はつゆきさくら Graduation ルートの感想・レビュー

はつゆきさくらフルコンプ。
端的には「過去の未練に囚われ駄々をこねる少年に対し、人との繋がりで現実を受け入れさせる」おはなし。
玉樹桜は死霊。ランは生霊。浪人が比較的優遇されていた感じかな。
うん。なんというかまぁ面白かった!!シロクマ影薄すぎ。
ここでは、伏線回収をまとめておく。

市町村合併に伴う権力闘争について

この物語の一番根底にあるのが、市町村合併における権力闘争。かつて内田市は霊媒師一族が権力の支配構造に入り込んでいた。それが川邊市と統合されることにより既得権益に支障が生じた。そのため、内田市が滅んでもその街の魂を受け継ぎ繋いでいく存在が必要として、霊媒師一族の嫡男であった幼少期の初雪さん(本名:大野ゆうき)と桜の結婚式が行われようとしていた。だがその時、会場が爆破されたのだ。桜は死亡しました。生き残ったのは少数で、初雪さんと父親は一命を取り留めた。桜は死霊となって、初雪さんを見守ることになったのだった。またこの事件で生き残ったものの鏡も見れない無残な姿となった少女が生霊として人形に憑依し、ランとして初雪さんを育てていくことになる。初雪さんは霊媒師の長男として霊を背負い込み復讐を植えつけられてしまった。

玉樹桜について

玉樹桜は死霊。死亡しており、原型はミイラ化している。当初姿は見せることは出来ず、影ながら初雪さんを守護霊として応援していた。合併により滅び行く内田市の土地神を鎮魂させているため、その呪いは絶大なものであった。そんな桜を除霊しにきたのがコノハサクヤという除霊師であったが、呪いがすご過ぎて除霊できない。除霊するには、桜の未練や願望を満たすことで怨恨を弱体化させる必要があった。そのため、サクヤは街中に反魂香を設置し、桜の具現化に成功。桜は守護霊として初雪さんを見守ってきた記憶を忘却し、ゼロからの出会いにより情交を深めていく。何故かって?それは過去の呪縛より現在の時間と未来への希望が初雪さんを解放する鍵となるからさ。24章では、初雪さんと桜が出会い、想い出を紡ぐため、グラデュエーションズとイベント追体験ごっこなどをする。しかし、結局、桜は記憶を取り戻し、バニッシュされるのであった。


ランという少女について

ランは生霊。その生霊の主は今もまだ生きている。その主となる少女は結婚式爆破事件の参加者で、一命を取り留めたものの酷い怪我を負う。その弱みを初雪パパに漬け込まれ、呪縛に囚われる。そして少女は生霊の主となって、人形に憑依し、ランと名乗って初雪さんを育て上げることを使命とした。だが少女は初雪さんの生きる支えとなる一方で、「騙している」との負い目を感じ続けてきた。そして初雪さんが高1の時、桜を討伐しにきたコノハサクヤにバニッシュされるのであった。初雪さんの卒業式の日には生霊として祝福に来る。いつの日か生霊の主とも直接会えるといいねと願う。


河野初雪について

生身の身体を持って生きている。ゴーストチャイルドなのは霊媒師の息子だから。本名は大野ゆうき。幼少期の爆破事件以降、ランに育てられ、桜が守護霊となっていた。霊媒師の息子としては最高傑作であり、爆破事件によって怨霊となった数多の魂を内部に取り入れながら成長してきた。幼い初雪さんは洗脳され、爆破事件の復讐を刷り込まれることになる。その復讐とは、内田市を合併させた川邊市の市長を晴れ舞台で殺害すること。大抵のルートでは暗殺に失敗し、居城のホテルで爆死した?東雲希ルートでは死なずに戻って来たのはこのため。

初雪さんは内部に数百の怨霊を宿しているため、普通に除霊すると精神まで逝っちゃうので困りもの。そのため、初雪さんを救うべく、グラデュエーションズが出動する。ランを喪い、桜も除霊された初雪さんは、その魂を取り戻すべく、周囲の呼びかけなどには答えず、自分の信念を貫き通そうとするのだ。復讐などしてもランも桜も戻らないことに気付きながら。そんな初雪さんを丸ごと肯定するのが浪人こと小坂井綾。浪人だけ、別個エンドあるしね。「いつだって、誰にだって狂気が存在するものだ。それを取り除いてしまったら、きっと、人の気持ちとか魂みたいなものは成り立たないんじゃないか。そこには全て狂気が存在していた。けどだからこそ、かけがえのないものだった」。

あくまでも復讐に意固地になる初雪さんはまるで駄々を捏ねる子供のよう。初雪さんがもっと現実と向き合っていたら、違った結果はなったかもしれない。だけど初雪さんにはそれをやり遂げるしか生存理由を肯定するものがないのだ!!本当にそうなの?初雪さんはもう独りではないじゃない?周囲の呼びかけが初雪さんの心を打つ。仲間達の励ましにより、ついに初雪さんは自分に取り付いた父親の霊まで引っぺがす。ホワイトグラデュエーションズの活躍により、見事、初雪さんは復讐という呪縛から解放されることが出来ました。周囲に祝福されながら、卒業式を迎えてハッピーエンド。