ヴィンランド・サガ奴隷編 第10話「トルフィンとクヌートの本質は同じだが手段は異なる楽土建設」の感想・レビュー

トルフィンとクヌートがそれぞれの立場で王道楽土の建設を目指す話。
3年の月日が流れ開墾が終わり種蒔きが済んだら奴隷解放されるトルフィン。
彼はこの世から戦争と奴隷を無くすことを夢見てヴィンランドの建設を夢見る。
一方クヌートは兄ハラルドを暗殺しイングランドに加えてデンマークを継承する。
彼もまた違うカタチで楽土建設を目標としており強引に国家統一を進めていく。
そんな二人が交差するのがクヌートが接収を目論むケティル農場であった。

トルフィンとクヌート、二人が目指す国家論

開墾が終わり奴隷解放を目前にして次の目標を語るエイナルとトルフィン
  • 戦争や奴隷を無くすことは出来るか
    • 今回はトルフィンとクヌートの二人に焦点を当て、本質的には同じ目標を二つの立場から描き出した。二人が目指しているのは、楽土建設。トルフィンは自分が奴隷でありかつて戦士でもあったことから、この世から暴力や奴隷を無くすことを夢見るようになる。これが具体的には新天地における国家建設に繋がり、アメリカ大陸へ渡って自分たちの理想的な国造りを進めることとなる。これぞまさにヴィンランド!とタイトルが回収されることになる。
    • 一方でクヌートは楽土建設にはまず安定した国家が必要だと認識し、統一を進めていく。クヌートは父スヴェンからイングランドを、兄のハラルドはデンマークを継承していたが、国家統一のために兄を毒殺してしまうのであった。クヌートは父親の幻影に悩まされることになるが、1期を通じて覚醒済みであり、父の呪いを物ともしない。
    • このようにして、トルフィンもクヌートも目指すべきものは楽土建設でありその本質は同じなのだが、全く異なる道のりを歩んでいたのである。だが二人の人生がまたここで交差することに。クヌートは国家建設のために莫大な財源を必要としており、そのためにケティルの農場に目を付けて接収しようと目論む。武力によって磨り潰されそうになるケティル農場だが、ここでトルフィンが大活躍するのだ。トルフィンは暴力を使わずに信念を貫き通しクヌートとの面会に漕ぎつける。そして自分の理想と限界を語ることになるのだが、トルフィンの純朴とも言える理想論にクヌートはバカウケしてしまうのである。クヌートは色々と思い詰めていたがトルフィンの考えを聞いて吹っ切れ笑い出す。この笑いはスヴェン王の呪いも掻き消すことになりクヌートは精神的に成長。
    • 財源を逼迫していたのは、イングランドの治安の安定のために派兵していたことが原因だったが、派兵をやめることに。クヌートは原住民の反乱を危惧していたが、とっくにイングランドではクヌートを王として認めており反乱など起きなかった。こうしてクヌートの疑心暗鬼は晴れ、国造りは進んで行く。第10話ではまだクヌートはスヴェン王の呪い攻撃を受けている最中である。これから狡い手段を使ってケティル農場接収の言いがかりをつけ始める姿をお楽しみに!
イングランドデンマークの統一のため、兄を暗殺したクヌート
毒殺による良心の呵責は父の首の幻影というカタチで現れる

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