の概念を相対的なものとして捉え地元に残り世界へ羽ばたくヒロインたちの帰る場所を守る事を選んだ主人公。
新年度になり非常勤講師から正規教諭に昇格し、弓張学園新生美術部を結成することになる。
主人公の下へ集うのは、桜子・奈津子・ルリヲ・鈴菜・ノノ未・寧の6人で、最初に勧誘チラシを作ることに。
美術部らしくリトグラフで刷ることに決め、各々が作品を作りあげるために精を出していく。
そんな中、桜子は主人公へ想いを伝えようとするが、主人公は夏目圭との過去を話し、誠実に断る。
ショックを受ける桜子だが鈴菜からフォローが入る。美術部員は皆、主人公に好意を抱いており彼の下に集うのだ。
一方主人公は桜子に圭のことを話すことで過去を清算し、美術教師として前に進むことが出来るようになる。

両手が塞がっちゃうほどの感情を持つ者にとって、誰かの想いなんて新しく持てない。そう普通の人は思う。けど。それは嘘でさ

桜子の告白は主人公をして夏目圭に向き合わせしむことになる
  • 咲崎桜子の想いに誠実に応えるため死んだ夏目圭との過去と向き合い美術教師として歩む決意をする
    • サクラノ詩では美について絶対的な美が存在するか、見る者によって美は変化する相対的なものかが論じられていた。サクラノ詩のメインヒロインであった御桜稟は絶対的な美を提唱し、主人公と袂を分かつことになる。主人公はあくまでも主体性を人間に置き、人々が絵を見ることで、感情が動くことを重視した。こうしてサクラノ詩の攻略ヒロインたちは世界へ羽ばたいて行き、主人公は地元に残って彼女たちがいつでも帰って来られるアジールを守ることになった。
    • 美の主体性を人間に置く主人公は、次第に後進の育成に関わることになっていく。深い愛で結ばれる夏目藍や色々と目をかけてくれる鳥谷紗希の後押しもあって、主人公は学園の非常勤講師から正規教諭に昇格し、美術部の顧問となる。主人公の下に集うのは、陸上を挫折した桜子、マンガやイラスト部門の奈津子、美術全振りで陽キャ属性のルリヲ、秀才ではあるが天才ではない努力の人鈴菜、行きつけの居酒屋で働く勤労女学生の美術鑑賞者ノノ未、そして多分夏目圭の親族であろう宮崎寧の6人。新生美術部がまず取り組んだのが新入部員勧誘のチラシ作り。かつての美術部ではこのチラシは相当気合いを入れて作られておりそれ自体が一種の作品であった。そのため桜子たちもチラシを作るためにリトグラフで刷ろうと決意し、各々が作品を作り上げていく。
    • この作業の過程で主人公は美術教師に生き甲斐を見出す。夏目藍との晩酌や天体観測、鳥谷紗希との屋上煙草での語り合い、そして何より一生懸命作品に取り組む少女たちの姿を見て、主人公は美術教師のやりがいを実感していく。そして最終的な決め手となるのが、咲崎桜子であった。美術部員メンバーは全員主人公に惹かれ好意を抱いているわけだが、桜子はついに行動に移す。この桜子の想いに対し主人公は誠実に向き合うため、夏目圭との過去を語る。このことは主人公にとって一種の過去の清算であった。桜子はその想いを断られてしまうわけだが、主人公に過去を昇華させるための重要な役割を果たしたのだ。また主人公に想いを寄せる者同士として鈴菜からフォローが入れられる。ショパンのワルツ第9番を引用しながら「別れのワルツ」は「告白」でもあると励ます場面は第2章でも屈指の名シーンである。こうして桜子は主人公へ想いを寄せる一員として美術部へ回帰した。
    • 2章ラストはムーア展受賞作品展を見に行くことになり、そこで図らずも美術部員一同が勢揃いする。美は相対的なものであるというのが主人公の主張であるが、桜子は夏目圭の作品を見て、主人公と圭の関係を感じ取ったと解釈し、主人公にそれを語るのだ。夏目圭の絵画に集まった部員一同は手を繋ぎ、自分たちの想いを確かなものとする。以上により2章では主人公が美術教師として新たな一歩を踏み出すことが描かれた。
過去と向き合い亡き夏目圭への複雑な感情を昇華させた主人公
桜子が振られたことに対するルリヲからの申し出
ショパンを引用して桜子をフォローする鈴菜
主人公に想いを寄せる6人の少女
鳥谷稀咲と美術教師として生きる道
夏目藍と教師になれたことへの感謝
因果交流により夏目圭の絵画を解釈する桜子
主人公は美術教師として新たな一歩を踏み出すことができた

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