杉井光/上田亮絵『さよならピアノソナタ』(電撃文庫)の感想・レビュー

舞台は現代日本の高校、音楽もの。
高校生活に生き甲斐を見出せない主人公が、よくある巻き込まれ展開でバンドをやることになり、傷心ヒロインの支えとなっていくというパターン。

「暇潰しバカにすんな、人生は死ぬまでの暇潰しだ!」

メインヒロイン「蛯沢真冬」のキャラクター表現

メインヒロインの蛯沢真冬は天才ピアニスト。だけど、よくある天才の挫折ってやつで右手の指が動かなくなっちゃった。それでピアノが弾けなくなっちゃうの。その原因は心因性のもの。評論家によって酷評され、今までの生存理由はパパンに与えられた楽譜を弾くことだけで、ピアノを弾くことに喜びが見出せなくなってたわけだ。そこでピアノの喜びを教えてくれた離婚したママンに会おうとするも明確な拒絶を示され、泣きっ面に蜂。哀れ、いたいけな少女はブレイクハート。親バカで娘を溺愛するパパンの思いは心を閉ざした真冬には届かない。結局、思春期女子高生思い込みパワーが発動し、周囲全てを敵にすることでなんとか自我を確立するの。クラスメイトにはつっけんどん。ピアノが弾けなくなった後は未練がましくギターでピアノ曲をかき鳴らす。そんなオンナノコとギターVSベースで対決したり、家出に付き合ったりしながらオープンハートさせる。