CLANNAD AFTER STORY 第17話「白い闇」の感想・レビュー

今回のCLANNADは渚ご臨終。冥福をお祈りいたします。渚依存症の朋也にとって、渚が居なくなるという事は虚無に等しい。渚が命と引き換えに産んだ子どもを前に、出会わなければ良かったと運命を呪う。CLANNAD AFTER STORYのポスト渚は、そんな廃人状態から朋也が汐をどのように受け入れるかが描かれます。ですがここは、渚死亡の悲しみに暮れるとしましょう。


原作を大幅に改編し(と原作信者が何かを喚きつつも)正月友達満載シーンで、朋也の父親としての心境や、置いていかれる同級生たちの焦燥感、ことみによる並行世界の話の描写が挿入。この並行世界は、幻想世界の比喩を言っているのか、ホントに別ルート(春原曰く誰かと付き合ってる)の世界を言ってるのか。ことみ博士の説明からして両者であることが考えられるけど、光の玉回収のためには藤林ルートは必須だからなぁ。しかしそれをやるにしても秋生のバスジャック事件や早苗さん塾講師物語は放置なことも考えると無理っぽいかね。ついでに林秋生が奇跡を起こした場所のエピソードで伏線が張られていることにも注目。そしてついにこの時間が来ました。幸せな時は長く続かず、出産シーンへ。本来なら幸せに包まれるところなのに、悲劇。



朋也の弱さは渚に依存してしまっているということ。現実や将来を見ようとはせず、ただただ渚に支えてもらうことによってのみ、生存理由を確立していた。職場で頑張れるのも、アッキーや早苗さんと出会えたのも、学校で困った女の子'sの世話を焼いていたのも渚がいたから。「腐った人生をオンナによって肯定してもらう」ってどっかで聞いたことないかい?武者小路実篤の『友情』では惚れたオンナに自己肯定してもらいたかったのに友人に掠め取られ、その想いを芸術に昇華させるって展開があったね。まぁ、全然違うけどな。泣きゲが癒しになるのも可愛い女の子による自己肯定云々(後にその泣きゲ作用がデータベース化し動物化するという説なんだが)ってはなしもあるし、渚を殺し廃人から復活させることで「腐った人生をオンナによって肯定してもらう」という構図から脱し、人間として自立できる強さを身に着けることを示唆してくるので、鬱ゲ認定されるんだろうね。そんな折に結局、汐をも死なすんだから、父娘二人で渚の悲しみ背負って生きますルートもあれば良かったかもしれん。まぁエロゲをやる理由として「腐った人生をオンナ(二次元の)によって肯定してもらう」ってのは誰にしもあることじゃないかな。その点、渚を死なせたのは当時としてのアンチテーゼで画期的?だったよ。