片岡栄美「大衆文化社会の文化的差異生産:階層再生産、文化的再生産とジェンダー構造のリンゲージ」宮島喬・石井洋二郎編『文化の権力:反射するブルデュー』藤原書店 2003年 101-135頁

1.研究の目的と意義

  • 日本では、なぜ文化的平等神話が広がり、文化的再生産は隠蔽されるのか
  • 文化の機能や社会的意味が、男性と女性で異なるのはなぜか

2.研究方法

  • 文化消費パターン
  • 生活様式空間と社会的位置空間の布置構造
  • 学歴と文化
  • 出身家庭での文化的経験
  • 文化評価とジェンダー

3.研究結果

  • ジェンダーによって階層再生産と文化的再生産が分業されている構造がある

4.考察

  • 大衆文化の特性
    • 日本では大衆文化がハイカルチャーの象徴的境界を隠蔽し、文化と階層の対応関係を見えなくさせる機能を果たしている。
    • もっとも威信の低い大衆文化が階層をこえた共通文化となって広く浸透している
  • 階層再生産と文化的再生産のジェンダー構造
    • 社会的再生産は男性にまかせ、文化的再生産は女性にまかせるという構造
    • 文化資本は女性を媒介として世代間再生産され、高地位の男性は高い文化資本を配偶者に求めるという形での婚姻を通じて、次世代への文化資本伝達と社会的再生産を果たす
    • 婚姻を通じて、女性の文化資本と男性の経済資本が結合し、同時に文化資本と経済資本の資本交換が成り立つ。

5.質問

  • 文化的排他性仮説は現代フランスではどうなっているの?
    • cf:p.108 l.4 現代のエリートに求められる資質とは〜

6.議題

  • 文化によりジェンダー秩序が維持されるならば、女性解放のためには文化からの解放が必要か?
    • cf.119;女性の社会進出が大衆文化化につながる。