山田博文「多様化し、膨張する証券市場」『これなら分かる金融経済』大月書店 2005年 のメモ

3-3「公社債市場の構造と動態」

3-3-1:公社債発行条件の多様化
  • 国債の種類(償還期限に応じて分けられる)
  • 国債の発行方式
    • 1.長期国債引き受け方式
      • 国債引受シンジケート団引受方式:国と引受シンジケート団との話し合いで発行される国債の価格や金額が決められる。民間金融(証券会社・銀行・保険会社・外資系など)が組織、国債の引受募集、発行総額に達しなければ残額引受。
      • 政府内部の公的資金郵貯や年金)による引受:資金運用部特別会計による国債引受(資金運用部引受)、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金による国債引受
    • 2.短期・中期・超長期国債引き受け
      • 公募入札方式:その時々の市場動向を反映して国債の価格や金額が決められる。多数の応募者に落札させ、応募状況に応じて決める。
3-3-2:公社債流通市場の拡大
  • 社債の流通市場:既発行の公社債が売買される、証券取引所・証券会社や銀行の店頭市場など
  • 債権価格の水準と金利の動向
    • 発行時の債券の表面金利は変更できないの
      • 国内の金利水準が高くなれば債権の魅力は薄れ価格は下落する
      • 全体が低金利になり、既発行債権の表面金利が高水準になるなら、投資物件として魅力を増し、債券価格も上昇。
  • 債券売買
    • 1984年 銀行の自己売買業務の認可
    • 銀行・証券の債権ディーラーは債権・資金を利用して大口短期売買を繰り返し、債権売買益を追及
    • 金融市場における国債:国家の財政金融システムと深く関連、長期金利に影響、2005年当時で国債発行高は700兆円

3-4「投資信託資産担保証券市場」

3-4-1:活発化する証券投資信託
  • 投資信託とは何か?
    • 1.一般投資家による証券投資を容易にすることが目的
    • 2.不特定多数の投資家から資金を集める
    • 3.その管理を特定の専門機関に託して多種多様な証券に投資してもらう
    • 4.投資によって得た収益を一般投資家に還元
    • 投資信託には、証券投資信託不動産投資信託がある
  • 資金の運用
    • 各種の証券に分散投資され、投資元本の長期的な成長、配当や利子収入(インカムゲイン)、売買益(キャピタルゲイン)の獲得を目的
    • 証券市場に参加困難な小口の投資家から資金を集めてプールし一定規模の運用単位を獲得、退職者の金銭や投資熱を背景に投資信託商品が発生
    • 元本の保証がないので金利や価格変動によって元本を大きく割り込むような大きな損失を抱え込む可能性がある
3-4-2:拡大する資産担保証券市場
  • 資産担保証券=様々な債権(不動産、自動車・住宅ローン、コンピュータ・リース、消費者運用)を担保にした証券化
  • 不動産の証券化によるメリット
    • 過剰に抱え込み、税金やコストのかかる不動産を売却処分できるので、総資産利益率が好転するなど、財務諸表の改善に貢献
    • 自分の保有していた不動産を利用して、証券市場から新たに資金を調達できるようになる
    • 不良債権の担保物件の不動産を小口に分割した社債や株式にして、個人投資家などにそのリスクを移し替えることができる
  • ハイリスク経済化へ
    • 企業は不動産の値下がり、保有資産の下落によって被る損失のリスクを少なくしようとする
    • →金融の証券化や証券ビジネスを拡大させ、リスクを広範囲の投資家に分散させていく