この作品では3人のヒロインに3つのエンドが用意されていますが、如何せんシナリオにバラつきがありすぎ。
ここではあっけなく終わった、明らかに他のに比べて色褪せて感じるシナリオを備忘録程度にご紹介。
他のシナリオで苦悩することになる要因が簡単にちゃぶ台返しされたり、せっかくの設定が無駄になったりします。
花子√愛衣End 〜全然罪悪感とか感じませが何か?〜
花子√の愛衣はお兄ちゃん好き好きビームが暴発。お兄ちゃんへの思いは隠そうとしませんし、むしろ噴出しまくって、主人公くんが心の整理をつけられぬままにお兄ちゃん大好きだもん宣言。妹はまずいんじゃない?という指摘に対しては、妹辞める宣言を発動。さらに花子とつばめからも主人公くん好き好きと迫られる。あんだけ幼なじみもしくは妹から、恋人へと変わる関係性変化について丁寧に描いてきたのに、こんな展開ちゃぶだい返しですよ?他のシナリオで真摯にテーマにしてるだけあって、ここで感じるあっさり感は作品全体の質に影響を及ぼしかねんぞ!?オチへのもっていきかたは、以下の通り。花子「主人公くんと恋人やりたいんだよね?⇒だから妹辞める宣言したんだよね?⇒じゃあ、妹でもないのに同棲してるって不味くね?⇒だから愛衣も同じ家住んでちゃダメだよ?」と。ドナドナの如く愛衣が連れ去れてゆくなかで、誰とも関係に整理がつけられていなかった主人公くん覚醒。愛衣と離れるなんて嫌だ!!⇒なんでこんなに嫌なのかしら?⇒愛衣のことを愛しているからです、ということに気づく。いくな!!愛衣とばかりに玄関から立ち去らんとする愛衣の手を掴む。主人公くんが誰でもなく選び取ったのは愛衣だった。お兄ちゃんに選んでもらった愛衣はご満悦。残る二人も恋人と関係性を振り切って幼なじみであってくれたよとハッピーエンド。
愛衣√花子End 〜お使いRPG:せっかく人格形成に影響でるとこなのにね編〜
愛衣√の花子は、おとなし花子。幼少期に愛衣が主人公くんから溺愛される姿を眼前にし、愛衣のようになれば主人公くんが振り向いてくれるハズと本来は活発な性格に多大な影響をあてることになる。故にこの√のも花子はおとなし花子になるのだが、折角の人格形成イベントをこの後の展開に生かしきれません。フォークダンスで選ばれた後はあっさりフラグ成立。イベントらしいイベントといえば、強制司会進行の理沙美沙先輩により「宝探し」イベントを持ち込まれるだけ。このイベントはまさにお使いRPGで、プレイヤーがグダグダを感じ始めたタイミングで作中内の登場人物ですらイベントに飽きるというシナリオ構成&テキスト描写。まぁ、やかまし花子とおとなし花子のキャラクター表現の落差が一番の見世物だということなので、おとなし花子とイベントをこなしていきつつもじもじしたり恥ずかしがったりする描写を楽しめれば勝ち組。最後は花子が主人公くんに褒めて欲しくてスタンドプレイ⇒行方不明で探す⇒花子発見、お宝も発見という展開。お宝は蛍が綺麗な夜景です、二人の秘密ができましたとハッピーエンド。
花子√花子:部活の助っ人をめぐる問題
幼少期に形成された理想像を勝手に貼り付け崇拝してきて、一人で空回っちゃう女の子のおはなし。雰囲気的にはなんかCLANNADの芽衣シナリオを彷彿とさせるよなぁと。で、内容の方。花子は幼少期に主人公くんが様々なスポーツで助っ人に加わり勝利をもたらす姿を見続けてきた。さらに主人公くんが影で努力をしている姿も垣間見きゅんきゅんきちゃう。故に救世主としてメシアっぷりを発揮する主人公くんの姿が理想化されていった。時は流れ、花子はかつての主人公くんのように部活の助っ人として活躍していた。最初はただ楽しんで運動してると花子自身も思いこんでいたが、主人公くんとフラグ成立するとちょいと事情は変わってくる。花子は主人公くんにもう一度自分の理想像を演じて欲しかったのだ。故に、自分の活躍により主人公くんをして奮起せしめんとがっついたプレイをするようになる。今まではチームの雰囲気を和やかにしていたのに、その姿は敵味方ところかまわず険悪にしていった。そんな花子を見せられる主人公くんはトラウマ発動。かつて助っ人メシアの主人公くんにおとずれたのは敗因を押し付けられるスケープゴート。花子もそんな二の舞になるのではないかと思い、関係がぎくしゃくしてくる。花子は花子で主人公くんを奮起できないふがいなさと何も話してくれないもどかしさで煩悶する。結局は、キャプテンの軽やかなアドバイスにより雨降って地固まる。お互いの心情吐露し、和解成立。今日も花子の助っ人は続き、主人公くんとのバカップルなやりとりが響くのであったとハッピーエンド。
つばめ√花子 〜歩く。ひたすら歩く〜
このシナリオは主人公くんがグータラ自堕落学生ニート。夏休み中に何もイベントが無い!!9月に入り、時期はずれの蛍を見に行く小旅行の中で花子とのフラグを成立させる。主人公くんがいかにして花子への感情を変化させるかにシナリオの主要な目的があるのかな?花子がヤキモキする内面描写を楽しむのが趣向だと思われるが、唯一のイベントといってもいい旅行描写の尻つぼみ感が否めない。展開は大体、以下のような感じ。花子が旅行行きたいとのたまう⇒旅行行く⇒乗り換え間違い降りた駅から歩くとか言い出す⇒歩いたりヒッチハイクしたり雨宿りしたり歩いたりする⇒テキスト描写はほとんどネットスラング、花子はやきもきしながら恋する乙女⇒花子は思う。主人公くんがこの乙女心に気づいてくれなかったら諦めようかな?と⇒山あり谷ありの冒険しながら蛍を発見し、さらに主人公くんが花子の思いに気づいてくれたよとハッピーエンド。あとテキストに散りばめられるネットスラングが残念。いやネットスラングのテキスト自体を否定してるわけじゃなくて、田舎が舞台の日常ゲーでテキスト描写のほとんどがネットスラングに頼りきりなのは、ちょっとねぇ、奥さん。まぁ逆に考えれば女の子に対して何の遠慮もなく自分が使用してる言語を放てるってことで。