ガイダンス
うっう〜帝国主義ですぅ。
並行世界では、チェコスロヴァキアを率いて世界征服しているんですぅ。
確かに帝国主義の結果として第二次世界大戦の勃発を見る説もあるわね。
そうね良い機会だから帝国主義原因論について見ていきましょうか。
まず、帝国主義ってなんだか知ってる?
えっとですね。確か学校の授業では帝国主義(imperialism)は「19C末に人々が直面した世界分割とそれを巡る国際対立の激化という新しい政治現象を呼ぶのに用いはじめた言葉」って習いました。最初はイギリス自由党が保守党の政策を非難するのに使っていたんれすけど、対外膨張につれて経済を繁栄させ国家の富と威信を増大させるプラス・シンボルとなったんれすよね!!
よろしい。じゃあ、その原因論にはどんなものがあるかしら。
えーっと、ノートには古典的帝国主義論と社会帝国主義って書き散らしてありますぅ。
帝国主義原因論の主なものはそれだけじゃダメね。
羅列すると大体こんな感じよ。
1:古典的帝国主義論(ホブソン・レーニン)
2:社会心理的説明
3:自由貿易帝国主義論
4:門戸開放帝国主義論
5:社会帝国主義論
6:新マルクス帝国主義論
7:ウォーラーステインの「世界システム論」における帝国主義論
あと帝国主義を促した背景思想なんかもチェックしておくべきよ。
れぅ〜。こんなにたくさんあるんれすか。とっても覚え切れません〜。
じゃあいっぺんにやるのもなんだから分けて考えましょうか。
第一回目は「古典的帝国主義論」を見ていくわよ。
古典的帝国主義論
うっう〜。古典的帝国主義論は授業でやりました〜!!
これは経済的な見方で、代表されるのがホブソンとレーニンですぅ。
がんばりますぅ〜。えっとですね、。まずホブソンから見ていきますぅ〜。J・A・ホブソンは『帝国主義論』(1902)を著しました。彼の偉かったところは、今まで政治的現象だとされていた帝国主義論に経済的な視点を取り入れたことなんれすぅ。彼は資本主義の変質を唱えたんれすね。これまで商品輸出に変わって資本輸出がさかんになってきたことを寄生化・腐朽化と見なしました。それで、帝国主義の対外膨張の原動力は「この資本輸出および、それから利益を得る大金融業者や投資家の利益」と主張したんれすね。
そう。これによってホブソンはイギリスが「世界の工場」ではなくなり、サービス部門と海外投資(資本輸出)から上がる利子・配当で暮らす金利生活者の国になっていると訴えたのね。過剰資本をなくして「過少消費説」に基づく社会改良を提唱したのよ。このホブソンの理論は大陸のマルクス主義者に受け継がれていったんだけど「資本主義の独占段階の移行、生産と資本の集中・集積」の考えを体系化したのがレーニンだったわけね。
うっう〜。レーニンは『帝国主義論』(1916)を著しました。大雑把にまとめると次のようなかんじですぅ。
(1)生産と資本の集中・集積による独占の形成
(2)産業資本と銀行資本の融合による金融資本の成立
(3)商品輸出にかわり資本輸出の増大
(4)国際カルテルに世界市場の分割
(5)帝国主義列強による植民地分割の完了
レーニンはどれか一国の帝国主義ではなく、世界市場での支配権をめぐり互いに激しく争う世界システム的に帝国主義を捉えようとしたんれす。この点でイギリス一国のホブソンとは異なるんれすね。
この二人の考え方は、その後の帝国主義解釈に大きな影響を及ぼしたの。特に日本では、戦後の一時期、社会科学でマルクス主義が支配的になったから、今日でも帝国主義をもっぱら資本輸出や独占資本主義といった経済的事象だけで特徴づける旧い考え方が見られるのよ。