ヴィンランド・サガ奴隷編 第7話「だがこの鉄拳ケティル、嵌められて農場が接収されそうになるとブチギレて徹底抗戦するのである。」の感想・レビュー

暴力を忌避する領主ケティルが長として暴力を要求されることについて苦悩する話。
ケティルは農場領主として裁判権を行使することが求められていた。
だがケティルは性格的に暴力を嫌っており仕置きを行うことが苦痛であった。
その相手が子どもともなれば尚更であるが、盗みに入った小僧を裁かねばならなくなった。
ケティルは体裁もあって自ら棒打ちをしなければならず子どもを殴っていく。
そんなケティルが弱みを見せられるのはお気に入りの奴隷のアルネイズだけであった。
アルネイズはケティルを慰めながらもその奴隷としての人生を諦観していた。

まるで善人のように描かれるケティルだが農場接収編で変貌する場面が見所!

皆が皆、ケティルに暴力を求めてくる
  • 暴力が隣り合わせにあるセカイで
    • 今回の主役は農場領主の鉄拳ケティル。彼は敏腕な農場経営者としての才覚を示す一方で、本質的には気弱であり暴力を忌避していた。だがこの時代、暴力を行使しなければ生きてはいけない。そのためケティルは苦悩しており、その捌け口とされるのがお気に入りの女奴隷アルネイズなのであった。
    • 今回ケティルは盗みに入った子どもを裁くために、領主裁判権を発動せねばならなくなる。少年は度々盗みに入っており、用心棒たちがそれを捕まえたのであった。作物を売りに行った父親が死んだと思えずいつまでも待ち続ける少年を見て、不憫に感じてしまう鉄拳ケティル。だが里帰りしていた長男のトールギルは腕の切断を提案してくる。ビビり散らすケティルに対し、奴隷から成り上がったパテールは少年を労働力として用いて負債を回収しようと提案する。ケティルはこれに飛びついて一件落着するかに見えたのだが、パテールでさえ、棒打ちを提案するのであった。この時代、躾も指導も戦争も殺害も暴力と隣り合わせ。ケティルは苦渋の思い出棒打ち10回の処罰を決める。妹を庇って自分を20回殴ってくれという少年を見たトールギルは自ら棒打ちに名乗り出て少年を一撃で粉砕する。これを見たケティルは長男から処罰の行使役を代われるのは自分だけであるため、振いたくない暴力を振るわなければならなかったのである。
    • ラストは女奴隷の膝に顔を埋め、自らの心情を吐露するケティルの姿が!鉄拳の二つ名など虎の威を借りる狐であり、ノルドの男として勇敢さを求められることは苦痛だと泣きつく。そんなケティルに対し、アルネイズは言葉の上では慰めて、よしよしからのいい子いい子でバブミを与えるが、その表情は能面のようであり、自らの人生を諦めているのであった。
長男トールギルの代わりに自ら棒打ちをしなければならなくなったケティル
ケティルの妻に叩かれるアルネイズ
ケティルを慰めながらも能面のような表情を浮かべるアルネイズ

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